第十三話 おっさんは◯◯を信じますか?
投稿が遅れて申し訳ありませんでした。
1人でも多くの方に読んでもらえたら幸せです。
つ、疲れた、本当に疲れた。
国も世界も違くとも子供達の有り余る体力に大人は振り回されてばかりな事は共通項らしい。
『どこからキたの?』
『なんでそんな服キてるの?』
『どうしてこのムラに来たの?』
『なんでそんなカオしてるの?』
『ルファム様よりツヨいの?』
マシンガンのような質問の中にたまに混ぜられた俺の心を消耗させる質問が、肉体的よりも精神的な疲労感を増幅させた。
子供は無邪気か・・・ん?本当に子供か?
ナイームさんの例もあるし、もしかしたらみんな俺よりも歳上の可能性も大いにあるよな?
俺は肩車していた子供を降ろしながらルシウムさんに尋ねた。
「ルシウムさん、ルシウムさん達はエルフなんですよね?」
するとルシウムさんは少し驚いたような顔で
『はい、確かに我々のことを村の外ではエルフと呼称する方々が多くいらっしゃいますね、私たちは昔から自分たちのことを大神樹の村の民であると自覚しているので、自分たちでエルフとは名乗ることはありません、ですからまさかサイトー様からエルフと言う言葉が出てくるとは思いませんでした』
え?なんで?エルフって呼んじゃダメなの?と言うか、え?俺が常識はずれな事言ってる感じ?
「いえね、私がいた所ではこの村の人達のように容姿端麗で、魔法のようなチカラを持つ人達をエルフって呼ぶんですよ、まぁ、ほとんどがお伽話やファンタジー作品に出てくる架空の種族なんですけどね」
すると少しだけ難しい顔をしたルシウムさん
『サイトー様、ひとつお聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?』
「はい?あ、ああ、どうぞ」
『サイトー様は大神樹の森からこの村に来られたんですよね?』
「ええ、そうですね、地元の山で迷っているうちに気がついたら、とんでもなく大きな木の生えた森の中にいたんですよ」
ルシウムさんが俺の目をまっすぐ見つめた。
『では、もうひとつだけ質問させてください、サイトー様は聖守アルムナダをご存知ですか?』
なにそれ?
「清酒?お酒ですか?」
俺が聞き返すとルシウムさんは少しだけ驚いたような顔をすると目を瞑り、少しだけ思案しているようだったが、それからひとつ頷くと俺の顔を再び見つめて笑顔を見せた。
イケメンって何やらせてもイケメンだな
『たとえサイトー様が聖守アルムナダの化身でなくとも、あの奇跡のようなおチカラでこの村の危機を救っていただいたことに変わりはありません、そしてそれは我々の感謝の気持ちにも言えることです』
何かに納得したようにそう言いながら俺の空いたコップにお酒を注ごうとするルシウムさんに、俺も質問したいことがあったので聞いてみた。
「ルシウムさん、あの森の中にヤバいデカさの青い蛇がいたんですけど、私ビビってしまってダッシュで逃げたんですよ、あれってなんなんですかね?この村を襲ったりしないんですか?」
コップに注がれるお酒を見つめながら、そう言えばエルフって酒も飲むし肉も食うんだなぁ〜なんて考えていると、ルシウムさんが注ぎすぎてコップからお酒が溢れてしまった。
「ちょっ、ルシウムさん、ストップストップ!」
俺が慌てて壺を起こして、ルシウムさんの顔を見上げると、ルシウムさんは目を大きく見開いたまま固まっていた。
あれ?どうしたの?まさか酔っ払っちゃったのかな?
「ルシウムさ」『サイトー様っ!!』
「は、はいっ!」
ビックリした〜、呼びかけを遮るように、急に大声で俺の名を呼ぶルシウムさんに俺は直立不動になってしまった。
よく見るとルシウムさんの体は微かに震え、その綺麗な緑色の瞳には涙が浮かんでいるように見える、そんなルシウムさんが震える声で話し始めた。
『・・・サイトー様、サイトー様はアルムナダを見たのですね?』
また出た謎ワード
「あるむなだ?」
『聖守アルムナダ、時に光として、時に人の姿になり、そして時には巨大なヘビとしてその姿を我々の前に表す大神樹の護り神です』
「ああ、あの新幹線みたいな大きさの蛇がアルムナダ?だったんですね、いきなり現れたから私はてっきり食べられちゃうのかと思って逃げてきたんですよ」
俺がそう言うと、ルシウムさん俺の手を掴みグイッと顔を近づけてきた。
いやいや、近いんだって、この村の人たちマジで距離感バグってんじゃないのか?そのままルシウムさんは、まるでアニメを見る子供のように目を輝かせながら喋り出した。
『数百年、または数千年に一度しか姿を見せないと言われているアルムナダがただの人間の前に現れるとは考えられません、やはりサイトー様はアルムナダ、ひいては大神樹の森の祝福受けこの地に遣わされた方に違いありません!』
いや、だから遭難しただけだって言ってるじゃん!
「そ、そうなんですかね?」
『はい!やはりアルムナダは我々を見守ってくれているのです』
ルシウムさんの輝く瞳とハツラツとした話し方に、俺はとりあえず同調する事にした、きっとこの手のタイプの人は下手に反論なんてしようものなら何倍にもなって帰ってくるだろう、これ以上面倒くさくなる前に早く離脱しなければ・・・
「あ、あの〜、ルシウムさん、私そろそろルファムさんに挨拶して来てもいいでしょうか?」
そう言うとルシウムさんは俺の手をパッと離した。
『ああっ!?そうでしたそうでした、ルファム様もサイトー様からのご挨拶なら間違いなく喜ばれると思います』
こう言う時は、相手より目上の人に挨拶してくるって言うのが一番効率よくその場から立ち去りやすい事を俺は知っている、いわゆる処世術と言うやつだ、なんだかんだダテに20年以上日本で社会人やっていないのだよ!ハッハッハッハー!
なんて思っていた20分前の自分をビンタしてやりたい、今現在俺の目の前には身長2メートル筋肉モリモリ、マッチョマンのエルフが長い棒を構えて立っている。
周りには大勢の村の皆さん、ニコニコのルシウムさん、そして胸の前で両手を組み祈るようにコチラを見つめるルファムさん。
え〜とぉ〜、この場から逃げちゃダメすか?
次回も引き続き読んでもらえたら幸せです。




