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オルゴール

作者: 堤 伸一

からくりオルゴールを見て、こんなのもありだろうかと書いてみました。この分野には詳しくないのでウィキペディアさんに頑張ってもらいました。

 彼は焦っていた。オルゴールコンクールの締め切り日が迫ってきたからである。

 彼の作品はいつも驚きに満ちていた。ゼンマイ式の古風な見た目ながら、繊細なメロディーと共に1体の人形が盤面を舞い踊るのだ。棒などで固定されている様子はなく、仕組みをきいても彼はいつも謎めいた微笑みしか返さなかった。


 既に人形に踊らせる演目は決まっていた。フィギュアスケートをイメージさせるスピード感あふれるものだ。それにあわせた曲も着実にディスクに刻み込まれ、思い通りのタイミングで印象的な和音を奏でた。


 夜を徹した作業が続き、締め切り日の朝となった。木の板を組み合わせた箱の横には手回しハンドルがある。箱の上にはガラスの板が張られており、その下に観客席に取り巻かれた銀盤の上で小さな人形が立っていた。


 審査会場に持ち込まれたそれは審査の順番を待っていた。やがて出番となり、ハンドルを緩やかに回し始めると繊細で軽妙な音楽と共に、銀盤の上の人形が盤面をすいすいと舞い踊った。曲が終わる頃合いに人形も銀盤の中央に戻り、あたかも観客にアピールをしているようだった。


 審査も終わり、例年のように高得点を得た彼は、謎めいた微笑みでいつもの質問に答えることなく自分のオルゴールの横に立っていた。人もまばらとなり終了時刻も迫った頃、白髪の老人がゆっくりと近づいてきた。

 「いつもながら見事な出来映えじゃった、毎年見せてもらってきたが、やっと今年の作品で仕組みがわかったよ」

 「なにがですか?」彼は老人の目が笑っているのに気づいた。悪意はなさそうだ。

 「磁石で裏から操るにしてはなめらかすぎる、かといって人形にからくりを仕込む余地はない。」

 彼は老人が話す様子をきいていた。今までもここぐらいまでは言われてきたのだ。


 「今回は今までになくスピードが出ておった。それで聞こえたんじゃ、ふいごの音がな」

 「あぁ聞こえてしまいましたか。音楽で消したつもりでしたが良い耳をお持ちですね」

 「音楽演奏用のディスク、ふいごからの風を観客席に仕込んだ穴から送り出すコントロールをするディスク。風の力で滑りやすくした人形を台座ごと舞い踊らせておったとはな。普通なら吹き飛ばされて転がり回るのが関の山じゃろうて」

 「もうどなたかにお話しされたんですか、このからくりを」

 「おまえさんが話したくないことをワシが宣伝する道理はない。来年も楽しみにしておるよ」


 来年は2体をコントロールしてみようか、青年は老人から挑戦状をもらったような気がした。

実際にあるよ、とか、流体力学をなめるんじゃねぇとか、相変わらず突っ込みどころ満載です。

どーかへこまない程度にご指導をお願いします。

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