第十一話 晴れの舞台はコチラですか?
お疲れ様です。
まだまだ暑い日が続きますが息抜きに読んでもらえたら幸せです。
俺はナイームさんに手を引かれ、医務宮と呼ばれる建物の廊下を歩いていた、どうやらここは病院のような場所らしい。
「あの〜、ナイームさん、ここって他に働いている人や入院?している人っていないんですか?」
なぜか俺がいた部屋から出た時から誰ともすれ違わなければ、人の気配すら感じないのだ。
『何言ってるんですか〜、みんな会場に行ってるに決まってるじゃないですか〜、ワタシたちが最後なんですよ〜』
「え?そうなんですか?じゃあ急がなきゃダメじゃないですか?」
そう言うとナイームさんはムフフと笑いながら俺の手をギュッと握った。
『サイトーさん、主役って最後に登場するって言うのがお約束なんですよ〜』
そう言いながら、目の前のドアを開けた瞬間に飛び込んできた光景に俺は息を呑んだ。
『『『『ワァァァァァーー!!!』』』』
〝パチパチパチパチパチパチパチパチパチ!〟
俺は人生で初めて波のような喝采と拍手に迎えられた。見渡す限り金髪エルフ、テーブルの上に並べられた料理の数々、まるでレッドカーペットの上を歩く映画スターのようだ。
『サイトー様ぁ〜!』『村の救世主様だ〜!』
『なんと神秘的な佇まいなんだ!』
『大神樹の森、万歳〜!』
『うちのドンドナ食べってってぇ〜!』
ヤバいっ!なんだこれ?俺の42年の人生で体験したことのないような大歓迎だった。
あまりの熱狂ぶりと極度の緊張に俺の脚は震えてしまい、足が前に出せなくなってしまった。
すると前を歩いていたナイームさんが俺が歩き出さないことに気がついたのか、コチラを振り向いた。
〝ニコッ〟
そんな音が聞こえてきそうな笑顔だった。
『カツヒコ様、村の皆さんの歓迎に感動されているのですね?しかし宴はまだこれから、さぁ、アチラで神官長がお待ちですのでご一緒に参りましょう』
そう言いながら俺の手を引き歩き出した。
え?なにこの子?
『おぉ〜、さすがはナイーム様だ』
『なんたる淑女然たる振る舞い』
『やっぱりナイームさん素敵だよなぁ』
『ナイーム先生カッコイイ!!』
いやいやいやいや、嘘でしょ?
この子さっきまで語尾伸ばしていたのに、急にキャラチェンしちゃったよ・・・ネコ被りってやつだな。
美女に手を引かれる緊張したおじさん、なんだか結婚式で新婦の隣を歩くお父さんの気分だった。
そうして少し歩いていたら、ナイームさんが足を止め、スッと膝を折り頭を下げた。その瞬間今まで聞こえていた人々の歓声や拍手がピタリと止んだのだ。
そのことに気づいて、キョロキョロと視線を移していた俺もようやく正面を向いた。
「うわ〜」
俺の口から自然とこぼれた声の先には白銀の法衣を着たルファムさんが微笑を浮かべながら立っていた。
マジもんの女神様ってこんな感じなのかな?
ナイームさんや他のエルフさん達も超絶美人さんなのに、やはりルファムさんは飛び抜けてるなぁ〜なんて考えていたら
『カツヒコさん、改めまして此の度の貴方様の御助力に、この村を代表して厚く御礼申し上げます』
そう言うとルファムさんが俺に向かって深く頭を下げた。
〝〝〝〝ザッッ〟〟〟〟
うぉう!?
その瞬間背後から聞こえてきた音に振り返ると、今この時この村で突っ立っているのが自分1人だけだと言うことに気がついた。
あわてた俺は
「ちょ、ルファムさん、やめてくださいよ!?え〜っと今日は祝勝会?なんですよね?あまりかたくるしいのは苦手なんで、パァーッとやりませんか」
必死にお願いした。なんなら土下座しようかと思ったくらいだ。
俺の願いが通じたのか、女神さ・ルファムさんが頭を上げてくれた。そして
『皆さん!私たちは悪しき者たちを打ち倒し今日を迎えることができました!穢された同胞の魂も必ず大神樹の森へと還ることが出来るでしょう!今宵はその魂を送るための鎮魂の宴でもあります!大いに食べ大いに飲み、盛大に見送ってあげましょう!』
そう言ってルファムさんは、白銀の杖を両手で掲げた。
その瞬間俺の手にはコップのようなものが握らされていた。横を見るといつの間にかナイームさんや村の人たちが立ち上がりコップを掲げていた。
え?なに?いつの間にこんななってんの?
前を見るとルファムさんと目が合った。
あ、笑ってる・・・美人だなぁ〜なんて思った次の瞬間
『大神樹の森の祝福の在らんことを!』
『『『『『在らんことを!!!!』』』』』
ルファムさんの号令と共にお祭り騒ぎが始まった。
もう少ししたらまた幕間投稿してもよろしいでしょうか?今度はサッと読める文字数にしようと思っています。
たくさんの人に読んでもらえるようにがんばります。




