ポッキー彼女
「レッツ、シェア、ポッキー!」
鈴が転がるような明るく可愛い声でそんなことを言われながら、口の中に突っ込まれたもの。
口内の熱でチョコが溶けたことと、彼女の言葉を反芻してわかった。
ポッキーだ。
目の前の彼女もへらりと笑ってポッキーを食べている。
とりあえず突っ込まれたポッキーを食す。
正直彼女の考えていることはわからないが。
久々に食べたが中々美味い。
子供の頃はよく食べたんだけどなぁ、と思っていると笑顔の彼女と目が合う。
それから「食べる?」ともう一本ポッキーを差し出す。
先程もそうだったが世に言うあーんな気がする。
というかそうだろう。
本人は気にしていないようなので、ここで何かを言うのはやめた方がいいかと思い素直にポッキーを貰った。
何故か彼女は終始笑顔で俺がポッキーを食べ終わるとまた、次々とポッキーをくれる。
勿論、自分も食べながら。
そしてそんな食べ方をして、一箱を無事に食べ終えると「シェアポッキー完了」とドヤ顔。
ウエストを締める大きなリボンとワンピースの裾を翻して回る。
長い髪もそれに合わせて揺れた。
そして回りながら俺との距離を取ると「恋人みたいだった!」と笑って駆けて行く。
揺れる彼女のワンピースの裾を眺めながら、爆弾発言を受けて固まる俺だけがその場に取り残されるのであった。