再会
「とにかく、相手の目をこちらに向けさせ続ければいいんだな?」
「お願いしてもいいですか?」
「大丈夫だ、その程度なら」
作戦会議を経て、戦士は隠れる場所のない、目立つ場所へ駆け出す。
「天使ども、こっちだ!」
できるだけ目立つよう、挑発をしながら、より広い場所へ。
天使の視線を集めながら、矢をうまくさばいている。
そして俺は付近の矢を集めながら、弓の天使の視線外へ。
やることはただ一つ、矢を投げるだけだ。
身体能力が上がっている今なら、投擲でも十分な飛距離と威力を出せるはずだ。
ただ、問題は二つある。一つは空中制御に関しては天使に分があることだ。投げる瞬間を見られていたら、よけられてしまうかもしれない。
二つ目は、俺がノーコントロールなことだ。素早く2本の矢を投げ、的確に天使に当てるという芸当が果たして俺にできるのか。
だが、どちらにせよすでに作戦は共有している。そして戦士はそれ通りに動いてくれているんだ。やる以外の選択肢などない。
思惑通り、天使2体はわざと目立つように動いている戦士に矢を打ち続けている。
盾で防ぎながら、できる限り自分から離れようとしてくれている彼を横目に、ひたすら駆ける。
互いに距離を取り、天使の視野外へ。
いける、今なら投げられる!
集めた矢を握り締め、大きく振りかぶる。そして、的である天使を見据え、投げる。
「はあああああ!」
矢はまっすぐ天使へと向かい、命中した。
もう1体の天使も異変には気づいたが、戦士の付近へ落ちた天使を守るため、応戦することに必死で、こちらに対応するほどの余裕はないようだった。
すかさず、2投目をおこなう。寸分狂いなく矢はもう一体の翼へ当たり、飛行能力を失った天使2体が地に落ちる。
当たった!やはりそうだ。身体能力だけではなく、動体視力も大きく上がっている!
周りの動きがゆっくりに見えるのも、それのおかげだった。
すかさず、戦士は天使のもとへ向かい、剣を突き立てる。
俺も合流するため、戦士のもとへ駆け寄る。
光の粒となっていくことを確認すると、俺たちは互いに健闘を称えあった。
危機を乗り切った安心感と、理不尽にも命を奪われた、この地に住む人々の恨みを晴らしたような達成感で、泣きそうになる。
生き残ったんだ・・・この地獄から!
「良い作戦だった、よく当ててくれたな。月影」
時間が止まったかのようだった。
月影 豪。俺の名前だ。
自分の名前を呼ばれ、はっとする。向かい合う戦友の顔をよく見ると、その顔つきには見覚えが、かつての面影があった。
「・・・純なのか?」
「あぁ、久しぶりだな」
それは本来、今日飲み屋で会うはずだった友人、道祖土 純だった。