表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物語る。  作者: 桃巴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/25

物語る。19

「どこに行きやがった」


ルキオはリリアナを探して、第一師団塔を上り下りしている。

第二調合室は色彩豊かな粉まみれ。

前回は絵の具が飛び散ったような惨状だったが、今回は色とりどりの粉が積もっている。

その掃除を放ったらかして、リリアナはどこへいったというのか。

本当は、感知魔法でリリアナを探せるが、二度めの分析爆発をさせて、第三師団長にきつく言い渡されたのだ、不必要に魔法を使うなと。


それが、今回の分析爆発の処置だと言われた。


ルキオがいついかなる魔法を使ったのか、一週間は観測する……見張り続けると通達されたわけ。


「出てこーい!」


ルキオは声を張り上げた。


「ホッホホーイ」


リリアナが答える。

三階にいたルキオは、一階まで駆け下りた。


「お前、また魔境部屋で休んでいたのか」

「心外な。親愛なる魔境たちに訊いてたの」


「何をだ?」

「鏡よ鏡、私に聞かせておくれ。箒はどこにあるの? って」


「……なぜ、そこまで箒に固執する?」

「そりゃあ、掃除したいから。あの粉まみれの第二調合室は、箒で掃きたいし」


そこでやっとルキオは『あっ』と気づいたわけ。


「だな。箒か……」


清掃魔法や掃除の魔法具で、今や掃除道具は魔術師団には不要の長物。寄宿舎でも使われなくなり、一番奥の部屋に追いやられていたわけで。


リリアナの万能魔法薬を分析した爆発は、清掃魔法も掃除魔法具も効かないのだ。

全て手作業になる。


「ついでだ。第三師団に相談しに行こう」

「なんのついでよ?」


「お前に関係ない」

「あ、そ」


ルキオはフッと頬を緩めた。

リリアナが必要以上に踏み込んでこないから。


「歩いていくぞ」

「プップッ」


ルキオはリリアナをギロッと睨む。


「じゃあ、私が転移魔法する」


リリアナはルキオの手を握った。


「おい!?」


魔法陣を使わずに、リリアナがルキオと一緒に転移したのだ。


「……」

「……」


目前に第三師団長と副師団長セレスがいる。


「ルキオ師団長、リリアナさんに転移魔法は塔外が基本だとお伝えください」


とんでもなく冷静に第三師団長に言われ、ルキオは天を仰ぐ。そこにあるのは天でなく天井だ。


「え? そうなの、知らなかった。エヘヘ」


リリアナが愛想笑いする。

転移してきた場は第三師団塔内の師団長部屋である。


「それで、ご用件は?」


第三師団長の視線がなぜか、下方にある。

ルキオは視線の先が繋がった手だと気づき、手を離した。


「あ、じゃあ、私戻ってていい?」

「あ? ああ。いや、箒の相談だろ?」


「そうだった! 第四師団に潜り込んで拝借しようと思うんだけど」


現在、第四師団は第十師団長が兼務している。元々第十師団は老齢により現役を終えた優秀な団員の勤務場である。

こういう状況時の代役は、いつも第十師団が担うのだ。


「勝手なことをするな。第三師団を通した方がいい」


そこで、ルキオは第二調合室の掃除に箒が必要だと相談する。


「後ほど、お手伝いに行く予定でした」


セレスが答えた。

すでに掃除道具も準備したという。


「流石、第三師団だね。私の用事は終わり。ルキオの用事は知らない。戻っていい?」


半分転移状態になったリリアナの手首を、ルキオは咄嗟に掴んだ。


「へ?」

「待て。一緒に戻った方が手っ取り早いだろ」


「あー、うん?」

「ついでの用事は、お前にも知ってもらう」


「了解」


リリアナを留まらせ、ルキオは第一師団塔封鎖の話をする。


「あの国の使者が滞在中は、第一師団塔は封鎖魔法を展開させる」

「は!?」


反応したのはリリアナだ。

さっぱり背景がわからないから。


「どのような封鎖でしょうか?」


第三師団長が訊いた。


「連絡不可、誰一人入れなくする。もちろん、魔石爆発も効かない強力な防御魔法もかける」

「え? ええ!? 私はどうなるのよ」


リリアナがルキオと第三師団長の顔を行ったり来たりして見ている。


「お前の出入りだけ可能にするさ。私とこいつの転移魔法陣でしか出入り不可の防御壁にする」


ルキオは何がなんだかわからないといった表情のリリアナに言った。


「あ、なーんだ。わかった」


やはり、それ以上を訊いてこないリリアナに、ルキオは安堵する。


「以上だ」


ルキオはリリアナに目配せし、掴んでいた手首を軽く握る。

リリアナが、意を得たとばかりに第一師団塔へと転移した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ