ただ駄弁るお話
2作目
学校帰りに俺は幼馴染の琴音に聞いてみた。
「なあ琴音、前から気になっていることがあるんだが」
「どったの一号?」
「その一号って呼び方のことだ。俺の名前は猛だ。一号なんかじゃない」
「ああ、そのことね」
琴音はニヤッと笑うとこんなことを言い出した。
「じゃんけんで私に勝てたら教えてしんぜよう」
「なぜにじゃんけん」
俺が上から目線なことにツッコミを入れるべきか考えていると、琴音は強引に進めた。
「いいからいいから。ほら、じゃーんけーん」
「「ほいっ」」
俺 グー、琴音 チョキ
「ほれ、勝ったぞ」
「な、なぜ私が……」
「お前はじゃんけんの初手で必ずチョキをだすからな」
「勝敗は勝負の前から決していたのか……」
「ほら、中二病みたいなこと言ってないで教えろ」
俺が若干呆れながら言った。
「んっとね、仮面ライダー一号の名前が本郷猛なんだよ」
「……それだけか」
「うん、渾名なんてそんなもんでしょ」
「それもそうだな」
それから少し歩くと分かれ道にでた。ここから俺は右、琴音は左だ。
「じゃあな琴音、また明日」
「うん、また明日」
琴音と駄弁りながら帰る、そんな日常。