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7 笑顔の裏側

そのまま彼女を家まで送り、僕は家路についていた。

彼女の家に着くまで、僕等はずっと手を繋いでいた。

目が合うたびに微笑む彼女につられて

僕も顔を赤くして笑った。

会話は少なかったけれど、お互い満足気だった。

彼女との会話を思い出しながら歩く。

自然に口の端が上がってしまう。

本当に幸せだと、心からそう思った。



翌日、学校に登校した僕は

急いで教室へと入った。

時計を見ると、もう少しで遅刻するところだった。

危ないところだった。思わずほっと息を吐く。

彼女の方を見ると、目が合った。

「おはよう」

笑顔で言う。すると、彼女も笑顔で

おはよう、と返してくれた。

いつもと変わらぬ笑顔。

しかし、それはどこか悲しげだった。

僕は疑問に思い、彼女に聞いてみようと思った。

しかし、その瞬間チャイムがなる。

まだ支度を終えてない僕は、慌てて席に戻った。

少々心懸こころがかりだが、見間違いだろうと

自分で納得し、支度を急いだ。



あっという間に午前の授業は終わり

昼休みになる。

僕は彼女と一緒に、屋上で弁当を食べていた。

最初の頃に比べると、段々と会話も増えてきて

さらに楽しくなってきたところだった。

会話は充実している。

しかし、彼女が見せる笑顔の回数は

確実に減っていた。

笑顔には、明らかに不安と悲しさが滲み出ていた。

思わず気になり、聞いてみる。

「・・・ねぇ」

「何?」

彼女は笑顔でこちらを向く。

「・・・何かあったの?」

一瞬の沈黙が生まれた。

野球部が昼練習をしていた。

大きな掛け声が聞こえる。

グラウンドは騒がしかった。

「何で?別に、何ともないよ」

笑顔を見せる彼女。

しかし、その笑顔には明らかに不安と悲しみが滲み出ていた。

「そう・・・」

何ともなかったようには見えない様子だけれど

これ以上詮索するのは止めにした。

たぶん、これ以上聞いても彼女は

同じように笑顔を振りまくだけだ。

痛々しげな笑顔を見るよりは、彼女を元気づけられる

ことを言ってあげたほうがいいと思った。

僕は何かないかと考えた。

すると、彼女が僕の手を握ってきた。

僕は驚き、彼女の顔を見る。

「ねぇ。・・・けんって呼んでいい?」

その綺麗な眼差しが、僕の鼓動を早くする。

「うん・・・いいよ」

僕がそう答えると、彼女は微笑んだ。

「じゃあ、僕も実那って呼ばなきゃね」

僕が言うと、彼女は少し驚き

それからはにかんだ。

「ちょっと照れるね」

頬を赤くして笑う、彼女の笑顔は

先ほどとは違い、今まで通りの

明るい笑顔だった。

恥ずかしく思いながらも、僕はほっとした。

その時、チャイムが響いた。

僕と彼女は、一緒に教室へと戻っていった。




放課後、賢と別々に帰ることになった実那は

一人で靴箱に立っていた。

靴を取り出す。

すると、靴の中に紙くずがたくさん詰め込まれていた。

「・・・・・・」

靴を一旦置き、紙くずを一つ取り出す。

それを広げる。文字が現れた。

実那は目を閉じ、息を吐く。

そこには、悪口や実那を批判する言葉が書かれていた。

ゆっくりと目を開け、紙を見る実那。

その表情は、とても悲しげだった。

紙くずを取り出し、清掃用に使われる

ごみ箱に紙を入れる。

靴を履き、学校を出る。

嗚咽おえつを漏らさないよう

強く噛み締める唇。

その後姿は、悲しみに満ちていた。



いつしか雨も降ってきていた。

かなり更新遅れて申し訳ありません(汗

まさか85日以上も更新していなかったとは・・・

これを読んでくださっている方

すいませんでしたorz

今度からはあまり間を空けないよう

努力します。はい。


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