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第十六話 今までのおっさんとこれからのおっさん

1人でも多くの人に読んでもらえると幸せです。

 特殊?な祝勝会の次の日の村内はそれはそれは酷いことになっていた。


 あれだけの酒を飲んだにもかかわらず、俺の目覚めはスッキリしたもので二日酔いにもならなかった。大酒飲みをウワバミって言うこともあるくらいだから、コレもアルムナダの加護ってことなのかもしれない。


 ルファムさんに念のためと言われて泊まった医務宮を出ると、道のあちらこちらに行き倒れているエルフ達の姿があった。


 きっと盛り上がり過ぎて帰りの道半ばて力尽きたのだろう、日本でも終電を逃した酒呑み達が終電逃して討ち死にしている姿を見た事があるが、まさか異世界でも見られるとは思わなかった。


 それから2日が過ぎ、俺は暇を持て余し村の中を散策していた。


 初めは会う人会う人に引き止められ、握手を求められ、しまいに抱きつかれもしたが、2日もすればみんな慣れたもので軽い挨拶をするだけで俺への興味は薄れていったようで、なんだか転校生になった気分だった。


 そんな俺だが、ひとつ気になっている事があった。


「どうして私の後をついてくるんですか?」


『どうしてって言われても、コレがワタシの仕事ですからね〜、サイトーさんは気にしないでください♪』


 そう、俺が村の中を歩いていると必ず背後になんちゃってキャリアウーマンことナイームさんがついてくるのだ。


「仕事って、貴女ルファムさんや神官さん達の補佐とか言ってませんでした?私に付きまとってる必要ないと思うんですけどね」


 ここ二日間寝る時以外ずっと後ろをついてくるストーキングエルフに、人のいない小道に入った勢いでつい言葉が強くなってしまった。


『何言ってるんですか〜、サイトーさんがこの村で不自由なく過ごせるようにサポートするのがワタシの勤めなんですよ〜、ルファム様からも最重要任務って言われてるんですからね〜』


 マジかよ、ストーカーじゃなくて公式サポーターだったとは・・・


「村の人達には良くしてもらっていますし、今の所何の不自由もしていないんで、ナイームさんも通常通りの仕事に戻っても良いと思いますよ」


 正直こんな美人に一日中行動を監視されていると気が休まらないのだ、だっておいらは由緒正しき日本のおっさんなのだから、鼻もほじりたいし屁もこきたい、何なら最近元気のないムスコの世話もしてやりたいのだ。


 そんな中年の気持ちを知る由もないナイームさんは、まるでわかってないなグリーンボーイと言わんばかりに大袈裟に手を広げ首を横に張った。


『ふぅ〜、やれやれ、サイトーさん、アナタ本当にご自身の立場がわかってないみたいですね〜』


 まるで海外のドラマのようなオーバーリアクションに少しだけイラっとした、なんだコイツ?


「俺の立場?それってどう言う意味ですか?」


 するとナイームさんはふにゃふにゃしていた顔を少しだけ引き締めながら答えた。


『良いですか?サイトーさんは我々大神樹の村をリンセンツ商会、そして大国イグニシアの脅威から救ってくださった言わば救世主なのです』


 え?なにそれ?


『と言う事はいつ敵がこの村の最大戦力であるサイトーさんを狙ってくるかわかりません、そんな時にヤツらの襲撃からサイトーさんを護る為にワタシがいるんですね〜』


と豊かな胸を張りドヤるナイームさん


「チェンジで」


『え?』


 ああ、やべやべ、ついポロッと本音が出ちゃった。

 なんだよそれ、聞いてねーよ、なんだよ大国って・・ただの喧嘩とかいがみ合いじゃなくて国同士の戦争レベルだったのかよ!


 だったらなおのこと、こんな変な子じゃなくてルシウムさんやフォッゾさんが適任なんじゃねーの? 

『あ〜!?サイトーさん、ワタシの事疑ってますね〜?』


 あれ?バレてる


「いや、そんな事はないんですけどね、急に知らない設定が入り込んできたもんで処理能力が落ちたといいますか、他に適任がいるんじゃないかと言いますか・・・」


 俺がそう言うとナイームさんは頬っぺたを膨らませながら俺に顔を近づけて来た。


 いや、可愛いけども


『サイトーさんにも説明しましたけど、ワタシはルファム様や他の神官さん達の補佐が出来るくらい優秀なんですからね〜、子供たちにも勉強以外に神力の扱い方を教えたりするんですから!コレってワタシの歳では結構凄いことなんですよ〜』


 やたらとプリプリしながら『上から数えたほうが早いくらい強いんですから〜』とか言ってるナイームさんを横目に俺はとんでもない事に首を突っ込んだ自分にとても後悔していた。


 なんだよ国同士の争いって、最大戦力って・・・そりゃあ、あんだけの歓迎してくれるわな


 せっかく人生やり直せるチャンスだったかもしれないのに、自分でやっかいごと背負い込んじゃったのか・・・今までの俺なら嘘をついてでも回避していただろうな。


 そうやって生きて来たからこそこの歳まで何にも残す事が出来なかったんだもんな、目の前でプンスカしてるエルフのおねーさんを見やる、俺の思ってたエルフじゃなかったけど、なんだかんだで世話にもなってる。


 よし決めた!


『も〜、失礼しちゃうってもんですよ〜、ノマーク様よりもずっと早い出世頭だって周りからは評判なんですからね〜』


 まだ言ってんのか


「ナイームさん、私、いや俺、ルファムさんに大切な話があるんですけど、今から面会って可能ですか?」


 俺の真剣な声色を聞き、今まで口を尖らせていたナイームさんがスッと目を細めた。


「ダメですかね?」


俺の問いにニコリと微笑みで返すナイームさん、そしてゆっくりと両手をお腹の下に添えると、キッチリと綺麗なお辞儀を披露した。


 そして次に顔を上げた時、そこにはさっきまでのお転婆娘はいなかった。


『かしこまりました、サイトー様の御要望にお応えし、直ちにルファム様にお取次しますことをお約束致します、ではワタクシのあとについて来てください』


 そう言って歩き出すナイームさんを、さっきとは逆に俺がついて行く


 この人のスイッチどうなってんかな?


 そんな事を考えている俺の耳にお昼を知らせる鐘の音が聞こえて来た。











また続きを読んでもらえるように頑張ります。

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