二百文字小説『近未来予想図』
西暦20XX年、世界は別に核の炎に包まれたわけではなかった。
「押さないで!列を守って下さい!」
一万円札を握り締めて、僕は行列に並ぶ。
向かいの店に最新形のプラズマTVが一万円で売っているが、誰も見向きもしない。
給料日直後ということもあって、凄い混み様だ。
やっと僕の番になった。
「お買い上げ、ありがとう御座いました」
「ヒャッハー!水だ水だーー!!」
五リットルもの真水を買い占めた僕は、上機嫌で家に帰った。
実のところ、「ヒャッハー!!」とか言ってる場合じゃないんですよね。