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社畜から卒業したんだから異世界で自由を謳歌します  作者: 灰谷 An
第2章・モフモフで可愛いケモノっ子
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045:カロニ村の戦い

 俺たちはバラドンカンパニーの手先と戦い勝利を収めた事で、なんとかザザ森林に向かう事ができるのである。

 しかしイローナちゃんが、あそこまで強かった事に俺は正直驚いたが味方であるのならば問題はない。



「………ぶはっ!? な なに!?」


「ミナト様、もう少しで着きますので起きておいた方が」


「あぁエッタさん。起こしてくれてありがとうね」



 俺はぐっすりと眠っているとエッタさんが体を揺らして起こしてくれた。

 何かと思って周りを見るとザザ森林に入って、あと少しでカロニ村に到着するとの事だった。



「めちゃくちゃ良い景色じゃん。俺の故郷を思い出すなぁ……」



 ザザ森林の中はマイナスイオンに溢れていると感じるくらい自然が豊かで、前世の故郷が田舎という事もあって思い出す。

 すると森林の奥から焦げ臭い匂いがして来て、これ以上馬車で進めば馬車の運転手が危険だと判断して歩いて行く事にした。



「この焦げ臭い匂いは、相当戦いが激化してるんだな………少し急いで向かおうか!!」


「はい!!」



 シュナちゃんたちの案内でカロニ村まで向かうと、日本の合戦場かの様に山火事になっていたり、獣人やゴブリンが倒れていたりと戦いの激しさを物語っていた。



「おいおい。獣人たちが押されてるじゃ無いか………相当な被害が出てるぞ」


「ゴブリンロードの力が、かなり影響しているみたいです………ゴブリンロードの危険度はSランクですから」


「という事は、他のゴブリンたちも普通のゴブリンとは違うみたいだな………急ごう。俺とカエデちゃんが前衛で、シュナちゃんが援護、エッタさんとイローナちゃんは怪我人を頼む」


『了解っ!!!!』



 3つの役割に分かれて獣人族に加勢する。

 俺とカエデちゃんは勢いよく飛び出すと、やられそうになっていた犬人族を助けた。



「大丈夫か? ここら辺は俺が引き受けるから、怪我人を安全なところに運びな」


「あ ありがとうございますわん………」


「いつになっても語尾は慣れないか………よしっ。ちょっと数は居るけど、頑張ってやりますかねぇ」



 助けた犬人族の兵士は周りで倒れている怪我人を、エッタさんたちのところまで運ぶのである。

 周りの人たちがいなくなったのを確認してから、俺はストレスを発散してやろうかと暴れ回る事にした。



「そういえば、あのデカブツのオリジナルスキルをコピーしておいたから試してみるか………」


・オリジナルスキル『牛変化(バイソン)


「ミナトさん!? ミナトさんもバイソンになれるのかわん」


「いやいや、ちょっと試したい事があってね………少し暴れるから気をつけてね」


「了解わん!!」



 俺がバイソンになった事でカエデちゃんは驚いたらしい。

 バイソンになってみたが確かに筋肉で守られている感じはするが、その代わりに機動力が落ちたみたいだ。

 それならばと俺はバイソン部長との戦闘で受けた、あの技をやってやろうと地面に手をつく。



「あのゴブリンを狙うか………行くぞ!!」


――――牛の直進突進(バイソン・ストライク)――――



 俺は凄まじい速度でゴブリンに突っ込んで吹き飛ばす。

 そして止まった後は周りにいるゴブリンたちを、殴りまくってバイソンの力が強い事を実感する。



「思ってたよりも良いじゃないか!! なんか、あのデカブツの顔が浮かぶが………悪くは無いスキルだな」



 俺が思っていたよりもバイソンになるスキルは良いなと、バイソン部長の顔が浮かんで悔しいが感じた。

 そんな風に俺が思っているとザザ森林の木の上で、俺の事を見ている人影があった。



「あれぇ、なんだなんだ? 獣人共が息を吹き返した………変な奴らが現れたからか? しかも部長のスキルを使ってるしさ」



 木の上にいる人間は、口元を黒い布で隠している金髪の男で、俺がバイソンになっている事に驚いている。



「面倒な事になれば、社長に怒られるからなぁ………そうなる前に手を打つか。まず、あのガキの獣人からだな」



 男は木の上で立ち上がると自分の影の中にスルッと入る。

 そしてカエデちゃんの近くにある影から姿を現した。



「お嬢ちゃん。ちょっと死んでてくれるかなぁ」


「うぉっ!? いきなり現れたわん!?」


「カエデ。ちょっと避けるにゃ!!」


「わん!?」



 突然男が現れた事に驚いていると、その男の危険さに援護係のシュナちゃんが気がついて避ける様に指示を出す。

 そしてシュナちゃんは男に向かって氷の針を打ち込み倒そうとしたが、身軽な体で攻撃を避けるのである。



「氷魔法かい。とことん面倒な奴らだな………さっさとゴブリンロードを差し向けるか」


――バラドンカンパニー・課長:シャドー――


「そんな事はさせないわん!!」


・筋力増強魔法Level3



 男はバラドンカンパニーで課長の地位にいる人間で、名前はシャドーと呼ばれているみたいだ。

 そのシャドーがゴブリンロードを呼びに行こうとしたので、カエデちゃんは筋力増強魔法で足止めをする。



「ちょっと退けてくれるかい? 邪魔をするなら………面倒な事になる」


・影魔法Level3《忍法、影掴み》


「えっ!? か 体が動かないわん!?」



 シャドーは闇魔法から派生した影魔法の使い手であり、それを忍法と称して使用してくる。

 そしてカエデちゃんの体が急に動かなくなった。

 それはいわゆる忍者が使う影縫いの術に似ているもので、シャドーの影とカエデちゃんの影が合わさって相手の動きを止める。



「それじゃあ、さっさとトドメを刺させてもらうよ」


「そんな事をさせてねぇよ!!」


「レオ姉っ!? どうしているんだわん!?」



 今にもカエデちゃんがやられそうになった瞬間、ヒーローの様に獅子人族のイケメン系美女が助けに入った。

 その獅子人族の美女は、レオと言うらしくカエデちゃんたちとは親しい中だと理解できる。



「アンタらが帰って来たって聞いたからね!! 気になって見に来て見たら、やっぱりは まだまだ半人前だね!!」


「そんな事、言わないで欲しいわん!! これでも苦労して、ここまで来たんだわん!!」



 レオは獣人ではあるがカエデちゃんたちの様に、語尾には特に変なところはなく普通に喋っている。

 まぁそんなところに気になりながらも、レオが助けに入った事でシャドーの攻撃を防げた。



「たくっ。面倒なのが増えたな……さっさと事を進める事にしてやろうか」



 シャドーは影移動を使ってレオとの戦いを避ける。

 そして森の奥底まで移動すると祠の様なものが現れ、そこを見つけるとシャドーは封印の札を破り捨てる。



「アイツらとやるのは面倒だ………お前が、さっさと蹴散らしてやれ」


『ぶぉおおおおおお!!!!!!』



 封印の札を破り捨てた事で、祠の中から相当なオーラを纏ったゴブリンロードが現れたのである。

 それは意思は持っていない様で、操り人形の様に俺たちがいる村の入り口に向かって歩みを進める。



「ゴブリンロードの危険度は、かなり上位のSランク………あそこにいる奴らは、5分も持たずに皆殺しになるだろうな」



 ゴブリンロードの危険性が高い事で、俺たちが瞬殺されるだろうなとシャドーは考えて高笑いをしている。

 しかし俺としては突然にゴブリンロードが現れたのには、戦争仕掛け人のエルマーが関係しているのでは無いかと考えた。

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