第十四話 男ってやつは
お疲れ様です
ひとりでも多くの方に読んでもらえると幸せです。
〝バキィッ!〟
〝ドスッ!〟
〝カッカッカッガツッ!〟
俺はなんでこんな目に遭っているのか?
『はぁあああああ!』
〝ゴツッ!〟
〝ドガッ!〟
さっきからずっと俺の体を長くて太い棒で打ち付ける衛士長のフォッゾさん、この人全然止まってくれない。
『お、おい、あの人始まってからずっとマルまったまま動かないぞ?』
『本当にあの人が村をスクってくれたのか?』
『それよりも助けなくていいのか?いくら演習用の槍でもフォッゾ衛士長の攻撃をあれだけくらったら危ないんじゃないのか?』
打撃音の合間にギャラリーの皆さんの声が聞こえてくる、どうやら俺の事を心配してくれているようだ。
そうだよね、普通そうだよね、客観的に見たら中肉中背のおっさんが、ゴッツイ大男に棒でボッコボコにしばかれているんだもんね。
〜遡る事25分前〜
「ルファムさん、この度は見ず知らずの私の事を保護していただき、その上こんな盛大な宴席にお招きくださり本当にありがとうございました」
村の人達に囲まれたルファムさんの席の前まで行き、みんなの視線を集めた俺は緊張しながらもしっかり90度のお辞儀をする事で、無作法なよそ者と言う印象から意外としっかり者のよそ者へとランクアップしようと思っていた。
『そそそ、そんな、カツヒコさ、ン゛ン゛ッ!?サイトーさん、頭を上げてください!』
慌てたようなルファムさんの声が聞こえたのだが、その声がやたらと近くから聞こえた気がする。
頭を上げた俺の目の前には今まで村人に囲まれて身動きが取れなくなっていたルファムさんが、瞬間移動でもしたのかと思うほど俺の眼前に接近していた。
〝ガシッ〟
そして何度目かわからないけど掴まれた俺の両手、そしてその手をギュッと抱きしめ俺を見下ろすルファムさん、あれ?ちょっとお化粧したのかな?
本来なら冴えないおっさんが美女にこんな対応してもらったら、ドキドキどころか緊張しちゃって色々とカッチコチになるのかもしれないけど、ルファムさんほどの超弩級の美人さんにやられると、身長差もあるせいか捕食者と獲物のような緊張感が俺の中に走っていた。
『何度も申し上げてますように、お礼を言わなければならないのは私の方なのです、どのようなカタチにすれば伝わるのかずっと悩んでいるのです』
そう言いながらどんどん近づくルファムさんの顔にどんどん背を逸らす俺、このままでは腰が逝っちゃう気がする。
「ルファムさん、まわりっ!まわりを見てください!?」
『へっ?・・・あああ、し、失礼いたしました!私としたことが、とんだご無礼を』
そう、この場にいるのは俺とルファムさんだけではないのだ、そして多くの村の人たちの目がある中で、自分達の代表者であるルファムさんが変なおっさんに急接近しているのだ、ほら見てごらんなさい皆さん信じられないものを見るような顔をしているじゃありませんか、唯一ニコニコしているのはマルチ、じゃなくてルシウムさんだけですね、いや、アナタ俺の後について来てたのかよ。
少し顔を赤くしたルファムさんがパタパタと身だしなみを整えているのを見ていると、急に俺の視界を塞ぐように目の前に壁が現れた。
ゴツゴツとした岩のような、板チョコなような・・・腹筋かいっ!?
見上げるとそこにはアメリカのプロレスラーのようなイケメン金髪マッチョマンが立っていた、あれ?この人誰だっけ?俺がそんなことを考えていると、その大男は笑顔のまま腰を折り、俺に話しかけて来た。
『いやぁ〜、サイトー様この度は我々の危機を救っていただき本当にありがとうございました、あのゴブリンたちを相手にあれ程の強さを見せつけるとはまさに一騎当千のご活躍でした!私も武を高めていこうとする者の端くれとして、サイトー様の戦いぶりにはえらく感銘をうけました』
一気に捲し立てられた俺がたじろぐと、まるで逃がさないとばかりに俺の両手を握って来た。この村の人はなぜすぐに手を握ってくるのか?そう言う風習でもあるのか?てかあの化け物ゴブリンだったの?嘘でしょ?本物ってあんなイカついの?そんでもって酒臭っ!
「あれですよね?あの時一緒に化け物退治した兵士さん達のリーダーさんですよね?」
俺がそう言うと、大男は俺の手を一層強く握って来た。握力凄いなこの人
『これは失礼しました、私の名前はフォッゾ、この大神樹の村の衛士長を任されている者です』
そう言って挨拶してくれたフォッゾさんに、俺も最低限の挨拶をしようとしたのだが
『いやぁ〜、サイトー様はこんな小さな体のどこにあのようなチカラを秘めていらっしゃるのか、本当に不思議な方ですね〜、ルファム様が興味を持たれるのも無理はない』
そう言いながらチラッチラッとルファムさんの方を横目で見るフォッゾさん
『やはり我々とは根本からチカラの質が違うのかもしれませんね、見た目も変わってらっしゃいますしね〜』
ん?
『研鑽を積んだ私の技とサイトー様の技、一度神力抜きの純粋な手合わせ願いたい者ですね〜』
その言葉にさっきまで顔を赤くしていたルファムさんが反応した。
『フォッゾ衛士長!?酔いすぎです!カツ・・サイトーさんに失礼ですよ!』
『いやいや、ルファム様、これはただ単純に武の高みを目指すものとしてのごく当たり前の興味という者ですよ、あれだけのチカラを持つサイトー様に自分の技が通用するのかという単純な興味です』
そう言いながらまたルファムさんをチラ見するフォッゾさん・・・あ〜そう、そう言う事?おじさんわかっちゃった。
アレだ、男は好きな子の前で格好つけたくなっちゃうって言う一種の呪いみたいなヤツだ。俺も若い頃好きな子の前で格好つけて喧嘩の仲裁に入ってボッコボコにされたあの呪いだ。
ギュギュギュッと音がするほど握りしめられた俺の手、不思議なことにあまり痛みは感じないが、それ以上にフォッゾさんからの圧を感じる。
『サイトー様、この機会にひとつ手合わせをお願いできませんか?』
鼻と鼻が触れ合うくらいの距離まで顔を近づけてきたフォッゾさん、正直めっちゃ怖い、だけどおっさんとしてはフォッゾさんの気持ちもわからんわけでもない
俺だって若い頃好きな子が他の男と仲良くしてるのを見るのが嫌いだったし、自分の力を誇示したくなる気持ちもよくわかっているつもりだ・・・たぶん俺の方が年下だろうけど
正直な事を言えば痛い思いするのはやだなぁ〜、こんな筋肉マンに殴られたりしたら怪我じゃ済まないんじゃないかな〜、でもなぁ〜フォッゾさんの気持ちもわかるし、何よりこの村の人たちに世話になってるしなぁ〜
〝はあぁぁぁぁぁ〜〟
俺はひとつ大きなため息をついた
「お手柔らかにお願いしますね」
その時のフォッゾさんの笑顔は男の子のソレだった。
少しずつですが、始めた頃よりも読んでくださる方が増えているみたいで、めっちゃくちゃ幸せです。
ひとりでも多くの方に読んでいただけるように頑張ります!




