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星空の見える夜

作者: 春仕舞い

マンションの屋上にいる。最後の星空を見るんだ。彼女と見た景色を再び見るために。

僕は彼女の笑顔が好きだった。あのくしゃっと笑う君の姿がたまらなく好きだった。彼女と話す僕の姿はどう見えていただろうか、みっともない顔をしていただろう。そうだ僕は彼女のことが好きなのだ。理由は知らない、なぜ好きになったのかなんて愚問だ。恋というものは不思議だ。なぜか彼女のことしか考えられなくなる。他愛のないことを喋り、そんな日常が僕は大好きだった。このままこの時を永遠に過ごしていたいと思っていた。僕は彼女と1度外へ出掛けたことがある。この僕が思い切って誘ったのだ。彼女はいつもの笑顔で「いいよ」と一言だけ。僕は喜んだ。当たり前だ。その後の感情はあまり覚えていない。楽しみで仕方がなかった。僕は彼女の笑顔だけが見たかった。どこへ行こうか、彼女は何をしたら笑顔を僕に見せてくれるのか。ずっと考えていた、気づいたら鴉が鳴いていた。彼女と星空を見た。僕はこの景色を忘れることはないだろう。彼女の笑顔が僕の記憶に鮮明に刻まれる。僕は彼女とずっと一緒にいたい。そう思えた夜だった。既に僕の中の彼女は大きすぎる存在になっていた。彼女がいないと生きていられない。そう思っていた。今も思っている。彼女と過ごした月日はとても多いとは言えなかった。それでもかけがえのない毎日だ。僕の頭の中で彼女の笑顔が映し出される。思い出までもが全て映し出させる。彼女のことだけを思っていた。僕の人生の思い出に彼女だけが残っていた。ゆっくりとゆっくりと映画のように流れていく。僕は今泣いているだろうか。「これが走馬灯か」僕はそう呟いた。彼女はこの世にもういない。これで彼女とずっと一緒いれる。僕から星空がどんどん遠ざかっていく。僕は彼女が好き。この物語はただそれだけのことでしかない。

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