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社畜から卒業したんだから異世界で自由を謳歌します  作者: 灰谷 An
第2章・モフモフで可愛いケモノっ子
33/202

031:疲労困憊

 俺とジャックが戦闘しているが援護のシュナちゃんは、俺たちの殺気やらに足を踏み入れる事ができずに震えている。

 しかし俺が2度目の力比べで負けて吹き飛んできた時に、ジャックは油断し切った表情で俺の方に近寄ってきていた。



「私だって戦えるにゃ!!」


・氷魔法Level4《氷の時代(アイス・エイジ)


「なに!? 氷魔法だと!? いででで……凍りつくってのは痛いもんなんだな!!」



 ジャックとの間合いを考えてシュナちゃんは、立ち上がりジャックに向けて《氷の時代(アイス・エイジ)》を放った。

 すると地面が凍りながらジャックの体も凍りつき始めて、足が凍って腕も凍らせる事に成功したのである。

 シュナちゃんは自分の中で、良いタイミングで攻撃を仕掛けられて、しかも攻撃が成功できたと安堵する。



「良い攻撃な事は認めようじゃないか。そんな幼いメスガキが、こんな氷魔法を使えるんだから………だが、この常に走る痛みってのは、俺のオリジナルスキルとは相性が悪いみたいだな」


・炎魔法Level2《燃える体(フレイム・ボディ)


「わ 私の攻撃を氷魔法を喰らっても涼しい顔をしてるにゃ………びっくりにゃ」



 完全に意表を突いて動きを止められたと思ったが、ジャックは涼しい顔をしながら炎魔法で氷を溶かした。

 完璧に自分の魔法を喰らわせられたと思っていたシュナちゃんは、驚きのあまりに口を開けている。



「そんなに驚く事じゃねぇだろ? メスガキにしては、それなりってところだったんだからよぉ………やる気があんなら、俺のところで働かせてやっても良いぞ?」


「そんなのは お断りにゃ………アンタの下で働くくらいなら、刑務所に入った方がマシにゃ!!」


「威勢の良いメスガキじゃねぇか!! 尚更に気に入っちまったじゃねぇかよぉ」



 ジャックは驚きを隠せずにいるシュナちゃんに、そんなに驚かなくても力の差がありながら攻撃を入れられた事を誇れという。

 そんな事は誇れないと強く出ると、ジャックは強さと威勢の良さにシュナちゃんを気に入って仲間に勧誘する。

 そんな男の勧誘に乗るわけがなく、誘いを突っぱねるとジャックは腕を振り上げてシュナちゃんを殴ろうとした。



「シュナちゃん、気を逸らしてくれてありがとう!!」


・炎魔法Level1《ファイヤーハンド》

・闇魔法Level2《ドレインハンド》


――――炎魔の拳(イフリート・ナックル)――――


「ちっ!! 俺の気を逸せる為だったか!!」


「吹き飛びやがれ!!」



 俺はシュナちゃんに気を取られているジャックの隙をついて、視覚に回り込むと炎魔の拳(イフリート・ナックル)を打ち込んだ。

 死角からという事と俺のハンドスピードが速くて、ジャックは力を込めて耐えようとするが、今度こそ俺の手によって吹き飛ばされていったのである。



「はぁ……はぁ………思ってたよりも手間かけさせやがって、久しぶりに疲れた」


「だ 大丈夫ですかにゃ? 凄まじい汗をかいてるし、血もたくさん流れてるにゃ………」


「いや、疲れが溜まってるだけでダメージに関しては、見た目程では無いよ………それよりも思ってたよりも、あの男強かった」


「そうですにゃ。ミナトさんの筋力アップの魔法と、普通の状態で張り合うなんてにゃ………相当な化け物にゃ」



 俺の汗の量や血の量を見て、シュナちゃんは駆け寄ってきて俺の安否を確認してくれるが、見た目よりかは遥かに痛みは無いので心配はしなくて良いが、疲労が異様に感じられる。

 そんな事を思いながらもエッタさんたちと合流しようと考え、動き始めた途端に殴り飛ばしたところから、不穏な音が聞こえてくる。



「おいおい。何を終わった気になってんだぁ? こんなパンチで負けるわけねぇだろ………それに痛みを感じれば感じるほどに、強くなる実感が感じられるなぁ!!」


「嘘だろ……クリーンヒットしたんだぞ」



 ジャックは完璧なパンチを喰らいながらも、何も無かったかの様な顔で首の骨を鳴らしながら立っている。

 そして戦いやすくする為に、破れている上の服を破り脱いで、胸を叩きドラミングしている。

 俺は直ぐに立ち上がり、今直ぐにでも戦闘が再開されると覚悟を決める。



「シュナちゃんっ!! ここら辺の気温を下げるんだ………できる限り下げても良い!!」


「わ 分かったにゃ!!」


・氷魔法Level4《氷の時代(アイス・エイジ)


「なんだ? 今更になって、何をやろうってんだ………これじゃあ、お前だって凍らされるだろうが」


「これはテメェを殴り飛ばす為の魔法………今度こそ、おねんねしてもらうぞ!!」


・炎魔法Level1《爆発(インパクト)



 俺は廊下の気温を極限まで下げてもらう。

 シュナちゃんが出せるだけの氷魔法の最大を使って、廊下を凍らせると息をするだけで肺が凍りそうなくらいに寒い。

 俺とジャックの体は異様なくらいに湯気が出ており、俺は炎魔法を使って寒さと暖かさの爆発力を使って、ジャックに向かって最大限の突進を行なった。



「かかって来い!! 殴り殴り殴り、立っている人間のみが世界の覇者だ………お前には、まだ早いんだよ!!」


「言ってろ、海賊風情がぁあああ!!!!」



 ジャックはグッと膝を曲げて腰を落として、俺が向かってくるのに対して自分は動かずに耐えてやるという意思表示だ。

 そのまま俺たちの拳は互いの拳に衝突して、シュナちゃんがいるところまで衝撃波が襲う。




* * *




 俺たちとジャックの戦闘が激化している時に、エッタさんたちはミア&クロエという女海賊団と戦闘になっていた。



「そんなに距離を取るなよぉ。オレたち同じ女だろぉ?」


―――女海賊・ミア=ロビンソン―――


「同じにしないで!! 貴方たちみたいに、弱い人たちから物を奪ったりしないわ!!」


「同じさ!! オレたちが生きてる限りは、どんな人間だろうと人を苦しめて生きるのさ!!」



 エッタさんは至近距離での戦闘は苦手な為に、距離を取って迎撃しようとするが、ミアはカットラスで切り掛かっていく。

 ミアは何のバフもなく素の力で、カットラスが地面に触れるとドンッと地面に切れ目が入るパワーを見せつけた。

 エッタさんはバフもなく女であるミアが、ここまでのパワーがある事に驚きを隠せず、まともに喰らってしまったら自分もひとたまりも無いと距離感を大切にする。



「そんな馬鹿力で、攻撃されては困るわ!!」


・オリジナルスキル『神風(ゴッドストーム)


「突風!? こんな建物の中で………これは、お前のスキルなんだな? ただの風魔法とは思えない………という事は、これはアンタのオリジナルスキルか」


「これくらいの距離を空けられれば問題ない!!」


・風魔法Level4《ストームスピア》

・火魔法Level1《ファイヤーボール》


――――無遠慮な槍(ランス・ブララント)――――



 エッタさんはオリジナルスキルである神風(ゴッドストーム)を使うと、ミアは突風に襲われて目を開けられなくなりエッタさんを見失った。

 その瞬間にエッタさんは距離をとっており、その距離から火魔法と風魔法を組み合わせた飛ぶ槍を作っていた。



「はははははっ!! 凄い魔法じゃないか………それをオレに打ち込んできな!!」


「当たり前よ………アンタの為の特注品なんだからね!!」



 ミアから見たら槍は火と風が混ざり合っている為に、周りの空気も飲み込まれていくのが見える。

 それでも撃ち落とせる自信があるのか、エッタさんを煽って槍をミアに向けて撃たせた。

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