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夏の夜の夢①~先生が好き

白衣のナースは人事課に呼ばれる。


附属病院の学園本部から正式に人事異動が発せられたのだ。


「君に頼みたいのだ」


病院から研究所への出向を告げられ喜びの顔である。

「学園の医学部附属病院の医療職が元来の身分なんだが」


学園本部としては国立大と良好なコネクションを保ちたい。


人事課は苦慮して白衣ナースの出向を命じる。


「ナース業務は一旦お休みにして欲しい。要は研究室の秘書さん」


憧れのドクターと一緒にいられるのならっ白衣を脱ぎ捨ててしまいます。


「私でよろしければ」


18歳乙女は胸が高まってしまう。


数日後国立大へ正式に出向が伝わる。


ピッ~ピッピッ


ナースの携帯メールが知らせる。


「あっあらっ」


憧れのドクターからであった。


"僕らの研究室の秘書になってくれるんだって?"


面々と文面はあった。


"時間が空けばウェルカムパーティーしたいが"


これだけ忙しくなると我が身を律することすらもままならぬ


「先生っ宜しくね。早く研究室に参ります」


他の研究者らも大なり小なり睡眠不足で栄養失調のようである。


ナースでなくとも"健康管理"に気をつけて欲しい。

「えっ!なんだって。ナースさんがいなくなるのかい」


外来病棟の患者さんに人一倍に人気のナースさんである。


「外来を辞めるなんて。いきなりじゃあないか」


新人さんが頻繁に病棟や外来担当と移動することは珍しくはない。


「でもさあっ。附属病院に勤務しなくなるんだろ」


どちらに消えちゃうのか


「行き先ぐらい教えておくれ。僕らのアイドルさんなんだから」


まさかっナース辞めてカワイコチャンアイドルに転身するんじゃあないね。


芸能プロダクションにスカウトされたのか


「ううんっ。ちょっと事情があってね」


学園の医療職を辞めるわけではないから。


内科ナースフアンがわんさかと集まってしまう。


医療(メディカル)しか知らない新人ナースも困ったものだけど」


休憩室はいつもワイワイガヤガヤ


賑やかである。


ナースが寄ると触ると噂話しに華が咲く。


「あの娘って外来はずれるんだって。どこに配属されるの」


外来から移動?


「病棟にいくの?欠員だったかしら」


この人事異動は早いんじゃあないの。


何かトラブってさぁ


飛ばされるのかしら


「トラブって…あの若いドクターとのトラブルが原因じゃあないの」


ヤダァ~


「いわゆる"禁断の恋"ってやつ?」


あれはジョークでしょ


「世間知らずのナースはドクター好き好きって夢中になって」


憧れのドクターは間違ってもナース風情に


恋心を持ってナースに本気になる医者なんて


「万にひとつもないわ」


この世のドクターにいないわ


パクっパクっ


休憩室のナース一同の口と手の動きは俄然と激しくなる。


「そのとおりよっ」


パクっパクっ


眼前の甘い菓子や饅頭に手を出した。


「万が一だけど…」


年輩ナースが顔をしかめて声を潜める。


(ナースと)結婚する可能性があるとしたら


「ドクターの子供が宿した時じゃあないの」


えっ!


パクっ~ンパクっ


菓子を2つ手掴みしてさっさと病棟に戻ってしまう。

「子供ができたって…」


やっヤダァ~


無責任なこと言わない!


あなたは産婦人科外来だからっ


若い医者に対して


ハレンチじゃあないの


「宿して?ドクターの赤ちゃん…だって!ドクターに対して不純じゃあないの」

医療従事のナースは"白衣の天使"なのよ


病棟ナースの身持ちはしっかり堅いのよ


「あらっ!あなた堅いの?」


あなたは昔から軟弱だったんでしょ


「ドクターと薬剤師さんと変な噂が山とあるじゃあない(大卒大好きナース)」


ゲっ~狙い(ターゲット)は玉の輿(こし)じゃあないの。


「そう言われたくないなあ。たまたま好きな男性がそれだっただけよ」


ヤダッ~


男性遍歴~


(男の話題は火に油を注ぎます)


あんな男もいた


ウンウン


こんな男があった


へぇ~へぇ


(患者さんに)ちょっかいを出した


ナースは病棟のアイドルさんでもある。


気をしっかり持たなければ良からぬ男に弄ばれてしまう。


「患者はお客様よ。もういけない"おたんこナース"」

新米からベテランになるにつれ華麗な男性経験。いやっ男性遍歴があるのである。


パクっン


男性経験?


ゴックン


「私だって(30歳前までは)附属病院の女王蜂とか言われたんだもん」


パクっパクっ


美人ナースが男を求めたら

好きに勝手に


入れ喰い状態


「単に"下手な鉄砲数打ちゃあ当たる!"物量作戦だっただけでしょ」


ヤダッ~


私ってさあっ~


「看護学校の同期の中でもカワイコチャンの部類だったんだから」


患者さんから人気絶大!


「単なる淫乱女じゃあないの」


まあっ~


淫乱だなんて失礼ね。


休憩室の茶話会は男で一気に盛り上がってしまった。

「ところでドクターはどうなったの」


ドクターとナースの禁断の恋は


「えっ!禁断?」


ヤダなあっ~


「まだまだお天道(てんとう)さまが明るいじゃあないの。夕方5時過ぎになったら教えて差し上げますわっ」


附属病院での意味深な禁断の恋


易々と当事者のナースは口外はしかねるのである。

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