市場の誕生
朝の村に、今までなかった“音”が混じり始めた。
――人の声。
――値段を交渉する声。
――笑い声。
俺は村の中央広場に立っていた。
「……市場、か」
セリーナが隣で言う。
「はい。
村に“経済”が生まれました」
◆市場建設フェーズ
視界にUIが浮かぶ。
【都市プロジェクト】
名称:簡易市場
進捗:100%
建設コスト:中
維持費:低
効果:
・交易量+
・財政+
・商人誘致率+
・満足度+5
(これで、金が回り始める)
俺は深く息を吸った。
だが――
問題は、同時にやってくる。
◆商人の来訪
「ここが噂のアルヴァレス領か」
派手な服を着た男が現れた。
商人だ。
「港と市場を同時に作ったって聞いた。
なかなか大胆じゃないか」
俺は答える。
「商売する気はある?」
「もちろんだ」
男は笑った。
「だが、条件がある」
「条件?」
「貴族の許可だ」
セリーナが眉をひそめる。
「許可……?」
「そうだ」
商人は言った。
「この辺りの交易は、隣の侯爵家が握っている」
俺は理解した。
(来たな……)
◆貴族の介入
その日の午後。
村に馬車が入ってきた。
豪華な紋章。
侯爵家の使者だ。
「アルヴァレス伯爵家の三男、レオン殿に会いたい」
俺は前に出た。
「俺だ」
使者は冷たい声で言う。
「あなたの領地で、市場が開設されたと聞きました」
「そうだが?」
「許可は?」
「何の?」
「侯爵家の」
俺は一瞬、言葉を失った。
(やっぱり、そう来るか)
◆政治フェーズの開放
視界に新しいUIが開いた。
【政治イベント】
「交易権を巡る対立」
選択肢:
A:従属(侯爵家の許可を得る)
B:対抗(独自交易権を主張)
C:裏取引(利益分配)
D:市場縮小
成功率:
A:高(成長-)
B:低(対立+)
C:中(貴族評価±)
D:確実(経済停滞)
(完全に政治ゲームだな……)
俺は一瞬、アリアを見た。
彼女は黙っていたが、目は真剣だった。
「……レオン様」
「何だ?」
「もし、ゲームだったら……」
俺は心臓が跳ねた。
「え?」
アリアはすぐに言い直す。
「いえ……もし、“計算”できるなら、どれを選びますか?」
俺は答えた。
「Cだ」
アリアは、わずかに微笑んだ。
(やっぱり、この子……)
◆裏取引という戦略
俺は使者に言った。
「侯爵家に伝えろ」
「何を?」
「市場を閉じる気はない」
使者の目が細くなる。
「だが、争う気もない」
「……つまり?」
「利益を分ける」
使者は驚いた顔をした。
「伯爵家が……侯爵家に利益を?」
「そうだ」
俺は言った。
「交易が増えれば、侯爵家も得をする」
沈黙。
やがて、使者は言った。
「……伝えよう」
◆都市ステータス更新
その夜。
UIが更新された。
【都市ステータス】
人口:112 → 134
産業:農業Lv1 / 漁業Lv1 / 商業Lv1
財政:微赤字 → 黒字化
都市ランク:発展村 → 小都市
俺は息を呑んだ。
(小都市……)
セリーナが静かに言う。
「レオン様。
この領地は、もう“村”ではありません」
◆ヒロインの確信
夜。
俺とアリアは市場を歩いていた。
「賑やかになりましたね」
「ああ」
アリアがぽつりと言う。
「レオン様は……不思議な方です」
「何が?」
「まるで、この世界を“設計図”で見ているみたい」
俺は答えなかった。
アリアは微笑んだ。
「……私も、少し似ています」
俺の心臓が強く鳴った。
◆次の段階
自室に戻った俺の視界に、新しい通知が浮かぶ。
【新フェーズ解放】
・都市防衛
・教育機関
・ギルド設立
俺は笑った。
「……ここからが本当の都市経営か」
こうして、アルヴァレス領は、
経済だけでなく、政治の舞台へ踏み込んでいく。
そして――
俺とアリアの秘密も、少しずつ近づいていた。




