第十八話 門出に涙はツキモノですよね?
皆さん、大変遅くなりましたが今年もどうぞよろしくお願い致します。
1人でも多くの人に読んでもらえると幸せです。
俺の異世界放浪の旅が決まってから2日後、俺は村にある大鐘楼の前で、村の人達に向けて今回の旅に向けての抱負を語っていた。
「え〜と、今日は私の為にこのような会を開いていただきまことにありがとうございました、私はこの度この世界を巡る旅に出ることになりました、
皆さんには大変お世話になりまして、心から感謝しています」
『『『『『ウォ〜〜〜〜〜〜!!』』』』』
いや、人前で喋ることに慣れていない俺のド緊張丸出しの棒読み台詞になんでそんなに興奮できるの?
俺の眼前には一面の金髪エルフ、嗚呼そろそろ稲刈りの季節だな・・・
『ん゛っ!ん゛〜〜』
おっと緊張のあまり現実逃避していたらしい、なぜか俺の背後に立っているナイームさんの咳払いで俺を現実に引き戻してくれた。
いや、あんたがルファムさんの話を遮って
『では、サイトー様にも一言いただきましょう』
なんて言わなきゃ、こんな赤っ恥なスピーチかますこともなかったんだけどなっ!?
そんなナイームさんにガンを飛ばす俺の隣に立つルファムさんが、大きく手を広げてながら村人たちに語りかける
『皆さん、サイトー様が我々大神樹の民を救ってくれた事は先日の説明会でもあったように、この先、世界中の人々をお救いくださる為の序章に過ぎないのです!』
『『『『ウォーーーーーーッ!』』』』
パチパチパチパチパチパチ!?
は?ルファムさん?
今なんて?
説明会?
豆鉄砲をくらったような顔で、素敵な横顔を見せるルファムさんを見つめていると
『昨日の夜、村の皆さん総出でサイトーさんの旅立ちを見届ける為の説明会を開いたんです』
と説明しだすナイームさん
何それ?初耳もいいとこなんだけど・・・
『プッ、その顔・・・コホン、サイトーさんが寝返りうちながらオナラしてる間に開かれたんですよ』
いやいやいやいや、待て待て
「いや、100歩譲って説明会があったのは良いとして、なぜ私が寝ている時に開かれたんですかね?てか、なんですか?寝返りとかオナラとか?」
するとナイームさんは、目をぱちくりさせながら
『何言ってるんですか?村の救世主であるサイトーさんのこれからの事を村人みんなで話し合うのは当然じゃないですか、それにワタシはサイトーさん専属の護衛も兼ねてるって言ったじゃありませんか?サイトーさんが寝ている時だってちゃんと監・・・そばで見守っているんですよ?』
と言いながら可愛らしく首を傾げて見せた。
「いや、コテンじゃないんですよっ!?今なんか不穏なこと言いかけましたよね?」
詰め寄ろうとする俺の顔の前に手をかざし静止するナイームさんが涼しげな営業スマイルを浮かべながら
『サイトー様、今は式典の最中です、ルファム様のお言葉を静かに聞く時間ですよ』
出たよ、なんかよくわからないこの人の仕事モードスイッチ、ルファムさんはルファムさんで、俺たちのやりとりを微笑ましいものを見るように見てるし・・・こんな大袈裟にしてくれなくても良いのに
そんな俺達を尻目にルファムさんは村人たちに語りかける
『この度、この村を襲った悲劇はきっとこの世界がこれから大きく変わっていく事の前触れだと私は思っています、だからこそ、サイトー様にはこの村を代表して世界中で助けを求める人々の希望になっていただきたいのです!』
『『『『・・・・・・』』』』
いやいやいやいや、何その話、何その壮大なスケール?村の人もなんか凄く真剣に聞いてるし
「いや、ちょっとルファムさん、さすがにそんな極っ、むがっ、ん?」
さすがに話が盛られすぎていると思い、ルファムさんにツッコミを入れようとしたら、背後のナイームさんに手で口を塞がれた!?
『そして、今回の旅に同行を許された名誉ある者達の紹介を致します!』
「む〜ふ〜ふ?(同行者?)」
え?同行者?地図だけもらって気ままな一人旅だと思ってたんだけど・・・てか、ナイームさんいつまで俺の口塞いでるの?身長差もあるせいか後頭部が優しさに包まれすぎてるんだけど?
『まずは旅の間の護衛を務める、衛士クエルボ』
『『『『おぉ〜〜〜〜!!』』』』
そう呼ばれて壇上の後ろの方から出てきた人は、たしかゴブリン達との戦いの時に一緒に戦っていたエルフさんだ、てかやっぱりエルフって美形だよなぁ〜ずるいわぁ〜
そんな事を考えていると耳元でナイームさんが説明してくれた。
てかいつまで俺の口塞いでるんですかね?
『クエルボは若手ではありますが最近メキメキとチカラをつけてきている衛士で、最近では模擬戦で衛士長から一本を取り、この前の戦闘でもゴブリンにトドメを刺す大役を任されたほどのものです』
へぇ〜、そんな優秀な人が護衛してくれるなんて、やっぱり俺が思っている以上にルファムさんは今回の旅への思い入れが強いんだろうな、旅の同行者がこんな冴えないおっさんで申し訳なくなるくらいだわ
ルファムさんに呼ばれたクエルボさんが俺の右隣に立ち、そのまま膝をついて挨拶をしてきた。
『私はこの村の副衛士長補佐を務めさせていただいております、クエルボと申します!この度サイトー様の旅の護衛を務めさせていただける事に深く感謝致します!』
『オォ〜、クエルボ〜期待してるぞ〜!』
『クエルボニイチャンがんばれ〜』
『さすがは未来の衛士長候補だな!』
クエルボさんむっちゃ人気者じゃん!
てか凄いエリートなんじゃね?
イケメン、真面目そう、将来有望
俺とはまるで正反対だな・・・
「・・・良いなぁ〜」
あれ?
いつの間にか俺の口を塞いでいた手と後頭部を包んでいた優しさが消えていた。
俺が後ろを振り返る同時にルファムさんが話し始めた。
『そしてもう一人、旅の間サイトー様の身の回りのお世話と、この村との連絡役を務めるのは、神官長補佐兼、社宮長のナイームです!』
は?
『『『『『『ウォオォォォ〜〜!?』』』』』』
村の人たちのとんでもない歓声が聞こえてきたのと同時に、いつのまにか俺の左隣にナイームさんが立っている
マジか?
ナイームさんってそんな立場の人なの?
こんな娘っ子が?
俺が驚いている様子を見て少しだけニヤッと笑うナイームさんが、俺の方に向き直り、先ほどのクエルボさんと同じように膝をついて頭を下げた。
『この度は名誉ある大役を任された事を心から感謝申し上げます、ワタクシ神官長補佐を務めさせていただいておりますナイームと申します、サイトー様の旅の間のお手伝いさせていただきます』
マジか〜
一気に不安になってきた
『ナイーム様〜!』
『ナイーム先生〜!』
『ナイームさん、素敵です〜』
『格好いい〜!』
ナイームさん、村の人からめっちゃ人気あるんだな
俺にはなんかすっごいポンコツエルフな気がするんだけど・・・
すると俺の気を知ってか知らずか、膝をついたナイームさんが俺の顔を例のスイッチを入れた顔で見上げた、そして少しだけ口角を上げ小さな声でこう言った。
『これからよろしくお願いしますね、サイトーさん』
・・・うん、こりゃ参ったね
仕事にかまけて更新をしていませんでしたが、ちょっとずつ再開していきますのでよろしくお願い致します。




