やばいゲーム
===== 今は夏 今頃の夏はとても暑い 情緒も何もあったもんじゃない =====
こんな日は外を出歩かないに限る。
だから俺はアパートで一人、テレビに向かってゲームをするのだ。
しかし・・・。
「だーれーだ。」
「うわ。」
両方の視界が塞がれた。
~~~~~ ブブー ~~~~~
ゲームオーバーだ・・・。
「何すんだよ。」
「だーれーだ。」
「知らん。」
「リサだよお。」
「いいから手をのけろ。」
「ちぇー。」
彼女は詰まんなさそうに、その場に座った。しかもスカートで胡坐をかいている。これでも一応、俺の彼女である。
もっともこんな俺に彼女がいること自体、大変おこがましい事であるのだが。
「ねえねえ、知ってる?やばいゲームがあるんだって。」
勝手に押しかけてきて、勝手に話を始める彼女であった。
「ふーん。」
俺はゲームを再度プレイしながら相槌を打った。もっとも真面目に聞いていないが。
「だーかーらー!やばいんだって!」
彼女は胡坐をバタバタと動かしていた。スカートの中がチラチラと見えている。
「なんだよ。」
どうやら俺がまともに話を聞いてないのを、彼女に見破られたらしい。こうゆう事には敏感なのだ。この女は・・・。
「シンクロ・ダンジョンってゲームなんだって!」
「ん?」
そのタイトルは俺も聞いたことがある。だが実際には店舗でも通販でも見かけたことが無い。幻のゲームである。本当は存在しないのではないか、という噂まである。
とまあこんな調子なので、特にこのゲームに対しては強いプレイの願望はなかった。俺はレアなものを手に入れて、射幸心を得ようなどという気持ちは無かった。
「なんでもこのゲームをプレイしたら凄い事になるんだよ!」
「ほう。どうなるんだよ。」
流石にここまで彼女にしつこく言われたら、話を聞かなければいけない。
「うーん・・・。どうなるかは知らない!!」
===== ガクッ =====
===== その翌日 =====
本当に俺の彼女はいい加減な奴だ。大方、友達からの噂話の受け売りであろう。
とまあこんなことを考えながら、俺は平日の真っ昼間に1人で近所を歩いていた。
仕事はどうした?会社に行かなくてもいいのか?って。君達は思うか。じゃあ仕方ない。
現在の俺は求職中なのだ。もっとも最近は採用面接もご無沙汰だし、求人情報のチェックもしていない。
「そうゆうのを世間一般にプータローって言うのよ!」
「うわっ!?」
いきなり彼女が俺の耳元に現れた。
「な、なんだよ、リサ。いきなり。」
因みにリサとは彼女の名前である。
「だめだなー。アタシに簡単にバックを取られるようじゃ。この世界で生きていけないよ。マサオくんん。」
因みにマサオとは俺の名前である。
「・・・・・。」
相変わらず意味不明な女だ。
「そうゆう、お前は何だ?バイトは?」
「今日は夕方からのシフトだよお。」
「はっ。バイトは気楽なもんだな。
「プーの、あんたに言われたかない。」
そう言って彼女は俺の頭をペコッと叩くのだった。
「でさ、本題なんだけど。」
「本題?」
「あったのさ。」
「は?何が?」
「これこれ。」
「・・・・。」
彼女が持っていたのはゲームソフトだった。
「こ、これは・・・・。」
それは紛れもなく噂のゲーム、シンクロ・ダンジョンだった。
「どうしたんだよ。」
「だーかーらー!」
「だから?」
「アンタ、自分の誕生日も忘れたの!?」
彼女の右ひじが俺の脇腹を突っついてきた。ちょっとだけ痛い。
「お誕生日おめでとう!!」
彼女はストレートに俺の誕生日を祝ってくれた。
「あ、有難う・・・。」
そんな俺の視界は滲んでいた。自分でもビックリした。
本当に俺は嬉しかった。こんな俺の事を大切にしてくれる人がいるなんて・・・。
俺は柄にもなく出た顔の汗を右腕で拭った。
「楽しんでね!仕事探しはは焦らずに!」
とても力強い彼女の言葉だった。ブンブンと左右に降る右腕もまた同様に力強かった。
===== タッタ =====
こうして彼女はバイトへと行った。こんな情けない彼氏には勿体ない可愛い女だ。
(そうだ。俺にはリサがいる。何もも無い訳じゃないんだ。)
勿論、俺は上機嫌で帰宅した。コレをプレイする為に・・・。ってか、その前に仕事を探せよ・・・・!俺は自分で自分に突っ込んだ。
===== ウイーン =====
ゲーム機が立ち上がる機械音が良く聞こえる。今日は集中力が飛び切り増している。
~~~~~ パアアア ~~~~~
目の前が開けてきた感じだ。
(え?これは・・・。)
何だろうかこれはVRゲームなのか・・・。しかしこれは普通のテレビモニターにゲーム画面が出るタイプのソフトだ。実際に俺は今、VRゴーグルなど装着していない・・・。
それにも関わらず、目の前には完全な架空世界が広がっていたのだ。
「こんなの・・・、ありえない・・・・。」
何も出来ずに、ただ俺は戸惑うばかりだ。しかし直ぐに救いの手は差し伸べられる。




