4話
「そういうわけで、教育担当になりましたソータと申します。
以後よろしく!」
「ええ、知ってます。
私はレイナです。」
ノリわるいなー、挨拶は人間関係の基本、親しき仲にも礼儀ありだし、ちゃんとしないとね。
それはおいといて、あれから三日の間に何人か交代でこの世界のルールとか説明していたせいか、大分落ち着いたようでなにより。
それも普段は任されるけど、ちと他の仕事がたてこんでたんよ。
いつどうなるかわからん新人の為に時間割くのに比べると、流石にちょっと都合のわるい仕事やったからなー。
あ、もちろんこっち側での仕事ね。
「それじゃあ、実技やってきましょうか。
その前に、希望としては何になりたいですか?」
冒険者っていう選択肢しか与えないのもいけないしね。
「普通に生活できるだけのお金がはって生活できればそれでいいんだけど。
ステータスからみると、私はこの世界の何の職業に向いてるんだろ?」
質問に質問が返って来たけど、確かにこの辺は教えてないんね。
貨幣価値、種族、世界間、国家間、犯罪と法律の扱い程度やったね。
ただまあ、直ぐに思いつくなれるものといったら・・・・・・。
「・・・・・・炭鉱夫?」
まっさきに頭に思い浮かんできたのはこれだった。
炭鉱夫というのは炭鉱で鉱石を掘るのだけど、身体能力が高いのでツルハシを振るのに向いてる。
発破をつかうかわりに、魔法がまるっきりそれっぽく使えそうだし。
ただまあ危険で、落盤、粉塵爆発、毒ガス、酸欠、水害等々、あらゆる死因のオンパレードでもあるねー。
よく死亡事故も聞くよー。
「えっと、それって普通の女性の職業?」
「いえ、普通は選ばない。」
ちなみに、炭鉱では沢山の奴隷達が働いていたりする。
「流石にそれはないんじゃないの?
私これでも女性だし、ま、まぁステータスみたら荒っぽい事向いてそうに見えるかもしれないけど。」
「いえいえ、すいません。
これから行く所が廃坑だったんで、つい連想してしまって。」
嘘ではない。
実際、廃坑は良い訓練場代わりになるんよ。
暗くて狭い、そんな中での動作は戦闘は言うに及ばず。
警戒のしかた、地面や壁の状態の調査、野営のときの注意、火の扱い等々、とても有用な場所で、初心者冒険者の実地訓練にも使われている位だ。
「っと、その前に、道具を確認しましょう。
事前の確認とかは大事ですから。」
「ところで、アイテムボックスって・・・・・・。」
「ああ、無いですし、今まで見つかったという話もないですし、鞄も見た目どおりの容量しかないですから。」
手が無いわけじゃないんだけどねー。
転送魔法という手段があり、それを使えば戦利品を拠点に送る事ができる。
それでも、結局保管用の倉庫は必要になるわけだし、生もの置いといたら腐るしね。
毛皮とかも処理せんといかんしね。
背嚢があって、その中には、カンパンっぽい保存食、毛布、コップ、糸、ランタン、メモ帳、鉛筆、ナイフがある。
あとは、水袋と武器として包丁だ。
これならまあいいか。
スキルはあっても下手に短剣とかを使っても案外うまく扱えないものだし、包丁なら使い慣れてるだろうしね。
武器に関してだけは、案外わるくない選択だとはおもう。
後は実際に困った事があれば体験してもらい、それをフォローとかするのが仕事だしね。
それじゃいきましょかー。
アイテムボックスって、やっぱり変だと思うんだ……。