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第十二話 呑んで呑まれて覚えることもあります

お疲れ様です。


今回も1人でも多くの人に読んでもらえると幸せです。

「いや〜、美味い!本当に美味い!」


『アッハッハ、だろ〜?ウチでトれたバリッサは酒にも合うんだよ』


 宴会の始まりと同時に俺の前には村の人たちが行列を作り、ひっきりなしに感謝の言葉とお酒を注いでくれていた。


 今俺にバリッサと呼ばれるキャベツの様な野菜にカリカリに焼いた肉を乗せたものを食べさせてくれた人は、豪快に笑いながら俺の肩をバンバンと叩いている。


 なんでもこの村で旦那さんと一緒に農業を営んでいるらしくこの宴会に提供された大部分の肉と野菜がこちらの農場のものらしい、例に漏れず美人さんなんだけど明るく豪快な感じが田舎の肝っ玉母ちゃんって言葉がしっくりくるな。


『カーミラ、その辺にしとけって!サイトー様にお礼を言うだけだって言ったのに、いつまで独占してるんだ』


 そう言いながら豪快に酒を煽るご婦人の腕を引っ張る男性


『なんだいアンタ、ワタシはサイトーさんにウチの畑でとれた物を食べてもらう事でカンシャの気持ちを伝えてるんじゃないか』


『それにしたって長すぎるんだよ、後ろを見てみろよ、みんなサイトー様に感謝をツタえたくて待ってるんだよ』


 確かに後ろにはチラチラとコチラの様子を伺っている村の人達が大勢いた。


『あら本当、これ以上サイトーさんドクセンしたらそれこそバチが当たっちゃうねぇ』


 そう言いながらカップの中のお酒を飲み干すと、旦那さんに手を引かれて他のグループの輪に入って行った。


 去り際に旦那さんが

『サイトー様、気を悪くしないでください、ウチのカミさんもサイトー様にお礼がしたくてしたことなんです、俺もコイツもガキたちもみんなサイトー様に感謝しています』


 なんて言ってくれたのが気恥ずかしくて、俺も自分のカップに注がれたぶどう酒をグイッと飲み干した。


 それにしても俺はこんなに酒が強かったかな?いつもならビール2〜3杯にハイボール2杯も飲んだらベロベロに酔っ払うのに、今日はここまでスタートの蒸留酒を皮切りに今飲んだぶどう酒までで14〜5杯は飲んでいるはずなのに、ほろ酔い気分でいることに自分でも驚いていると


『いかがですか?この村の料理とお酒の味は?お口に合いますでしょうか?』


 ふいに声をかけられたので振り返るとそこにはリーダーさんこと、副神官長のルシウムさんがコップと

 壺のようなものを持ち立っていた。


 次はルシウムさんの番らしい


「料理もお酒も本当に美味しくて、そのうえ村の皆さんによくしてもらって、今まで経験したことのない体験をさせていただいていますよ」


 そう言うとルシウムさんは少し赤くなった顔でにこりと微笑んで、『まずは一献』と俺のコップに壺の中に入ったぶどう酒を注ぎ始めた。


『サイトー様にお助けして頂かなければ、この村にどれほどの被害が及んでいたかと思うとゾッとさせられます。長引けば長引くほど不利になる状況であれだけの軍勢をその日のうちに退けられたとあれば、リンセンツも迂闊に第二陣をコチラに派遣することは容易ではないはず、それを思えばサイトー様に感謝してもし足りないと思うことはこの村に生きるものであれば当然のことですからね』


 リンセツ?隣接?またよくわからない事を言っているけど、結局は化け物退治できて良かったと言う事なんだろう。


「私ばっかり注いでもらっちゃ悪いんで、私からも返盃させてください」


 俺としては社会人として当たり前の事だと思いそう言うとルシウムさんは首を横に張った。


『サイトー様、それならばぜひ神官長ルファムをねぎらってやってはくれませんか?あの人がいなければ今の大神樹の村はありません、そしてこの村の誰よりも貴方様に感謝しているのもルファム様なのです』


「は、はあ・・・」


 出来る!やはりこの人は出来る!


 ルシウムさんから漏れ出す出来る男オーラが凄すぎて生返事を返してしまった俺は、ルシウムさんの視線の先にいるルファムさんへと目を向けたのだが、そこには俺以上に村の人たちに囲まれているルファムさんの姿があった。


 ああ言う人をカリスマって言うのだろう、大人から子供まで多くの村人に囲まれたルファムさんは少し照れたような困ったような顔をしていた。


 それに比べて


『サイトーさ〜ん、楽しんでますかぁ〜?この串焼きも美味しいですよ〜、一緒に食べましょ〜よ〜』


 そんな言葉と共に俺の首に腕を回して、ヘッドロックを仕掛けてくるこのエセキャリアウーマンとルファムさんではまるで違う人種のように感じる。


「いや、ナイームさん、ちょっと飲み過ぎじゃないですか?ルシウムさん、なんとかしてくださいよ」


 そう言ってルシウムさんに助け舟を求めたのだが、当のルシウムさんもニコニコするだけで俺を酔っ払いから救出してくれなかった。


『ワタシだって感謝しているんですヨ〜、ノマーク様はワタシの師匠みたいな方だったんですから〜、読み書きも神力の扱い方も礼儀作法もほとんどノマーク様に教わったんですから〜』


 会った事ないけどノマークさん、本当に彼女に礼儀作法教えたんですか?そして俺はいつ解放されるのですか?


 俺は日本人なら平均に近い身長171センチだが、この村では小さな子供以外ほぼ全員が余裕で180センチくらいあるのだ、だから先ほどから俺の顔に当たる柔らかい触感も許してくださいお願いします。


 俺の願いを知ってか知らずか村の子供たちが俺の方に近づいてくると、それを確認したナイームさんは急にキリッとした表情に変わり咳払いをひとつすると


『サイトー様、ごゆっくりとお楽しみください、ワタシはこれから今回の事件についての事後処理がありますので、このあたりで失礼致します』


 などと言って俺を解放し、子供たちの頭を撫でながら歩いて行った。

 なんで村人の前ではあのキャラ作りするんだろう?

 少しふらつきながら遠ざかるナイームさんに、俺もルシウムさんも苦笑いを浮かべていた。


『事後処理は貴女の仕事ではありませんよ』


 俺はルシウムさんの呟きを聞き逃さなかった。



皆さん暑い日がずっと続きますけど、水分塩分補給をして熱中症に気をつけましょう!


また読んでもらえるように頑張ります。

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