4月7日/金曜日(中)ー誘いー
どうも、りゅうらんぜっかです。
初めての方は初めまして
前回の続きで読んで下さっている方は、ありがとうございます。
というわけで中編です。
今回少々野暮用(?)があったため短めになっています。
物語に動きはあるのか…?
それでは、どうぞ!
「うおっ」
曇りを、濁りを知らない空に浮かぶ澄み切った大海が視界の果てを優に超えてどこまでもといってようやく相応の広さを持つそれが豪快に出迎える。
そこから自重することなく存在感を強調する太陽が達也の視界を鋭く奪う。
今日もよく晴れている。そういえば最近雨降っていないな…
快晴の青空をあおぎながら俺たちは昨日と全く同じベンチに座ることになった。
ここは相変わらずの盛況を誇っており、この素晴らしいとしか言いようのない天気を堪能しに今日も大勢の人間が行き来している。
「む」
「…」
「ふふぉぉお…」
しかし如何せんここは前々から言っているように、カップルがイチャつくラブシートなため、そこに3人目が入るとなると少し窮屈な思いを強いられる。
「さてどうしましょうか」
「じゃあまず黒羽ちゃんから座れよ」
…というのは俺から出たものではなく、おかしいかな達也の口から。
エロゲの中でしか恋を知らない達也からそんな気遣いが出てくるとは…
「だってエロゲのイベントで結構こういうの多いんだぜ?そんとき大抵「ありがと」とか「さんきゅ」とか、好意的な反応してくれるからな」
残念ながらそれを謎の微笑をしながら公言してしまってはその好印象は悪印象へと手のひらを返す。
「え…あ、はい」
奇跡的にエロゲの件が聞こえなかったのか、達也からまさかそんな言葉が…という意味を含んでいない素の受け答えをする…というのは俺の先入観がバリバリ入っている。
「先にどうぞ」
俺からもそう勧める。
「…では」
黒羽がおずおずと右側の方へ詰めて座った。
それを確認した後、俺は達也に何の断りも入れずそのまま真ん中に座ろうと抜け駆けする。
ガシッ
「俺の獲物に手を出すな」
肩を掴まれて俺の行為が阻害される。鳥の分際でなにしやがる。
「離せよ」
「駄目だっ!!俺が黒羽ちゃんの隣に座る!」
「えっ!(ドン)」
「よいしょっと」
その真実に気付いて狼狽えている間に俺は肩についている手を取り払い悠々と黒羽の隣に腰を据える。
達也を黒羽の隣に置いたら、罵詈雑言ならぬ卑猥雑言を黒羽に浴びせるのはお約束であり、寧ろそうならなかったときを考えることができない。
ついでにセクハラパワハラも相俟って、黒羽の精神状態を下手したら中原達より悪化させて本気で学校に来なくなるかもしれないので、それの予防だ。
「俺ってどこまで信用されてないんだよ…よっこらせっくす」
「さっそく回収してんじゃねぇよ!」
今のはフリじゃねーよ。
「てへぺごほっ!?☆」
全力で胸部にエルボーしておく。
全く…こんな事をしている場合ではないというのに。
「すまん、こんな奴連れてこなければ良かったな」
「…大丈夫です」
速攻の下ネタにドン引きかと思いきや、意外にもいつもの表情で通している…というかそもそも達也に興味g(ry
いやまぁ、黒羽がそう言うのなら良いけど。
…それにしても、それ以上に。
さっきから黒羽の肩が無条件に俺の二の腕に当たり、黒羽の手が動くたびに腕と肘がこすれあい、そして男には装備されていない甘い香りがその動作からまい、鼻に伝わってくる。
昨日はこのベンチの隅と隅で座っていたからこんな感覚を味わうことはなかったが、今日は肌が触れあうほどの近さであるため否応なしにそれをとっくり堪能させられる。
こんなに近くで女の子の隣に座るのは恐らく小学生以来だろうか、全く、言うだけ非常に虚しいのでこれ以上は言わない。
何ともいえない恥ずかしさがこみ上げてくる。
「まぁ、昼飯食べようか」
この甘い香りに酔いしれるのを防ぐ意味でも、そう彼女に促して俺はさっき購買で買ってきたピザが泣いてむしゃぶりつくであろうピザパンの包装紙を破る。
こんな天気が良いお昼休みなんだから、陽気に触れながら友達と喋って過ごすのが定番であり鉄板、学生らしさだろう。
「すっげすっげ!もずくパンうめぇぇ!」
と歓喜を垂れ流ししながら達也が食っているそれは、円形のパンにもずくが乗っているだけのまさにユーザーを馬鹿にしたとしか思えない『もずくパン』。こいつの大好物らしい。…とやや引き気味で言ってみたものの、コッペパンをほぼ全部くりぬいて粉砂糖をただ詰め込んでいるだけのピザパンをこうして食っている俺もこいつと同類か。
しかしながらこいつと決定的な相違があるとすればこんな風にがっつきながらくって周りから動物に見られるか見られないかだ。
まぁそんな動物を適度に監視するのが本来俺の役割なわけだ。
「ハムッ ハフハフ、ハフッ!!」
…いや、こんなにおいしそうに食べて貰えるのなら、制作者も本望なのかもしれない。
熱いものを食うように食うのは制作者の意図に反していることに間違いないが。
そんな達也を蔑視していると俺の目線の反対側から意識的に反射していた黒羽の香り以外の、特記するなら油モノの臭いが俺の鼻腔に警告してきた。
言うまでもないが黒羽が弁当箱を開いた証である。
たこウインナーと卵焼き、唐揚げのこの三点セットは、もはやお約束というか様式美といったほうがしっくりくる。
ピンク色で小型のなんとも女の子らしい弁当箱に心せましに敷き詰められたオカズとのりたま○がかかったご飯のセットは、目の前に女性が座っていることを再認証させる。
それは誰が作ったものなのかと聞くついでに家族構成でも聞いてみようかな。
単純な好奇心が働いた俺はその探求心を満たすために遠慮なくその小型の弁当箱をつつき始めた彼女に質問をしてみる。
「おいしそうだな。それは誰が作ったんだ?」
「…私です」
小休符があった後彼女はゆっくりと己の制作物だと告白する。
「へぇすごいな。毎日作っているのか?」
「はい」
「凄いな。毎日それだけのものをつくれたら大したものだよ」
「…いえ…殆ど冷凍ですし…」
俺の感心した態度に気恥ずかしさでも感じたのか、謙遜しながら弁当箱とおそろいのピンクの箸を持つ右手がやや箱を覆う形になってそれを隠す。
「いやいやぁ、お母さんは職務怠慢だな」
もずくパンをたいらげて手持ち無沙汰になった達也が、俺の地の文を考慮してくれたのか無駄にタイミング良くそう聞いてくれた。
だが、それはもしかしたら地雷原を裸足で駆ける発言だったのかもしれない。
「―…」
彼女の空気が変わった。
「…あり?」
流石に脳天気で空気が読めない達也でも、白から黒へ真逆に激変したそれに気付いたようだ。
表情だけみれば発言前と殆ど遜色ないいつもの顔だが、態度はどう考えても変動している。
「…お母さんですか」
またしても一面ペンキ塗りたての立ち入り禁止区域に、悠々堂々楽々と入っていってしまったのか。
「…いませんよ」
しかし、返ってきたのは涙と嗚咽の大合唱ではなく、いつも通りのトーンを貫いたいつも通りの調子の返答。
「お父さんも…姉も弟も兄も妹も…」
「わたしは…ひとりです」
何かを思い出しながら語るように彼女は目の前の弁当を遠い目で見ながら淡々と自嘲気味に答えた。
泣いても怒っても笑ってもいない、ただ俯きがちに哀愁漂う顔を浮かべている。
「ごごごごめんよ。無神経だったわ」
首に手をかけぺこぺこ謝る達也。
「…いいえ、気にしないでください」
寧ろここで逆ギレして達也につっかかってきたならそれはそれで革新的な新しさだっただろう。
まぁなにがともあれ彼女には家族がいないということが確定した。
そう言う事ならばあの時の発言もうなずけるか。
しっかりと光が入った瞳の奥底に眠るもう一人の黒羽の詳細を、もう一度脳裏に保存していたモノを取り出して思い出してみる。
『私のことはもう放っでおいて!私がいなくなっでも…誰も悲しまない…むしろ望まれているのよ!そんな存在は…ぞんな存在は消えて無くなって!みんなのぎおくから消えてしまえばいいのよ!』
目の光を失い、この世に生きる目的すらも見えなくなった無情の瞳が叫んだあの一言。
彼女のその言葉が脳に明確なしわをつくり、焼き付いて離れない。
…嫌に頭に残ってる。
小さい体を優にオーバーする掠れた涙をこらえた叫声。
小さい箱に無理矢理詰めに詰め込んだ感情がついにその容量を超え一気に大爆発させた人間の片鱗を見た瞬間だった。
彼女に二度とそんな目を、声を出してほしくない。
そして改めて、あのとき家族を引き合いに出さなくて良かったと心からホッとした。
もし家族を絡めて話をするという何とも見当違いなことをしていたら今ごろ彼女は血の海で眠っていた頃だろう。
「んまぁ俺の家族ゎ、愛する妹、親父、溺愛する妹、おふくろ、恋する妹、じいちゃん、愛し合った妹…かな」
「…シスコン…ですか…」
「そうそう!…って!文章だけ見れば黒羽ちゃんが受け答えしたみたいに見えるからやめろっっ!」
シスコンであることを否定しない辺りは全性癖を網羅した達也たる所以か。
「…」
「…」
「…」
唐突に『間』が発生した。
会話が途切れてできるこの間というのはなんとも気まずいものがあり、無性に話題を探したくなる。
「…ふっふふんぅううんッフッフ」
このなんともいえない重圧に耐えられなかったのか、俺の隣の男はこの空間を埋める謎の鼻歌を歌い始める。
その気持ち、分からないでもないがやってしまっては負けだ。
「なに歌っているのかは分からないが、そんなに歌いたいならカラオケでも行ってこいよ。一人で」
取りあえず俺も会話を続けるために適当に乗ってみる。
「カラオケ…?」
未知なる単語を聞いてその単語自体の意味が分からないため、言葉を噛みしめるようにカラオケを復唱する達也。
「すまんすまん、お前がカラオケなn「カラオ…アッーーーーー!!」
「ヒッ…!」
俺が喋っているのを諸共せず達也の叫び声が黒羽の肝を震わす。
「うっせぇな…」
「カラオケだ!」
喜々と凄いモノを閃いたかのようにそう言う達也だが、そんなこと天地がひっくり返っても有り得ない。
「は?」
「カラオケだよぉ!」
目をひん剥いてただでさえ肩と肩の距離しかない顔を馬鹿みたいに近づけてくる。
「カラオケがどうしたんだ」
キスを要求してくるキス魔な彼氏を引きはがすように俺はその無駄に近いフェイスを両手を使って押しのける。
「明日!明日!行くんだよぉお!」
何をこんなに狂ったようにうれしがっているのか心底理解できないが、とにかくこいつはカラオケに行きたいらしい。
ちらりと後ろを見れば、若干のおびえを残しつつも達也の奇行を生暖かい目で経緯を見つめる黒羽の姿が黒目に映る。
彼女の代わりに俺が首をかしげてその奇怪な言動をする我が親友に、主旨が理解できないという事を体をつかって表現してみる。
「!?まだわからねぇのか?じゃあ俺が甘~くエッチにおしえるが…」
「どうぞ」
「いやそこは流せよ…適当に言ってるだけなんだから」
『適当』を擬人化すればまんまこいつが出来上がるといっても違和感ないので、その台詞は見事なハーモニーをかもし出していた。
「くぁwせdrftgyふじこlp」
「セリフまで適当かよ」
「ん゛ん。これ以上は収集がつかなくなるからやめておくか」
話の軌道が墜落√一直線だったところを達也がなんとか舵を取って脱線阻止する。
2人の視線がこいつに注がれる中、咳払いもそこそこに達也は改めて火蓋を切った。
「話を戻すとだな、明日カラオケに行きたいって言っているんだよ」
「唐突だな」
「イベントだよ、強制の」
とんでもないメタ発言をしてくれる。
…まぁ大体このカラオケの話に持って行く流れそのものが無理矢理感半端ではないので、そう思われても擁護のしようがない。
当時の作者がいかにそれを書きたかったのかが分かる。
「そうだな…」
まぁ流れがどうであれ、正直この提案は俺にとって嬉しい。
というのも黒羽を合理的に連れ出す理由探しに明け暮れていた俺に、ある意味当意即妙な提案してくれたからだ。
2人きりではなく、それ以上の人数で連れ出す方法。
いつもは助け船なのに泥船しか出さず、かえって苦労する羽目になるが、今回は珍しくクルーザーを出してくれた。
この1000年に1度のチャンスを使わないでいつ使おうか。
…しかし、この話が黒羽に通るかと聞かれれば、俺はせせら笑いながら「無理だよなぁ」とぼやくこと間違いないんだが。
「成る程。で?誰と行くんだ?」
まぁやるだけやってみることにしよう。
「いや、誘ってんだけど…」
「誰を?」
「今会話してんだろっっ!?お前達とだよ!…っておい!そこで後ろを振り返らない!誰もいねぇから!」
鉄板の流れを一通りこなして満足したが、こっからは前人未踏の茨道をかいくぐっていかなければならない。
いかにして黒羽を誘うか。
達也と2人だけで行ってしまっては、それではただの休日になってしまう。
「しょうがないなぁ。ってかお前なんか歌えるのか?」
「大丈夫。俺には持ち歌がたくさんあるからな!それはもう銀河の果てまでね!」
「そうか、なら一人でも大丈夫そうだな」
「週8でカラオケ行っている俺に謝ってください」
「まぁどんなに足掻いたところで行くことは因果によって確約されてんだからさ、あきらめろ」
「…そうだな」
くるりと俺と達也の首が目標にロックされる。
「「勿論黒羽ちゃんも行くよな?」」
こんな無駄なところで完全同調したところで誰も得しないし意味もないのに、阿吽の呼吸が発動してしまった。
「え…?」
一斉に完全に聞き役に回っていた黒羽へ振り返ると、その勢いに圧倒されたのか少し顔を引きながらこいつらなにいってんのトーンでそう言われた。
下手をしたらその箸に無様に拘束された鶏の唐揚げが無惨に地面へ散るところだった。
「いいえ…あたしは…」
彼女の性格上当然の反応を示す。
「遠慮しろって!」
「行って欲しくねぇのかよ!」
「あれ…?遠慮しないで…だっけか?」
日本語しゃべれないなら黙ってくれませんか?…というのは自分に対する皮肉も籠もっている。
「…すが…」
馬鹿な会話をしていたら、平静を掴んだ黒羽が制服の第2ボタン辺りに微妙に目を細めた視線を固めた黒羽がさえずるような声でこう答えた。
「…せっかくのお誘いですが…」
嫌な予感は的中へと変異する。
「私は…遠慮します…」
控えめな声で拒否する黒羽。
まぁこうなるだろうというのが、正直な感想だ。
しかしこの発言を二つ返事するわけにはいかない。
無駄なあがきをしてみせる。
「…どうしてだ?」
「わたしが…人と遊ぶなんて…。それに…」
聞き捨てならない言葉を聞いた気がしたが、ここはその次の言葉に集中することにする。
「…それに…?」
「その相手が…男の子二人だなんて…」
段々と目が横にスライドし、弁当を食べる行為すらキャンセルして俯く彼女。
そのセリフの『男』を『女』に置換して俺が彼女の境遇に立ったなら、俺は何の躊躇いもなく『断る』の選択肢を選ぶだろう。
だが、何故か分からないが昼間の彼女は比較的元気なことが多く、意外に奥まで突っ込んだところまでいくことができた。
―とはいえ普段同姓とも関わらない人が安易に男2人と遊びにいくというのは破格の中の破格であり、その条件は呑むことは難しいか。
そんな状況下に陥っている黒羽を…無理にでも誘うか、否か。
☆選択肢
┌1 無理にでも誘う
└2 あきらめる
無理にでも誘う…というのは語弊がありすぎる。これでは有無を言わさずホテルに連れて行くAV展開と受け取られても不思議ではない。
ここは『もう少し粘る』と表記した方が読み手に誤解されることはないであろう。
というワケでここは1で行かせてもらう。
…このチャンスを逃してしまえば次は2度と来ない気がしてならない。
それに1ヶ月の間に依頼人と数回話せば1000万もらえるような冗談じみた非現実的な提案だとは思えないし、うまく交渉すれば黒羽も折れてくれるはずだ。
…それこそ己の願望を押しつけているだけだが、そう思わなければ気が気でない
彼女を元気づけるチャンスは今しかないんだ、もう少し彼女の説得を試みることにしよう。
「黒羽、どうしても…だめなのか?」
「……」
キュッと下唇を甘噛みして返答をしてくれないのは迷いからかなのか、それともハッキリ断れない自分に対する苛立ちからか。
前者であると願いつつ仮定すると、行く行かないの境界線で平行線を彷徨っている彼女に『行く』側に背中を押してやるためにはどうすればいいか。
通信販売なら『おまけ』や『特典』をつけてうまみを演出するのが常套手段だが。
…特典?
「あずきちゃんだっっ!」
「!?」
弾けたように立ち上がった達也はまるで自分が思いついたかのような顔をして超元気っ子である彼女の名前を挙げた。
相変わらずやることやることに統一感というか前触れがないため、そのたびたびに黒羽を驚かせている。
そんな眼球を小さくして驚きを惜しげもなく表現している黒羽に向かって達也は人差し指を前に出してこう提案した。
「あずきちゃんも一緒に行こうじゃあないか!それならダブルデートみたいでいいだろ?」
その善し悪しやダブルデートはともかく、その提案は実に魅力的だ。
あずきちゃん…名字をあげるなら栗崎も一緒に行ってくれれば黒羽も行きやすくなるし、彼女達の仲も深まるに違いない。
彼女を元気づける…という名目にこれほどまでそぐう人選はないだろう。
「それはいいな、栗崎なら必ず来てくれるだろうしな」
俺も全面的に同意を示して彼女の顔色を確認すれば、『栗崎』という単語に釣られて随分良い顔色が釣り上げられている。
やはり彼女も栗崎が気になっており、仲良くなりたいと思っているはずだ。
それほどまで栗崎の『友達』発言は、黒羽の中で革命的な打撃力をもった言葉だったのだろう。
「どうだ?黒羽」
もう一度彼女の意志を聞いてみる。
「…そうですね」
ん、好感触。
「パッジェーロ!パッジェーロ!」
「…わかりました」
「当てることを?」
「いえいえ、カラオケにいくことについてです」
視線を上げ、上目遣い気味に言葉を紡ぐ。
「…わたしも行かせてください…」
彼女の意志で、本物の意志で、彼女は俺達とカラオケ行くことを同意してくれた。
半分誘導したような気がしないでもないが。
「よし!それじゃあ決まりだな」
「お願いします」
「そんなことない。せっかくの休日だし、楽しもうか」
つい緊張がゆるんだ微笑を彼女に向ける。
ようやくギャルゲーらしいイベントがきたじゃないか。
「よーし、魔法少年達也ちゃんが、ガンガン歌っちゃいますからねー」
「お前はエロゲソングしか歌わねぇけどな」
良曲が多いというのは事実だが。
「歌う前からそんな先入観うえつけてんじゃねーよっ!―…その通りだけど(ボソッ」
「え?なんだって?」
「な…なんでもないわよっ」
ぷいっとそっぽを向く。
ここテン。
「…」
黒羽のその何とも言えない無表情が俺達の胸に深く突き刺さるのだった。
「って同じオチかよっっ!」
というわけで中編終了です。
ようやくギャルゲーらしい展開になるようです。
女の子達と何かをするという話はこれが最初で最後かもしれないですが…。
それでは最後まで読んでくださりありがとうございました。