036:いざ、アギダクト島へ
俺とエッタさんは素晴らしい一夜を明けてから、少し恥ずかしさが出て来てモジモジしながら準備を始める。
シュナちゃんとカエデちゃんは、俺たちの変な雰囲気を感じとっているのか、俺たちに何があったのかを聞く。
「何かあったんですかわん?」
「えっ!? な なんでだい!?」
「だって、なんか2人ともソワソワしている様だわん………もしかして緊張してるんですかわん?」
「ま まぁそんなところだよ………気にせずに、アキダクト島に行く準備をしようね」
カエデちゃんは阿保の気質を持っているが、こんなところに気が効くのかと少し警戒しなければいけないと思った。
しかしエッチな事への情報は乏しいみたいで、そこから深く入ってこられる事は無かったので、俺も それなりに流して話をアキダクト島の方に変えるのである。
「あれ? ミナト様、剣を置いていくのですか?」
「あぁアイツには拳で負けたからな。この負けたまま、剣で勝ったのしても嬉しくもない………だから格闘家というポジションで今回は戦おうと思ってるんだよ」
「そういう事ですか。ミナト様なら剣でも拳でも、ジャックとかいう奴には負けないと思います!!」
俺は剣を置いてアキダクト島に向かうが、これは男として拳の殴り合いで負けたのに、俺だけ剣を使って勝つのだけはプライドが許さない為に剣を置いたのだ。
そのまま俺たちは準備を進めて、全ての準備が整ったところで船に乗り込もうとすると、兎人族の兵士たちが現れた。
「我々も連れて行ってもらえないでしょうかぴょん!! 我々は船員たちを倒して、ミナトさんたちの道を作りますピョン!!」
「確かに俺は良いが、3人の体力を考えても極力は雑魚との戦闘は避けたいところだよな………」
兎人族の兵士たちはジャック大船団には、雑魚とは言えども船員が多くいるので、その雑魚たちを我々が倒して、俺たちの道を作ると志願して来たのである。
そんな大人数で行くつもりは無かったが、エッタさんたちの体の事を考えれば、女海賊たち以外の戦闘は極力避けたい。
それならば兎人族の兵士が居た方が、上手くいくのでは無いかと俺は頭の中で考える。
「分かった。それじゃあついて来てもらおうか………俺の方は良いから、エッタさんたちの援護とかも頼むよ」
「了解しましたぴょん!!」
「よし!! このメンバーでアキダクト島に乗り込み………あの悪鬼《ジャック=ラムズ》を討ち取るぞ!!」
『うぉおおおおお!!!!!』
兎人族の兵士たちを同行させる事を決めて、これにて4人だったところが30人の大所帯となった。
その30人は船に乗ると、先の親島《アキダクト島》に向けて出発するのである。
親島のアキダクト島までは2時間くらいで到着するらしく、船の中には緊張感が漂っている。
そんな中で俺はシュナちゃんと、カエデちゃんに獣人に関する疑問を質問する。
「獣人って月を見たら、体が強化されるとかって無いの?」
「月を見たらですかわ? 確かに、先祖様たちはなったとかって聞きますけどわん………」
「それは退化して行って無くなったって感じだにゃ。それに話によると凶暴化も加わって、強さが何倍にもなるって聞いた事があるにゃ」
獣人のイメージとして満月の時に、体が進化して獣神になるのかという疑問を持っていた。
それをシュナちゃんとカエデちゃんに質問すると、書物で見ただけだというが、昔はあったが退化して獣神化しなくなったと詳しく話してくれた。
しかし獣神ができた獣人たちは、強さにプラスして凶暴さも増すので、強さとしては厄介なモノとして認定されていたらしい。
そんな話をしているとアキダクト島が見えて来て、俺たちの集中力が格段に上がっていく。
「3人とも覚悟は決まってるから、そこに関しては何もいう事は無いけど………撤退のタイミングは誤らないで」
「私たちが負けると思ってるのかわん?」
「勝つと思ってるさ。だけど、そこに関してのリスクを考えていない人間っていうのは二流だ。勝つ事を前提とした、リスクヘッジを行うんだ」
「分かりました。そこに関しては、私が責任を持って対応してみせます………ミナト様も危険と思ったら撤退して下さいね」
俺としては無理をして大怪我をされるくらいなら、潔く逃げてくれた方がマシだと思っているが、3人の目を見れば俺の言いたい全ての事を押し殺させてくれる。
それどころか、俺が心配する側であるがエッタさんたちの方も俺の事を心配してくれて、こんな心配をしてくれる人たちの前で相手から逃げるなんてありえない。
「よーしっ!! このまま乗り込んでやるぞ!!」
『うぉおおおお!!!!!』
俺たちはアキダクト島に乗り付けると、ジャック大船団の船員たちは敵が攻めて来たとパニックになる。
そのパニックが広がっている中で、兎人族の兵士たちが陸に上がると俺たちの進む道を作る為に戦ってくれている。
俺たちは兵士長の人が合図を出すまで船の上で待っており、綺麗に進む道ができたところで合図を出した。
「兵士たちの協力に感謝する!!」
「ありがとうございます!!」
「助かったわん!!」
「ありがとにゃ………」
俺たちはキチンと兵士たちに感謝を伝えてから、奴らのアキダクト島の根城まで向かうのである。
アキダクト島は山がある以外は平地となっており、アカシア島に比べたら遥かに何もなく、どうしてジャックたちがアカシア島を移動して、こんな島に来たのかは理解できない。
そんな事を考えながら走っていると、俺たちの信仰方向の前に女海賊のミア&クロエが姿を現した。
「まさか、こんなところまで追って来るなんてな」
「馬鹿な奴らだよ。またオレたちに、叩き潰される為にしたんだからな!!」
アレがエッタさんたちを苦しめたっていう女海賊たちか、確かにオーラだけでも強いとは分かるな。
根城にいないところを見ると俺たちが来るのを知っていて、ここで待ち伏せしていたのだろう。
「ミナト様。ここは私たちに任せて、ミナト様は船長のところに行って下さい!!」
「だ だいじょ………いや、分かったよ。ありがとう!! 3人とも気をつけるんだぞ!!」
「はいわん!!」
「はいにゃ……」
俺の事を3人は走って追い越して前に出ると、自分たちが足止めするからジャックのところにと凛々しい顔で言ってくれた。
俺は3人を置いて、先に待っている海賊界の怪物を倒すべく振り向かずに走り出す。
「なんだい? アレが船長が言っていた奴か………しかし、見ない顔が1人増えたが、そんなの有象無象と変わらないだろう」
「ここで貴方たちを倒します!!」
完全にエッタさんたちを下に見ているので、終始ニヤニヤした顔をしているのである。
そんな3人を俺は残して先に進むと、山のてっぺんにテントが張っており、あそこが根城だと分かった。
「あそこにジャックが居るのか………今度こそ、ぶっ飛ばしてやる!!」
「誰をぶっ飛ばすって? テメェが誰に、完敗したって忘れちまったのかなぁ?」
「ジャックぅ!!」
俺が中に乗り込もうとした時に、ジャックの方から出て来て、こっちも俺に勝っているからと舐めきっている。
そんな顔を見ると、死んでも勝ってやりたいという気持ちになって、やる気が上がっていくのである。
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