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社畜から卒業したんだから異世界で自由を謳歌します  作者: 灰谷 An
第2章・モフモフで可愛いケモノっ子
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034:救出活動

 俺はエッタさんに懇願されて地下室に監禁されていた兎人族を助ける為に、隠し扉から階段を降りて地下室に到着する。

 松明を持って行ったので地下室全体が見えるが、地下室に広がっていた部屋の中身をみて違和感を感じる。



「牢屋でも汚くもない………どうなってるんだ? 何かといえば神殿の様なモノじゃないのか? どうして、こんなところに神殿があるんだ………」



 地下室の中がグレイトネス神殿の様に、柱や神の像が置かれているであろう場所には、誰もいないが神殿という事は分かる。

 どうして海賊たちの根城にあるのかや、そこに兎人族たちが監禁されている事の不思議さに疑問を持つが、こんな事をしている場合ではないと、兎人族を1人1人抱え上げては地上に上げる。



「やっぱり俺の知らないところで、獣人ってのは何らかの力を持ってるんだろうか………アイツは、兎人族たちは既に用済みだって言ってたが、それが この結果なのか?」



 兎人族たちは息はしているが意識が戻る感じがなく、ジャックによって何らかの方法で生命力を奪われたかもしれない。

 それならば早く医者に見せた方が良いと、俺は兎人族をドンドンッと運び上げている。



「な 何なんだ!? この美しい子は……俺のドタイプじゃないかよ!! あっ!? ち 違うか。どうして女の子がいるんだ?」



 兎人族を運び上げて最後の1人だと思って運ぼうとしたら、それは獣人ではなく普通の人間の女の子だった。

 しかも俺の好きなタイプの顔で、ズキューンッと俺のハートを一瞬にして撃ち抜いてしまった。

 どうして、こんなに可愛い普通の人間が獣人の人質の中に混じっているのだろうか。

 まぁジャックたちは大海賊らしいから人攫いをやっていてもおかしくは無いが、周りには人間の気配は感じられない。



「ならば何なんだ? ここで儀式をやっていたとして、それに使われていたのが兎人族の人質………この子は、それを管理する人間だったか。この儀式をやるのに、この子が必要だった?」



 俺が考えている以上に、あのジャックという海賊の男が考えている儀式とは、相当なモノなのでは無いかと冷や汗をかく。

 この世の儀式において暗黙の了解があり、それは《人を作り出す事》《金を作り出す事》《神を呼ぶ事》の3つがある。

 今回は、このどれかをジャックがやろうとしているのでは無いかと考えられる。



「う…うぅうう………」


「あっ!? 意識が戻り始めるのか!! こんな事を考えるのは後で良いか!!」



 俺が地下室を見回りながら何をしていたのかと調べていると、女の子から少しの声が漏れて意識が戻るかもと急いで地上に戻る。

 これで兎人族の人質を5人と、謎の人間の女の子1人を助け出す事に成功する。



「さっきも見ましたが、その子は普通の人間ですよね?」


「そうだね。オーラとしても普通の人間で間違いは無いと思うけど………なんで、あそこに居たのかは気になるところだよ」


「何かの儀式に使われていたのでは無いかと思うんですけどね」



 なんとか全員を助けられた事にエッタさんが喜んでいるが、エッタさんも急いで治療をしたいところだ。

 全員を一気に運ぶのは難しいと思っていると、外から何やら声が近寄ってくる。



「ミナトさんっ!! なんとか無事……とはいえないみたいですね。私たちも手伝いますので急ぎましょう!!」


「セイラちゃん!? それに他の兎人族の人たち………まさか助けに来てくれたのかい?」



 俺が運び方に頭を悩ませていると、そこにやってきたのは助けを連れて来てくれたセイラちゃんだった。



「海賊たちの船が、この島を出るのを見えたので、もしかしてと思って援軍を連れて来ましたぴょん!!」


「それは本当にありがたい………俺だけだったら、どれだけ時間がかかっていたか」


「気にしないで下さいぴょん!! 私たちの仲間を助けてくれたので、お礼という程ではありませんがぴょん………助けたかったんですぴょん!!」



 セイラちゃんたちは自分の村からジャックたちが、居なくなるのをみて嫌な予感がしたからと助けに来てくれた。

 セイラちゃんたちの助けを借りて傷を負った人たちを、兎人族の村の医者まで運ぶのである。

 俺とシュナちゃんはジャックに殴られただけなので、そこまでダメージは無いがエッタさんたちは傷だらけだ。



「これくらいなら問題ないです………傷口だけなら、私の光魔法で治せます………」


「傷を治しても内臓まで行ってたら治るのかい?」


「そ それは……」



 エッタさんは自分よりも他の人たちを助けて欲しいというが、俺としてはエッタさんも重症なんだからと説得して治療をさせる。

 俺としては居ても立っても居られないので、病院の外に出るとジャックの情報を集め様にも集められない為に、悔しさが溢れ出て来て叫ぶのである。



「ミナトさん………少し大丈夫ですか?」


「セイラちゃん………どうかしたのかい? 皆んなは、何とか無事だったかい?」


「はい、皆んな助かりましたぴょん………そうじゃなくて!! あの海賊について調べていた諜報員が居ましたぴょん!!」


「何だって!? それは本当かい!?」



 俺が叫んでいるところにセイラちゃんがやって来て、叫んでいたから怖いのだろうか、ビクビクさせてしまったのは申し訳ないな。

 そんな事を思っているとセイラちゃんは、ジャックについて調べていた兎人族の諜報員が居ると言った。

 本当なのかと驚きを隠せずに、セイラちゃんの肩を掴んで顔を近づけると、さらに怖がらせてしまう。



「ご ごめんね!! 少し興奮しちゃって………それで、本当に海賊について知ってる人がいるの?」


「はいっ!! こちらのライトさんが、この村の諜報員をやっておりまして、調べていたんですよぴょん!!」


「どうも……」



 ジャックの情報を持つ諜報員の兎人族を紹介してもらった。

 場所を変えて俺たちは、人目のつかないところに行って詳しくジャックたちの話を聞くのである。



「あの男の名前は《ジャック=ラムズ》という………異名は、アイツのオリジナルスキルから取られている《100叩きのジャック》と言われているみたいだ」


「100叩きだって? 100叩きって、罪人が竹刀とかでボコボコに殴られるって奴だよな? それが何で、アイツのオリジナルスキルになるんだ?」


「アイツのオリジナルスキルは《痛み備蓄(ストック)》という、ダメージを蓄えて自分の力に変換するというスキルだ」



 これで俺がダメージを与えれば与える程に、あのジャックが強くなっていく理由に説明がついた。

 しかしダメージを貯められるとはいえども、そんなのが無限にできるのならば強すぎる為に、やはりダメージを与え続けるが耐えられないダメージを与えれば倒せるのではと考える。



「それでジャックは、どこに行ったんだ? さすがに、そこまでは分かっていないのか?」


「それなら分かっているさ。あの海賊は、このアカシア島の親とも言われている親島《アキダクト島》に向かった」


「親島だって? その島と、この島は親子関係なのか?」


「この島は、そのアキダクト島からエネルギーを受けて成り立っている………だからこそ親子関係なのだ」


「そういう事か………アイツの居場所が分かれば、俺のやる事は1つだ」



 ジャックの居場所がアキダクト島である事を知った俺は、色々と準備をしてからリベンジマッチだとやる気になる。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「俺のドタイプじゃないかよ!!」って漏れ出た心の声に笑ってしまいました! ジャックのスキルも分かって、なんとかリベンジできるのでしょうか(*'ω'*) いざ、アキダクト島へ!٩(* ゜Д゜…
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