ラクシュミー&サティ
野次馬達の一人をひっ捕まえて聞きだした、記念碑のほど近くにある一軒のお食事処――
分量の割にはお手頃なお値段でお味もなかなか。
地元の常連客を中心に旅人達にも重宝され、お昼時とあいまって店内はほぼ満員状態と盛況だ。
そんなお店の片隅で、サティは苦虫を噛み潰したような顔に、凍った笑みを貼り付けて座っていた。
「………………………………」
カチャッ
パクッ
モギュモギュ
ゴックン
清潔な敷布が敷かれた食卓に、次々と重ねられていくお皿の山。
周りから突き刺さる視線が痛い。
「どうしましたの?サティさん。 召し上がりながら話してくださって構いませんのよ」
「はあ………」
ラクシュミーの豪快な食べっぷりを見ているだけで、お腹がいっぱいになってくる気がする。うっぷ……
いったいどこに入っているのだろうか?
肉・魚・野菜料理を実にバランスよく五人前は平らげているはずなのに、スリムな体型に変化の兆しはない。
「……あれは、一週間前のことでした――」
こんな所で胸焼けしている暇はないのだ。
サティは食卓の上で指を組んで、気を取り直すと、感情を抑えながら淡々とした口調で事の詳細を語り始めた。