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14 悲しみ

オレンジ色の光が差し込む廊下を

全力で走る。

誰も追ってきていないことは

分かっている。

それでも、全力で走りたかった。

途中で止まってもよかった。

でも、走るのをやめたら

いけないような気がした。

階段を駆け下りる。

靴箱まできたとき、足は自然と

止まっていた。

呼吸を整える。そして、気がついた。

気付いたときには、もう遅かった。

「・・・はぁー・・・」

ため息にも似た息をつき、実那はしゃがみ込む。

賢に怒ってしまったことを、実那は後悔していた。

心配してくれているのに、何故怒ってしまったのだろう。

心の中には、後悔と悲しみだけが

渦巻いていた。



これは喧嘩というものだろうか?

彼女は怒ってでていってしまった。

僕は、何も考えられなくて

ただその場に立っていた。

しかし、心の中は冷静だった。

それと同じに、悲しみに溢れていた。

たぶん、彼女が怒ってしまったのは

自分がいじめられていると

認めたくないから。

その気持ちは、よく分かる。

だけど・・・

目を伏せる。

グランドからは、野球部の

声が騒がしく聞こえる。


――僕の前くらい、素直でいてほしかった・・・。


それは、贅沢な悩みだろうか?

それでも、ちゃんと話して欲しかった。

お互い、想っている同士なんだから。

目を開け、窓の外を見る。

部活の練習風景の中、一人校門に

向かっていく生徒の姿を見つけた。

美しい髪をなびかせて歩く

それは彼女だった。

その後姿は、悲しみに包まれていた。

僕は改めて思った。

彼女は、とても美しい。

そして、とても悲しいと。

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