勇者サイド 『境界島』
「勇者よ。この度のドラゴン討伐、大義であった」
「ありがたきお言葉。身に余る光栄でございます」
王の言葉に答えたのは聖也だ。
半年の訓練で聖也たちは着実に強くなっていった。最初のころなどはAランクの魔物を一体倒すのにも苦労していたが、最近では場合によってはSランクにまで指定されるドラゴンにクラスメイト全員で辛勝するまでになった。
魔界——カルマ大陸のように魔素濃度が高いわけではないので、この地ではそこまで強い魔物は生まれない。
そのため、このドラゴンは名前もないほどで竜種の中では最弱といってもいいものなのだが、それでも人間界――アルス大陸の中では高位の魔物とされている。
「聖也よ。このところ、おぬしの活躍は素晴らしいと聞いておるぞ」
「いえいえ、俺だけの力じゃありませんから。クラスのみんながいてこそ、ですよ」
「それでも、じゃ。王都に迫ったドラゴンの討伐や、ダンジョンの攻略。おぬしたちの力はどこまでいくのかのう」
勇者こと東條聖也たち一行は日課の訓練を終え、謁見の間で王との会食を楽しんでいた。
そんな中、聖也の何気ない一言に顔を顰める者もいた。
「……“みんな”、ねえ」
「やめなさい拓哉。聞こえたらどうするの」
ボソッと呟く拓哉を抑えているのはもちろん麗華だ。しかし、彼女も内心不快感を覚えている。
ここ最近の彼女たちの聖也への好感度は急降下中である。助言を聞こうとしないどころか、すぐに反対意見を出すようになっているからだ。
彼としては自分の力でみんなを守りたいと思っているのだろうが、それは空回りのようだ。
「八雲くんのこと、みんなは忘れちゃってるのかな……」
「みんな信じなかったでしょう? いくら私たちがあのときのことを言っても無駄だったじゃない」
でも、と言いかけて愛華はその口を噤んだ。彼女たちがどれだけ説明しようとも、クラスメイトたちは信じなかったからだ。
実際、聖也たちには及ばずともクラスメイトたちもかなりの実力を誇るようになっている。だから、彼らは八雲という生死のわからない存在などどうでもよくなったのだ。
それどころか、本当に八雲が死んだのならば万々歳だと喜ぶものまでいる始末だった。無論、そういった輩には彼女たちによる罵声が浴びせられたのだが。
「さて、すでにこの地ではおぬしたちに敵う魔物はおらぬ。そこでじゃ。おぬしたちにはある島へいってもらおうと思う」
「島……ですか?」
「うむ。境界島という無人島じゃ」
王がにこやかに告げたその島――境界島の名前の由来は、カルマ大陸とアルス大陸の中間あたりに位置することからきている。
そこは魔界ほどではないものの、魔素濃度が高いためそれなりに強い魔物の生息地となっている。魔界にもっとも近く、人間界からもっとも遠い場所。それが境界島だ。
今回、王は聖也たちをそこへ向かわせて経験を積ませようとしている。もちろんガルムの進言であり、計画の一端だ。
「そこで、俺たちはなにを?」
「近々起こるやもしれぬ人魔大戦に備えてさらに己の力を高めておいてほしい」
「……戦争が起こるんですか?」
「うむ。魔王からの宣戦布告がきておる」
そう言って王は一枚の手紙を見せる。文字の勉強をある程度している聖也たちには簡単なものだった。
ザイクを含めた全員はその紙を見て表情を真剣なものにする。そこに書かれていたのは『人間を殲滅する』という簡潔で、それでいて重みのある一文だけだった。
「なんてことをしようとしているんだ……。許せない、絶対にそんなことはさせない! そうだろみんな!」
「当たり前だろ! 俺たちは強い! 魔王なんて倒してやるってんだ!」
「聖也くんたちがいるなら安心よね! それに中田くんたちも強いし!」
聖也の言葉に中田が応じ、女子の数人は安心したような表情を見せている。
聖也の影響力は高く、中田の実力は信用に足るものだということなのだろう。畏怖していた生徒たちもその瞳に自信の色を浮かべ、次々に活気を取り戻した。
王はその光景を見てにこやかに笑っている。微笑、というよりも嘲笑といったほうがいいかもしれない。
その王の表情に気づいたのはザイクと愛華たちの四人だけだった。
「……なにかありそうね。今回は警戒をいつもより強めて行動しましょう」
「ああ、王の野郎どこかおかしいぜ。わかったか愛華? 気をつけるんだぞ」
「……怖いけど、わかった。みんな一緒にいようね」
小声で言葉を交わす愛華たち。
彼女たちは八雲の落ちたあの日から、王国に対する警戒心を強めていた。その後も王国側に怪しい動きは全くなかったのだが、今回は露骨なまでに怪しい雰囲気だ。
会食が終わったあとも麗華たちはそのまま警戒を強めていたのだが、結局その日はなにも起こらなかった。
翌日、勇者一行は『港町アルポート』に集まっていた。
ザイクや騎士団を含めた数十名は、目の前の大きな船を見て感嘆の声を漏らしている。
そこへ、鳥型の使い魔が飛んできた。
「その船に乗り込むんじゃ。二時間もすれば境界島につく」
王のその言葉で、騎士団は生徒たちを誘導して船に乗せていく。
船の中はまるで日本の豪華客船のような構造になっており、娯楽スペースも設置されていた。この船はアルス王国が貴族たちのために造った大型客船である。
この船での旅賃で資金を集めて軍事を拡大しようとしていたのだが、今回勇者たちを送るということで借りだされたのだ。
「すっげえな! やっぱ俺たちって特別待遇なのか!」
「当たり前だろ! 俺たちは勇者一行だぜ!」
最初に乗り込んだ相馬武が叫び、中田がそれに同調した。その他の男子も興奮している様子だ。
女子は豪華なシャンデリアなどを見て「綺麗……」と呟くものがほとんどだ。
「勇者たちには各々の部屋を用意しておる。ほんの少しの時間じゃが、リラックスしておくように」
「「「ありがとうございます! 俺たちは絶対に魔王を倒します!」」」
王は飴と鞭の使い分けが上手かった。それもガルムの指示ではあるのだが、聖也たちを信用させるには十分すぎる飴だった。王都での待遇もそうだが、何よりも全員に国宝級の武器を預けられたことが一番大きいだろう。
愛華には回復魔法の効果を増長させる杖、麗華には水の属性効果のついた槍、拓哉に聖気を拳に纏わせる指ぬきグローブだ。聖気は妖気と対をなす気だ。こちらも、魔力に干渉できる力を持っている。
聖也には聖剣をモチーフにした両手剣、中田には狂気の剣と呼ばれる片手剣、蘭には必中の弓、といった具合である。
国宝級の武器を持った生徒たちは、今までよりも強くなっている。一つのパーティで先のドラゴンを楽に葬れるほどだ。
「油断だけはするんじゃないぞ?」
爽やかに笑う青年は騎士団副団長を務めているセルグだ。彼は二十代前半にもかかわらず、猛者の集まる騎士団において副団長の地位にまで昇った強者である。
彼はその強さに加えて礼儀も正しく、若い団員たちには尊敬され、年上の団員たちにも信頼されている。彼がいなければ騎士団が完璧にまとまることはないかもしれないほどだ。
「よし、境界島へ向かうぞ!」
♢ ♦ ♢ ♦
「ここが……」
「境界島なんだね……」
麗華の呟きに続いたのは愛華だ。彼女たちが驚いたのは境界島の様子だ。
境界島は霧が濃くなっている場所や、今にも噴火しそうな火山、それに連なる山は何故か雪に覆われている。
境界島の環境は劣悪といってもいいものだ。この島はいたるところに自然環境のエリア境界ができている。ある場所は密林、ある場所は砂漠、ある場所は火山、ある場所は雪山、などなどだ。
それぞれのエリアに適応した魔物たちは中々の強さを持つが、互いに干渉することはない。エリア境界は絶対なのだ。
しかし、今回ザイクたちが船を止めた場所は安全地帯となっている。砂浜エリアと呼ばれているその場所は魔物が少なく比較的安全なのだ。
「ここに拠点を構えるぞ! 各パーティはテントを張っておけ!」
ザイクの一言で生徒たちは動き出した。その間にも騎士団は周辺の環境のチェックと探索に乗り出す。
テントを張り終えた生徒たちはザイクの元に集まり、次の指示を仰ぐ。
「今日からはお前らの判断で動いてもらう! 戦場で頼りになるのは自分自身だ!」
「「「「はい!」」」」
「今回、パーティ編成は四人ずつとする。騎士団の中から二人ずつ付くから実質六人になるがな!」
その言葉で、生徒たちは周りを誘い始める。そんな中、愛華たち三人は蘭を入れて四人パーティを作っていた。
ザイクにもともとこの方針を聞いていた愛華たちは信頼できる仲間同士でパーティをつくることにしていたのだ。聖也が信用に足らないというわけではないが、反対意見ばかりを出されることが予想されたため、誘わなかったのだ。
蘭は八雲のことを知っている人物でもあり、落下の現場にも居合わせている。愛華と麗華の親友でもあり、拓哉の思い人である点を考慮して、一番信頼のおける人物だったというのが主な理由だ。
この四人は結束もさることながら、一パーティとしても堅実な編成である。前衛二人に後衛一人、さらに回復役兼遠距離がいる。
回復役兼遠距離というのはもちろん愛華のことである。彼女はその回復魔法への適性だけでなく、精霊に愛されるという“精霊王の祝福”を持っていたため、精霊魔法を使えるのだ。
精霊魔法は通常魔法と比べて威力は低いが、自身の魔力を使わずに攻撃できるという利点がある。遠距離としては十分であった。
「おう、お前らのところには俺がつくぜ。一番危険かもしれないからな」
「ザイク団長、俺もっすよ! 忘れないで下さいっす!」
「わかってるっての。お前らも知ってのとおり、魔法使いでもあり、弓使いでもあるクルトだ」
「クルトっす。みなさんの安全は俺が保証するっすよ!」
愛華たちのパーティについたのはザイクとクルトだ。
ザイクは騎士団の中で唯一愛華たちの事情を知る人物であり、実力もある。実質今回の遠征において一番危険かもしれない愛華たちを心配したザイクは周りの反対を押し切ってまで彼女たちのパーティにつくことにしたのだ。
また、クルトは素直な性格で、正義感が強い。十九歳で、親しみやすい人物でもあるクルトはパーティ内のムードメーカーにもなる人材だ。
愛華たちの事情を間違えて聞いてしまったとき、彼ははすぐに謝り、地面に頭をこすりつけた。その行動には若干引き気味であったが、愛華たちはクルトを自分たちのそばにいさせることにしていたのだ。
「全員、警戒を怠るんじゃねえぞ? ガルムの手先が襲ってくるかもしれないからな」
「……はい。全員わかってます」
「大丈夫。俺と団長が絶対に守ってみせるっすから!」
麗華が答え、拓哉たちが頷く。蘭もこのことに関しては重々承知の上である。
クルトの頼りないが、信じられる言葉は愛華たちを少し安心させた。
「よし、ならいいんだ。じゃあ、俺たちも行動するとしよう。食糧は緊急用にしか用意していないからな」
ザイクを筆頭に、愛華たちは密林エリアへと歩を進める。
彼女たち以外のパーティも動き出した。境界島での修業が始まる。
♢ ♦ ♢ ♦
「さあ、どんどん進むっすよ! 魔物なんてすぐに倒してやるっす!」
「クルト、お前は弓使いなんだから後衛にいた方がいいに決まっているだろ……」
意気揚々に密林エリアを進むクルトを見て、ザイクはため息をついた。
弓使いであるクルトは本来ならば後衛のため、先頭を進むのは危険なのだが彼はそんなことは気にしない。
彼は自分がまず愛華たちを守る盾でも何にでもなってやろうと考えているのだ。心の底からの忠誠心である。
「わっ! 魔物がいるっすよ! しかも戦闘中みたいっす」
「そのようだな。下手に刺激して二体とも相手にするのは危険だ。一旦様子を見よう」
「はいっす。愛華さんたちも見ておいた方がいいっすよ。ここは俺の幻術で姿を隠しておくっす」
クルトに手招きされて、愛華たち四人も観戦する。そこで戦っていたのは虎のような魔物に大猪だった。
虎の名前はティガルグ、大猪はルボアレグだ。どちらも魔界には普通に生息している魔物である。
両者は睨み合ったまま動かない。いや、お互いに動けないのだろう。どちらかが隙を見せれば攻撃を受ける。それくらいに両者の力は拮抗しているのだ。
そんな中、密林に突然鳥の声が響いた。その瞬間、ルボアレグが驚いて隙を見せてしまった。ティガルグはその一瞬を見逃さない。すぐに飛びかかり、喉元に噛みついて肉を引きちぎる。ルボアレグは力なく倒れ、ティガルグは勝利の雄たけびを上げた。
「すごい……なんであんなに速いの?」
驚嘆の声を漏らしたのは愛華だ。しかし、その他の三人も愛華と同様に感心している。
「お前らも見たことがあるはずだぞ? あれは魔物が使役するスキルというものだ」
「あれが……スキル」
「確かにすごいが、お前らなら勝てると思うぞ。あの速さをしっかり見ることができたのなら、対応できるはずだ」
「そうっすよ。俺には少しきついっすけど、愛華さんたちなら余裕っすよ!」
「バカ、声がでかい!」
ザイクが慌ててクルトを止めるものの、すでにティガルグはザイクたちを認識してしまった。もう逃げるという選択肢は選べない。
この場所が他よりも少し広かったのは僥倖と言えるだろう。ザイクは目配せし、一気に駆け出した。
前衛にザイク、拓哉。後衛に蘭とクルトがつき、前衛と後衛の中間地点に愛華とその護衛の麗華、という布陣だ。ほとんどの攻撃に対応できるため、ほぼ完成されたパーティと言っても過言ではないだろう。
「油断禁物だぞ! 拓哉、俺があいつの攻撃を受ける。その隙にお前は横からあいつを叩くんだ!」
「おうよ!」
「蘭はこっちのサポート、クルトと愛華は周囲の警戒、麗華は魔法で援護しろ!」
「「「「はい(っす)!」」」」
全員がザイクの指示通りに動く。拓哉は飛び込める準備をし、蘭は弓を構えている。クルトは空の魔物を警戒し、愛華は精霊魔法で周囲の森の様子を調べていて、麗華は魔法を使う準備を整えていた。
「ほら来いよ虎!」
ザイクはティガルグを挑発した。しかし、ティガルグも警戒して動こうとはしなかった。
彼の武器は父親の形見の長剣と大きな盾だ。母親のローブは加工して今はマントとなっている。そのマントをひらひらと揺らし、さらに挑発し、攻撃を促す。
その挑発にはさすがにイラッときたのか、ティガルグは吠えながら迫った。が、あえなくザイクの盾によってその攻撃は無効化された。いや、ザイクにも衝撃は伝わっているのだが、それは大したダメージにもなっていない。
「今だ!」
ザイクのその掛け声で拓哉がティガルグの脇腹に乱撃を加え、蘭が正確に矢を放つ。
「“水氷槍”!」
待機状態にしていた麗華の魔法が放たれる。“水氷槍”は一本の氷の槍に高密度に圧縮した水を纏わせ、それを放つ魔法である。この魔法は水属性とその上位互換である氷属性との複合魔法だ。
高圧の水を纏った氷の槍は回転しながらティガルグに向かい、突き刺さった瞬間ドリルのようにその回転数を上げて肉を抉っていく。ティガルグはあまりの痛みに咆哮し、一旦距離を取ろうとする。
——が、拓哉と蘭がそれを許さない。拓哉の猛烈な打撃が足を砕き、蘭の精密な射撃が腿に突き刺さる。
そして、ザイクがその盾で思い切り顎を殴りつけて顔を上へ向かわせて、自身は剣を抜いた。
「終わりだ!」
一閃。ティガルグの首は宙を舞い、その胴体はどさりと倒れた。
「拓哉さんも蘭さんも麗華さんもエグイっすね……。特に麗華さんは頭一つ抜けてたっす。いや、二つか三つくらい抜けてたっす……」
「クルトさん? なにか言ったかしら?」
「ななな、何も言ってないっすよ自分! お、お綺麗だなーって」
「あら。この槍が綺麗なのかしらね?」
「ち、違うっす! それよりも、ザイク団長っす!」
麗華の目だけ笑ってない笑顔は精神的にきついのだろう。クルトは慌てて話題の転換を図った。
「ん? 俺が綺麗?」
「違うっすよ! どこが綺麗なんすか!」
「なんでキレてんだよ……」
「団長は勇者様でもないのに強すぎるっすよ! なんすかあの一撃は! 虎の頭がポーンって飛んでったっすよ!」
「それはまあ、この剣のおかげだ」
ザイクの持っている長剣。これはムラサメと同じように、魔力を吸うことでその切れ味を増幅させることができるのだ。
彼の魔力量は多くはない。だから、彼はここぞと言うときにしかこの技を使わないのだが、その一撃はどんなものでも切り裂くのではないかと言われるほどだ。
ティガルグの首を容易く斬ることができたのもこの技のおかげである。しかし、もし相手がルボアレグだったのならばスキル“硬質化”によって弾かれていた可能性もあった。
「団長さんってやっぱりすごいね麗華ちゃん!」
「ええ。私が尊敬している人物の一人よ」
「ねえ、拓哉くんも「やめなさい愛華」ふわっ!」
拓哉に話しかけようとした愛華の口を咄嗟に塞いだのは麗華だ。
もちろん、彼女が愛華を止めたのにはれっきとした理由がある。
「愛華、邪魔しちゃだめよ。見て、あの拓哉の緩みきった顔。よほど蘭と話せるのが嬉しかったみたいね」
「ほ、ほんとだ……。拓哉くんの鼻の下伸びてる……」
「それに、蘭も顔が赤いわ。だから、ここは暖かく見守ってあげましょう」
「そうだね!」
麗華の言葉に納得する愛華。二人は暖かく見守るという意見で合意した。
もっとも、拓哉たちの会話内容はというと……。
「赤峰、さっきの矢すごかったぜ。あんなに深く刺さるもんなんだな! 俺感心しちまったよ!」
「そ、そうかな……。なんか、照れるね。でも、北條くんの蹴りもすごかったよ? すぐに足の骨を砕いてたし……」
「あ、ありがとう……。でもさ……」
「いやいや、北條くんの方が……」
といった具合のえげつない会話なのだが、本人たちが楽しそうならばいいのだろう。
「よし、じゃあ解体班を呼ぶか」
そう言ってザイクが取り出したのは簡易魔法具の信号弾である。これを打ち上げると、拠点から解体班が来てくれて、魔物を解体して持っていってくれるのだ。
黄色の信号弾を打ち上げて、解体班を待つ。数分もしない内に解体班が現れたので全員驚いた。
「じゃあ、これの解体と処理を頼む。よし、全員帰るぞ! 今日はこれでお終いだ」
ザイクが先頭だったのだが、すぐにクルトが先頭に立った。
メンバーたちは少しあきれた表情だったのだが、クルトの「俺はみなさんを守るっす!」という言葉に、全員微笑を浮かべた。
境界島の一日目の修業はこうして幕を閉じた。
もう少し、勇者サイドは続きます。