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第五話 誰か説明してください

やはりアチラはスケールが違いますよね!

 俺はついさっきまで無様に喚いていたのが嘘のように、今現在の状況を理解できずにただただ立ち尽くしていた。


「ここどこだよ?霧が晴れたと思ったらどこに出たの?」


 もちろん先程まで山の中にいたのだから、木が生えていてもおかしくはないし、多少は開けた場所にいたとしても理解できる。


 しかし今立っているこの場所が明らかにあの山ではない事がはっきりとわかっていた。


「この木なんの木なんだよ・・・でっけぇな」


 目の前に高さ50メートル、太さで言えば直径20メートルはあろうかと言う超ド級の木々がそびえ立っているからだった。


 あの山にこんな木が生えていたら間違いなく世界中の人間が知っているはずだし、日本を代表する観光スポットになっていただろうし、当たり前の様に歴史の教科書に載っているはずだ、まさか世の中で俺だけが知らないはずはない。


 あまりにも高く伸びる巨木を見上げると、随分と遠くに青い空が見えた。


「いててて、首が攣りそうだわ」


 片手で首を揉みながらとりあえずこの巨木を写真に収めようと作業服のケツポケットに手を伸ばした俺は、そこでまた絶望する事になった。


「うそだろ?マジか?落としたのか?ふざけんなよ!」


 そこにはケツポケットの内布が尻尾のように垂れ下がっているだけで、そこに入っていたはずのスマートフォンはどこにもなかった、もちろんバッグの中にもそれらしきものは見当たらなかった。


「マジでどうしよう?登る道もなきゃ下る道も無いってどうすりゃ良いんだよ」


 生まれてこのかた四十余年、ある程度の生きる知恵はテレビやらネットやらで見聞きしてつもりだし、山で遭難したら下山せずに山頂を目指した方がいいってのも最近ニュースか何かで知ったばかりだ。


「助かったと思った矢先にこれ・・・」


『ブゥーーーーーーーーーンッ!!』


「うわぁ!?なんだ!?」


 愚痴を紡ごうとする俺の頭の上を、突然黒い何かが物凄いスピードで通り過ぎていったのだ。


「な、何あれ?」


 少し前に一度だけ近くで見たプロペラ機のような音だったのもそうだが、得体の知れない謎の飛行体に俺は完全にビビっていた。


「ま、また来る前にここから離れた方が良さそうだな」


 俺は正体不明の存在に背中を押されるようにその場を離れる事にした。


 しばらく歩いていると俺はまた一つ気が付いた事があった、それは何故だか妙に早足で歩けている事だ。


 多少の休憩はしたものの、約1時間半の登山と道に迷って彷徨っていたにもかかわらず、やけに身体がシャキッとしている気がする、なんならどんどん身体の中からチカラが湧いて来るのだ。


「俺、めちゃくちゃ疲れてたよな?さっきまで痛かったはずの左膝も全然平気だし腰も軽いよな?なんでだ?」


 もしかしたら自分の中の生存本能が、もうすぐ死にそうな事を察してアドレナリンを過剰分泌してるだけなのかもしれない、なんて事を考えながらもずんずんと森の中を歩いているとふいに背後からけたたましい音が聞こえてきた


 メキィメキィッ メキメキメキッ

 ベキベキベキベキィ


 あまりの音にビックリしながら振り返ると、そこにはあのとてつもない大きさの巨木に、まるで電車サイズの蛇の様な生き物が巻き付いていたのだ。


「ななななななな」


 その蛇に似た青いナニカが俺の方を見ている気がした。


「なんじゃそりゃーーーー!ーーー!」


 走った、とにかく走った

 少しでもあいつから離れるために

 まさに無我夢中だった。


 気がつけば俺はこの色々バグった森の外れまで来ていたらしい、あれだけ遠くに見えた青空も、森を抜ける頃には少し赤くなり始めていた。


「ここまで来れば、だ大丈夫だよな?」


 幸いな事にあいつは俺を追って来なかったらしい


「さすがにもう走れな・・・くないな?」


 本当に俺の身体はどうなってしまったんだろう?

 ここ何年も全力疾走なんてした事なかったのに、あれだけ走っても少し汗ばむ程度で息一つ上がっていなかった。


「と、とにかく森を抜けたんだし、もうすぐ日が暮れちゃう前に休める所を探さなきゃだな!」


 自分の中で起きている変化を誤魔化す様に俺は今日の目標を決めて、無理矢理そちらを意識する様にしたのだ。

 そうしてまた一歩前に進もうとした時


「あれ?あれって・・・村?」


 もしかしたら俺は今日野宿しなくて済むかもしれません。






























次回は限界おっさん初めての戦闘です

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