041:死ぬよりも怖い事
俺は根性と正義感で全身の痛みを感じながらも立ち上がる。
そんな俺の姿を見て、立ち上がれるわけがないのだとジャックは驚きを隠せずにいたのである。
「困っちゃうじゃねぇか。俺のパンチが安く見られる」
「安く見られるんじゃねぇよ。テメェのパンチは、軽いだけで効かねぇんだよ!!」
「言ってくれるねぇ!! それなら倒れるまで、お前の事をボコボコにしてやるよ」
・オリジナルスキル『痛み備蓄』
ジャックの拳は確かに痛いが、奥底に響く様な重たい拳では無いので、根性と正義感で立ち上がる事ができる。
そんな俺にジャックは倒れるまで殴ってやると、オリジナルスキルの痛み備蓄を使って殴りかかってくる。
「だから、それは効かないって言ってんだろ!!」
・高速移動魔法Level2
・筋力増加魔法Level2
「なんだと!? 速いっ!?」
「吹き飛べ!!」
向かってくるジャックに対して俺は、高速移動魔法と筋力増加魔法を使って、驚く程のスピードで距離を潰す。
そのまま俺が殴り飛ばされた様に、今度はジャックを殴り飛ばしてやったのである。
「テメェに何の大義があって、世界を乗っ取ろうとしているかは知ったこっちゃ無いが………それなら、それ相応の覚悟はできてるんだろうな」
「誰にモノを言っているんだ? 俺様は世界最大の大船団の船長である《ジャック=ラムズ》様だぞ!!」
「だからなんだって言ってんだよ!! お前が罪のない人たちを苦しめる限り、俺はテメェの野望を邪魔してやるよ」
「さっきまで伸びてた人間のいうセリフか? 今度は一撃で、気持ち良くさせてやるよ!!」
「次はそう簡単にいかねぇよ。それに何を勝った気で喋ってんだよ? 勝者ってのは最後の最後で立ってる人間だけだ!!」
吹き飛ばされたところからジャックは戻ってきた。
そして俺はジャックに対して、どれだけの野望でも人を苦しめるのならば邪魔をしてやると大々的に宣言する。
それに対してジャックは1度勝っている為に、俺よりも上だと完璧に思っている。
しかし本番は、ここからだ。
俺が折れる事は絶対にあり得ない。
「お前の様な弱者には、世界を救う事も俺を倒す事すらも不可能なんだよ!! このまま、ここで無惨に散れ!!」
「弱者だと? じゃあテメェは強者だっていうのか? 笑わせるんじゃねぇよ………テメェこそ自分の過去に負けた弱者だ」
「あぁん? よーく分かった………お前は本気で死にたいんだよな?」
「だからやってみろって言ってんだろうがよ。テメェの頭の中はスポンジでできてんのか?」
俺はできる限りの挑発をジャックに行う。
ジャックの様な性格は挑発に乗らないと言ったら、最初こそ無視できるが最後の最後で挑発に乗る人間だ。
計画通りにジャックは俺に向かって殴りかかって来てくれた。
それを俺は避ける事なく真っ向から受け止める。
「この問答は、さっきもしたろうが!! これはテメェの負けなんだよ!!」
「何の考えもなくて勝負するかよ!!」
・砂魔法Level3《サンドハンド》
「こっちが本命か!?」
ジャックは拳での押し合いならば自分の方が上だと余裕を出しているが、俺の狙いは押し合いに持ち込む事であり、この押し合いに勝利する事ではない。
本命はバレずにジャックの上に、砂魔法で拳を作ってジャックを地面に殴りつけるのである。
「こんな攻撃で倒せるって思ってんのか!! こんなもんなら俺の養分になるだけだ!!」
「誰が、こんなもんで終わりだって言った?」
「ぐはっ!?」
ジャックは、まだまだ余裕がある。
しかし攻撃の手を緩めるわけがなく、倒れているジャックの顔面を蹴り上げてジャックを1回転させた。
「ほら、さっさと立てよ。痛みが気持ち良いんだろ? 最高に気持ち良いのを、ブチ込んでやるよ」
「調子に乗るんじゃねぇ!! 少し上手くいってるだけだ!!」
俺が勢いに乗っている事に対して、ジャックは怒りを露わにして痛み備蓄している かなりの力を込める。
見たら分かるが、さっきまでとは遥かに桁が違うパワーの雰囲気を感じる。
しかし俺の足は前に出る。
「それだよ。その本気を倒したいんだ………やっと本気になってくれたんだな」
「怖くねぇのか? 俺の前に立つ人間ってのは、この力の前に恐怖で震えあがるもんだが?」
「これを見て震えるのか? ふんっ……死ぬのなんざ、全くもって怖くねぇな」
「なんだと?」
「罪の無い人が苦しむのと比べたらな」
俺は1度死んでいるんだ。
死ぬ事なんて怖くは無いが、俺が頑張れば止められた事で関係のない人たちが死ぬのだけは怖すぎる。
「ふっ。とことん舐めた野郎だ………どれだけ覚悟をしようが、お前に力が無ければ、ただの嘘だぞ!!」
「だから、テメェを倒して証明してやるよ………テメェの野望こそが嘘だって事をな!!」
「やってみろ!!」
遂にジャックは俺に向かって飛びかかって来た。
それに負けじと俺もジャックに向かって飛び出す。
「吹き飛べ!!」
「互いにな!!」
俺とジャックは互いの拳を相手の頬に当てて、2人は互いに後方へ吹き飛んでいく。
しかし2人とも直ぐに立ち上がると、またも相手に向かって飛びかかっていくのである。
「俺は強くなっていくぞ!!」
「なら、もっと気持ち良くさせてやるよ!!」
・炎魔法Level1:ファイヤーボール
・風魔法Level2:ストーム
――――炎龍の吐息――――
痛みを感じる事でジャックは強さを増していく。
そこで俺は炎龍の吐息を放つと、ジャックは手で炎を退かすと正面から俺が消えていて驚く。
「こっちだ、馬鹿野郎っ!!」
・炎魔法Level1《ファイヤーハンド》
・闇魔法Level2《ドレインハンド》
――――炎魔の拳――――
「ぐはっ!? 威力が上がってるだと!?」
俺が次に姿を現したのはジャックの頭上だった。
そのままジャックが反応できない速度から炎魔法と闇魔法を合わせたメリケンサックで、顔面を殴り地面に倒させるのである。
さっきよりも威力が上がっている事にジャックは驚く。
「テメェのオリジナルスキルは、確かにダメージを蓄積する事で強くなるだろう………だが、打たれ強さは変わってねぇよな?」
「それが、どうした? こんな攻撃、いくら貰ったって負ける方が難しいんだよ!!」
「言ってろ」
ジャックが起き上がるのを見てから俺は、ジャックに向けて飛びかかり筋力増強魔法を使って連打を繰り出す。
それに対してジャックは後手に回って、俺の攻撃を捌きながらカウンターのチャンスを探す。
「い 威力が上がっていく!?」
「まだまだまだ!! こんなもんじゃねぇぞ!!」
「ど どうにか攻撃の波を止めなければ!!」
俺の攻撃を一撃一撃受けるたびに、威力が上がっている事にジャックは驚き流れを切りたいと考える。
流れを切る為にジャックはバックステップをして距離を取ろうとするが、それを俺は許さない。
「距離を取らせるわけねぇだろ!!」
・高速移動魔法Level2
・筋力増強魔法Level2
――――高速肉弾――――
俺は距離を取ろうとしたジャックを思い切り殴り飛ばし、ジャックとの戦いの中で初めて優位に立った。
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