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第九話 おっさんは話を聞いてほしい

お疲れ様です


残暑厳しいですね

寝苦しい夜が続きますが、寝る前のほんの少しの時間にでも読んでいただけたら幸せです。

『失礼します、ルファム神官長がおみえになりました』


 そんな声と共に開かれたドアから入ってきた人物を見た俺は

「マジかよ?」

 この世界に来てから何度目かわからない言葉を漏らしていた。


 一緒に化け物退治をしたルシウムさんたちですら、自分の人生で初めてお目にかかるくらいの美形だったのに、今目の前に立っている人はそこに輪をかけて美しかった。


 ルシウムさんがキラキラならこの人はビカーって感じだ、おっさんが注視できない、いや、しちゃいけないタイプの美人さんなのがわかる。


 チラリと横を見るとルシウムさんが先ほどの膝折式敬礼?をしているのがわかった。

 そうか、ルシウムさんは自分は副神官長って言っていたから神官長さんにはこんな感じに振る舞わなきゃいけないんすね


 俺もいい歳のおっさんらしく、なるだけ礼儀正しくしようと思ったけど、よくよく考えたらほぼ全裸のおっさんがベッドに座っているだけなのだ、俺にできることといえばだらしなく垂れたおっぱいをフカフカの掛け布団で隠す事だけだった。


『聖人様、この度は誠にありがとうございました、私のチカラが及ばぬばかりに、この村を危険に晒したことを神官長として深く反省しています』


 そう言うと、超絶美人な神官長さんが俺に向かって頭を下げていた。

 輝くような銀色の髪がキラキラと流れるように肩から落ちていく光景に見惚れていたが、ルシウムさんもいつの間にかこちらを向いて頭を下げているのを見て、また俺の返事待ちなことがわかった。


「あ〜と、神官長さん?頭を上げてください、私はただの成り行きでこの場所にいるだけなんで、気にしないでください」


 すると神官長さんは弾ける様に頭をバッと上げて、コチラに一歩近づいてきた。


『ルファムです!ルファムとお呼びください!聖人様!』


「え、え、え?」


 めっちゃいい匂い!

 突然の超絶美人さんの接近に、最近ではめっきり女子への免疫不全状態だった俺が情けなく慌てふためいていることを知ってか知らずか、神官長のルファムさんは綺麗な顔を輝かせながらグイグイ俺のベッドに近づいてくる。


 いや、貴女の目の前にいるのは半裸のおっさんですよ、鼻毛は白髪混じりだし、無精髭生えてるし、日焼けでシミだらけのおっさんですよ


「い、いやぁ〜、なんと言うかあまり近づかない方が良いですよ?私昨日から風呂にも入ってませんから」


 俺がそう言うとルファムさんは、さらに目を輝かせながら俺の両手を握って自分の胸元に引き寄せた。


『そんなことはありません!貴方様のお陰で私たち、大神樹の村の民は救われたのです』


 またもや突然の事に驚いた俺の様子を見たルファムさんが、ハッとした表情を浮かべて自分の胸元から俺の両手を離してくれた・・・だけど手は繋ぎっぱなしだった。


『失礼いたしました、しかしながら我々が聖人様のお力添えのおかげで悪鬼の軍勢からこの地を守ることができたのは揺るぎない事実です、彼奴等の手にかかり命を落とした同胞の魂もきっと浮かばれると思います』


 え?なにそれ?そんな裏話あったの?


「いや、あの〜ですねぇ、さっきもルシウムさんには話したんですけど、私はあなた方が言うセイジン?って言うのがなんなのかわかってないんです、ただ日本って国で迷子になって気がついたらコチラにいただけの日本人なんです、てか私ずっと日本語で話してるんですけど、皆さんめちゃくちゃ上手ですね?」


 そう言うとルファムさんはキョトンとした顔をして、横にいるルシウムさんと顔を合わせると、なぜか大きく頷いた。


『ええ、そうでしょう、きっとそうなのでしょう!わかっています、いえ、わかっているつもりです!ニッポンからいらっしゃった、ただのニッポンジン様ですね!』


 なにがわかったのかよくわからないけど、やたらと芝居掛かった口調で大袈裟に頷くルファムさんとそれに同調するかのように頷くルシウムさん

 今のやりとりで納得できるのすごいな

 なんか知らんけど、面倒くさい事にならなきゃいいな


「え〜とですね、ニッポンジンって言うのは種族名と言いますか、なんと言うか呼び名ではないと言うか・・・」


 するとルファムさんは、なぜかずっと繋ぎっぱなしの両手を胸に抱きしめて


『では、なんとお呼びすればよろしいでしょうか!?』


 やたらと柔らかなものに包まれた両手を見つめていたら、いつの間にかルファムさんの顔が鼻先10センチくらいの距離にあった。

 心臓に悪いからやめてくれ

 そして挨拶と礼儀を重んじる日本人として、今までずっと名乗っていなかった事に少しだけ申し訳ない気持ちだった。


「わ、私は斉藤、斉藤克彦って名前です」


『サイトーカツヒコ様ですね!?』


『いや、斉藤が性で克彦が名前なんで、どちらか好きな方で呼んでください』


『ではカツヒコ様と呼ばせていただきます!ルシウム、村の民たち皆んなに周知徹底するようにしましょうね』


『はい!カツヒコ様とお呼びするよう子供から大人まで徹底させようと思います』


 なんだろう?この人達は俺の言う事を理解しているのだろうか?俺がただのおっさんだって伝わっているのだろうか?


「いや、本当にただの中年おやじなんで、様付けとか恥ずかしすぎるんでやめてください」


 俺の言葉にやたらと反応するルファムさん


『そ、そんな畏れ多いです』


 なんか少し涙目に見える・・・ビックリするくらいの美人さんの涙目は俺のようなおっさんには毒だな


「いえ、たまたま一緒に喧嘩してたまたま勝っただけなんで、様付けも敬語もいらないですよ」


 いつまでも手を繋いでいるのも緊張して手汗が止まらないので、それとなくルファムさんの手を解いた俺は、申し訳ないとは思いながらもベッドの淵で濡れた手を拭った。


『・・・そうですよね、あくまでこれは偶然起きたこと、我々をお救いくださった事を大袈裟にする必要はないと言う大神樹からの慈悲の言葉』


 ルファムさんが俯きながら何か小さな声でブツブツ言ってる

 何言ってんのか全然わかんないな

 てか、どこ見てんのかな?

 ちょっとだけ怖いな・・・


「あのぅ?ルファムさん?」


 俺の呼びかけにルファムさんが顔を上げた


『はい、カツヒコさん、なんでしょうか?』


 その表情は後光が差してるんじゃないかと言うような満面の笑みだった。

 きっとこの人になら騙されても良いって思う人多いんだろうな〜てか切り替え早いなっ!


「とりあえず、私の服と持ち物をいただけますかね?さすがにずっとこの格好じゃ落ち着かなくて」


 俺の言葉にルファムさんは両手をピシャリと叩いた。


『そうですね、確かにいつまでも大切なお客様に裸でいてもらうというわけにはいきませんものね、ただちに用意させていただきます』


 そう言うとルファムさんはくるりと身を翻した。


『ルシウム、今夜は奇跡の出会いとノマークたちの慰霊もかねた食事会を開き、村総出でお祝いの準備をしましょう!』


 へ?食事会?村総出?


『はい、かしこまりました、我々神官一同も全力で準備に取り掛かりますね』


『きっと村の人たちの不安もこれで解消に向かうでしょうね』


『はい、本当にその通りだと思います』  


 そんな会話をしながら部屋を出て行こうとする2人だが、ドアの手前で立ち止まったルファムさんがコチラを振り返り


『カツヒコさんは食事会までの間、ゆっくりとお過ごしくださいね』


 と言いながらまた超弩級の笑顔を見せてくれた。

 そして『失礼いたしました』と深々と一礼しながら2人揃って部屋を出て行った。


 そしてドアが閉まる直前に聞こえた会話があった。


『ルシウム見ましたか?あの輝きを?』

『はい、ワタクシ緊張と興奮で倒れてしまうかと思いました』

『嗚呼、これが奇跡のチカラ、流れ込むマナが・・・〒*$☆♪〆€』


 〝バタン〟


「ふぅ〜〜〜、疲れた・・・」

 大きなため息とともに素直な感想が出てしまった。

 絶対に何か大きな勘違いをしてるんだろうな〜

 俺も聞きたい事が沢山あったんだけどなぁ〜


 俺どうなっちゃうんだろ?














1人でも多くの方に読んでいただけたら幸せです。


またよろしくお願いします。

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