第十七話 過大評価もほどほどに
ようやく更新できました。
1人でも多くの方に読んでもらえると幸せです。
『はい、それはかまいませんよ』
「え?良いんですか?」
俺の突然な提案をすんなりと受け入れてくれたルファムさんに、多少の拍子抜けを感じた俺の間抜けな声が神官長室に響いた。
ナイームさんに連れられてやって来た社宮と呼ばれる神官さんの事務所の様な建物の中にある神官長室では、何やら会議の様なものが開かれていたようで、室内にはルシウムさんをはじめ、数人の神官さん達が集まっていたのだが、俺が訪問した事により一時中断し人払いのあと、ルファムさん、ルシウムさん、ナイームさん、そして俺を含めた4人だけで話をする事になったのだが
〝プッ!?プスプスゥ〜〟
室内に流れる変な空気に耐えきれなくなったのか、ナイームさんが俯きながら吹き出した。
それを見て苦笑いするルシウムさん
そして俺の顔をニコニコしながら見ているルファムさん
・・・ナイームさん、覚えてろよ
「私がこの村から出ていっても大丈夫って事ですか?」
俺の再度の問いかけにもう一度笑顔で頷くルファムさん。
『はい、カツヒコさんの決めたことならそれは大神樹の森と聖守アルムナダの決めたことと同意、ですからその決定に我々大神樹の村の者が反対すると言う選択肢はありません』
ニッコニコ、キラッキラのルファムさん・・・マジか、俺がこの村を出る事で、敵さんの注意を村から逸らすことで、万が一襲撃された時に敵の勢力を分散させる事が出来るんじゃないかとルファムさんに伝えたら、あまりにもあっさりと許可が降りた。
自分から出たいと言ったくせに、もうちょい悩むか引き留めるかがあるのかとなんて思っていた。
だけど本当にこんなにあっさりと決めていいのかな?
『もうすぐ認識阻害と転移を無効化する術式が完成するので、この村の事は心配なさらないでください』
俺の考えを見透かすようにそう言うとまたニッコリ微笑むルファムさん。
え?確か今回の襲撃事件って相手側が使っていたいた魔石にルファムさん達が使う魔法による探知が出来なかったことと、転移の魔石を使われて逃しちゃって事が大きく影響しているってナイームさんが言っていたような気がするんだけど・・・
「えっと〜、詳しい事はわからないんですけど、もう問題解決するって事ですか?」
『はい、ゴブリンたちの残留物の中に残った魔石を解析して、ひとつずつ紐解いて行く事で探知にもうひとつ網を上乗せする事が可能になり、認識阻害を無効化することができました、今のところ私だけが使える術式ですが、今後は神官たちを中心に広めて行こうと思います』
あ〜、あれだ、この人
『ルファム様は天才なんです!』そう言って胸を張るナイームさん、それに頷くルシウムさん。
苦戦を強いられたはずの相手の武器をこんなに早く攻略してしまうとは、まさに天才ってルファムさんみたいな人の事を言うんだろうな、そりゃあ世界中の権力者がお近づきになりたがるわけだわ。
俺が感心していると、ルファムさんは少し首を傾がながら
『ん?カツヒコさんどうかしました?』
と聞いて来た。
「いやぁ、ルファムさんって本当に凄い人なんですね、私も不思議なチカラを使えるようになって少し気が大きくなっていたのが恥ずかしいです」
俺がそう言うと、ルファムさんは両手をブンブン振らながら
『そんな、とんでもないです!カツヒコさんがゴブリン達を倒してくれたからこそ、こうして新しい術式の開発も出来たんです、何よりカツヒコさんならこんな術式に頼らなくても解決できちゃうでしょうし、私よりもカツヒコさんの方がずっと凄いですよ』
俺を健気にフォローしてくれるルファムさん、なんて気の利いたお姉さんなんでしょう、俺があと10年若かったら惚れてたね。
『私たちもこの村の為に、そしてルファム様をお支えできるようにより一層の努力をする所存です、ですからサイトー様は心置きなくこの世界を巡り歩いてください、その旅の先にはきっと世界中が幸せになる未来があるはずです』
なんて言いながらウンウンと頷くルシウムさん。
ん?なんて?
『ああ、本当に素晴らしいお考えです、この世界で苦しむ者たちに手を差し伸べ幸せに導くために旅に出るなんて、私を含め歴代の神官長ですら実現できなかったでしょう』
そう言いながら恍惚の表情で俺の両手を握るルファムさん。
あれ?なんか違くね?
「いや、私はそんな大それた事・・・」
『いいえ、カツヒコさん、私たちはわかっています!』
「は?」
ぎゅっと、一層強く俺の手を握るルファムさん。
『カツヒコさんがこの世界にいらっしゃった本当理由、我々への救済はその序章にすぎないと言う事を!』
なんか全然違うんだけど!
俺はほんの少しだけでもこの村に恩返ししようと思って提案しただけなんだけど!
いつの間にか世界全体を救う旅に出るってなってんだけどっ!?
『表面的な平和に囚われてその裏に苦しむ人々がいることを見過ごしている我々の代わりに本当の安寧と光を届ける使者、それがサイトー様なのです』
おいっ!ルシウムさん!変な補足するなや!そしてナイーム!ずっと俯いてるけど、肩がガタガタ震えてんぞっ!わかってるなら止めろや!
『そうと決まれば早速旅の準備をしなくてはいけませんね!村をあげてのお見送りも準備しなければ!』
そう言って立ち上がり部屋を出るルシウムさん
『それでは私は各国代表者への書状の作成に取り掛かります!』
そう言って自室を出て行くルファムさん
「・・・いや、本当、違くて」
相手の勢いに飲まれて言いたいことも言えずに立ちつくす中年男と
『サイトー様の望みが叶ったようで何よりです・・・プっ!?』
完全にこの展開を楽しんでいるナイームさん
お前も出てけ!
また読んでもらえるように頑張ります。




