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社畜から卒業したんだから異世界で自由を謳歌します  作者: 灰谷 An
第4章・ロリっ子な吸血鬼の女の子
148/202

143:興醒め

 イローナちゃんたちは、強敵のオフグッギと激しい戦闘になっている。数的有利な状況ではあるが、オフグッギは大太刀でイローナちゃんたちの攻撃を捌くだけではなく、自らも攻撃して前に出ていく。



「こんなにも攻撃してるのに、どうして大太刀を潜り抜けられないでござる………」


「大太刀を使った大人数の対策をしてるみたい………」


「この妾が押されているじゃと? そんな事は絶対に許されるわけが無いんじゃ!!」



 あまりにも自分たちと戦力差がある事に、ルイちゃんたちは愕然とし始めている。しかしローズちゃんは、自分が負けている事を認められずにいる。



「本物の強者とやった事がないのだろうな。己の力を過信し過ぎだ………そんな事だと、ここを乗り切ったとしても、いずれは命を落とす事になる」


「妾が死ぬじゃと? ふざけた事を言うな………ここは妾の死ぬ場所では無いんじゃ!!」


――血傑の狂乱(マッド・モード)――



 ローズちゃんの見た目が変わった。ローズちゃんの服が真っ赤なドレスに変わって、全体的に全身から異様な殺気というか、オーラが放たれているように見える。

 その姿を見たオフグッギは、ローズちゃんの雰囲気が変わった事で強さも変わっただろうと踏んで、舌で唇をペロッと舐め大太刀を構える。

 そして少しの間が空いてからローズちゃんは飛び出して拳を振るう。それをオフグッギは、大太刀の腹で受け止める。しかしローズちゃんは止まること無く、オフグッギの腹を蹴って後ろに引かせるのである。



「う〜ん。さっきまでの蹴りとは違うわけか………そうかそうか。ヴァンパイアってのは面白いな!!」


「そうも言ってられなくなる」



 ヴァンパイアであるローズちゃんの蹴りを喰らって、痛みよりも楽しいが勝っているオフグッギである。

 蹴りを堪えられたとはいえども本気になってきているローズちゃんは、淡々とした口調でオフグッギに対して余裕が無くなると言った。

 そして今度はオフグッギの方から動いて、大太刀をローズちゃん目掛け振っている。大太刀を振っているのかというくらいのビュンッという音がする。



「まだまだ!! ここからが難しいぞ!!」


・筋力増強魔法Level4


「剛力なのは認めてやろう………しかしパワーだけで、何とかなるのは雑魚相手だけじゃ」



 オフグッギは筋力を増強させて、まさしく木刀を振るっているかのように大太刀を扱っている。軽そうに見えるが地面に大太刀がぶつかった瞬間、地面がドンッと割れるくらいの威力がある。こんなのを喰らった日には、真っ二つになればマシな方だろう。

 そんな威力の大太刀をローズちゃんは、身軽な体を生かしてヒョイヒョイッと避ける。そしてオフグッギの体と顔面に軽く数発入れる。



「軽い軽いわ!! こんなもので俺を倒せると思っているのか!!」


「質より数………そのうち倒れる」



 ローズちゃんの攻撃を受けても効いていないように見えるが、ローズちゃん的には質よりも数だと言って手数を増やしていくのである。だが、数が多いとは言っても1回の力が弱ければ、相当な時間がかかってしまう。

 それに誰が見たとしてもオフグッギの体力は、普通の人間の何十倍もある感じがする。それは戦っているローズちゃんが、1番理解している。



「ダラダラとやっていても時間がかかるだけじゃな」


――血弾の拳銃(ブラッド・ピストル)――


「うぉ!? こりゃあ飛び道具にしては、中々の威力がありやがるな………」



 ローズちゃんは何発入れても効かないオフグッギに嫌気がさしたのか、ローズちゃんは指先を噛んで血を出すと、血を弾にしてピストルのように撃つ。

 突然の飛び道具だった為に、オフグッギは大太刀で攻撃を防ごうとするが足元に来たのは防げない。

 ここからがローズちゃんの怖いところだ。ローズちゃんの血液は特別で、傷口にローズちゃんの血が入るとジワジワッと足全体に痛みが広がっていく。



「おぉ。これは痛みが足全体に広がっていく………これはヴァンパイアだからというわけでは無さそうだな。つまりは、これは個体による能力か」


「そうじゃ。妾の血液は稀血じゃ………まぁこれくらいは教えてやっても問題なかろう」



 ローズちゃんは稀血を持っている。稀血とはヴァンパイアの個体の中でも特殊な血液を持つ者の事をいう。

 そしてローズちゃんの稀血は、体内に入ると苦痛を身体中に広げるというものだ。これは呪いにも近いものがあるのだが、高度な回復薬でなければ治せない。

 そんな攻撃を喰らったオフグッギは、体に時限爆弾を取り付けられた状態に他ならない。つまりは時間が経てば痛みによる苦痛によって、体が侵されていずれは死に至るところまでいくだろう。



「こりゃあ制限時間が付けられちまったか………まぁハンデとしては十分か?」


「ハンデを付けてやってるのは妾の方じゃ。妾の100%が出ていれば、とっくに貴様は死んでいるじゃろ」


「ほぉ? そうか。それは確かに怖いねぇ………それで今の状態から勝てるってわけか? この状況から逆転できるってんなら最高の話だねぇ」



 ローズちゃんは本気を出していないみたいだ。そして本気を出せない理由があるのも事実だろう。

 オフグッギは手を顔に持っていくと笑いながら、ローズちゃんが本気を出していない事について話す。大太刀を構え直して、ローズちゃんが言っている事は本当なのかと試してやろうという。

 ローズちゃんは地面が割れるくらいの力で、オフグッギに向かって飛び出していく。向かってくる拳に対してオフグッギは、大太刀の腹で防ぐのでは無く真っ向から斬りかかるのである。ローズちゃんの拳と、オフグッギの大太刀は火花が出る程の鍔迫り合いになる。



「おいおい。俺の大太刀は良作の名刀だぞ………それと渡り合う拳って、一体どんな拳だよ」


「だから言ったじゃろ? 妾は貴様にハンデをやっていると………まだまだ妾の攻撃を受けてもらうぞ」


「それは遠慮したいもんだが、まぁ騎士として生まれてきてしまったらやるしか無いな!!」



 オフグッギの大太刀は良作の名刀みたいだが、それに匹敵する拳をローズちゃんは持っている。しかし騎士として良い剣を持つ者として、オフグッギは力ずくでローズちゃんを薙ぎ払ったのである。

 ローズちゃんは払われると後ろに着地して身構えようとした時に、オフグッギの方から斬りかかりイローナちゃんたちが立ち入る隙が無い。

 しかし2人の戦いに熱が入り始めたタイミングで、向こうの方から爆発音が聞こえて、その場にいた人たちは爆発音の方を見る。それどころか、オフグッギは爆発した方から嫌なオーラを感じた。



「あのカンとかいう奴が余計な事をしやがったな………ちっ魔人が出ちまったら興醒めだ。嬢ちゃんら、また会う事があったならな」


・煙魔法Level2《姿隠し》


「なっ!? 逃げるのか!! 妾との勝負をお預けにするというのか!!」



 オフグッギは水魔法の応用である煙魔法を使って、姿を隠すとイローナちゃんたちの前から姿を消した。ローズちゃん的には不本意な形ではあるが、この勝負は痛み分けとなったのである。

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