ギルドという装置
市場の喧騒は、もう日常になりつつあった。
魚を売る漁師。
木材を運ぶ職人。
値段交渉する商人。
村だった場所は、確実に“都市”へ変わっていた。
「……人が増えすぎたな」
俺は広場を見下ろしながら呟いた。
セリーナが頷く。
「はい。
秩序が必要になってきました」
◆ギルド設立プロジェクト
視界にUIが浮かぶ。
【都市機能】
新規解放:ギルド設立
効果:
・職業管理
・治安向上
・税収安定
・外部勢力との交渉窓口
必要条件:
・人口150以上
・市場Lv1以上
・財政黒字
(全部クリアしてるな)
俺は即決した。
「やる」
◆ギルド長候補
問題は、人選だった。
「誰に任せるか、ですか?」
セリーナが言う。
「そうだ」
俺は考えた。
貴族?
商人?
漁師?
(どれも危険だ)
その時、アリアが言った。
「……中立の人がいいと思います」
「中立?」
「はい。
どの勢力にも属しすぎていない人」
俺は理解した。
「つまり、外から来た人間」
アリアは頷いた。
「移住者の中に、適任がいるかもしれません」
◆謎の男
その日の夕方。
俺の前に、一人の男が連れてこられた。
年齢は30代前半。
落ち着いた目をしている。
「名前は?」
「カイル」
それだけ言った。
セリーナが耳打ちする。
「元冒険者だそうです」
「ほう」
俺はUIを見る。
【人物データ】
名前:カイル
職業:元冒険者
能力:
・交渉Lv3
・治安管理Lv2
・組織運営Lv2
危険度:低
忠誠度:未確定
(ガチで使える人材だな……)
俺は決めた。
「ギルド長をやってくれ」
カイルは驚いた。
「俺が?」
「嫌なら断っていい」
「……なぜ俺なんだ?」
俺は答えた。
「お前は、どこにも属してない」
カイルは少し笑った。
「面白い坊主だ」
◆ギルド設立
翌日。
ギルドの看板が掲げられた。
【ギルド設立完了】
効果:
・治安+15
・失業率低下
・犯罪発生率低下
・外部依頼解放
だが、その瞬間。
UIに赤い通知が出た。
【警告】
犯罪勢力の接近を検知
「……来たか」
俺は呟いた。
◆盗賊の影
夜。
市場の裏で騒ぎが起きた。
「金を出せ!」
「やめろ!」
盗賊だ。
カイルが剣を抜いた。
「ギルドの初仕事だ」
冒険者たちが動く。
俺の視界に新しいUIが開いた。
【都市防衛イベント】
敵勢力:盗賊団(小規模)
被害予測:中
選択肢:
A:冒険者に任せる
B:領主兵を動員
C:報酬を上げてギルドを強化
D:自ら介入
(完全にRPGフェーズだな……)
俺は選んだ。
「B」
◆都市防衛
兵士たちが動く。
盗賊は抵抗したが、数で劣った。
短い戦闘の後、逃走。
被害は最小限だった。
【防衛結果】
被害:軽微
満足度:+8
治安:+12
ギルド信頼度:上昇
セリーナが微笑む。
「成功ですね」
「ああ」
だが――
俺は気づいていた。
(これは序章だ)
◆ヒロインの告白未満
夜更け。
俺は城壁代わりの柵の上に立っていた。
そこに、アリアが来た。
「眠れませんでしたか?」
「ああ」
しばらく沈黙。
やがて、アリアが言った。
「……レオン様は、転生者ですよね?」
世界が止まった。
「……なんでそう思った?」
アリアは小さく笑った。
「私も、だからです」
俺は息を呑んだ。
ついに――
核心に触れた。
◆次のフェーズ
その瞬間、UIが更新された。
【特別イベント解放】
「転生者同盟」
効果:
・戦略精度上昇
・新スキル解放
・隠しルート開放
俺は理解した。
(この世界、俺だけのゲームじゃなかった)
こうして、
俺の領地経営は――
“二人プレイ”に突入した。




