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社畜から卒業したんだから異世界で自由を謳歌します  作者: 灰谷 An
第1章・綺麗なエルフ族の女の子
10/202

009:王都捜索・後編

 本当に裏の奴隷商のところにいるのかは、まだ正直なところ判断するのは難しいが、まぁ9割は確定してる事だろうな。

 エッタさんの為にも力を貸す事に微塵も躊躇はなく、急がなければ売られた末に何をされてもおかしくはない。



「エッタさん。焦るのは焦るだろうけど、落ち着いて事をキチンとやり抜こう………ここに来て焦りでのミスはダメだからね」


「はい。全てミナト様の指示に従います………少し取り乱す事もあるかも知れませんが、そこは一喝していただければ」


「まっそこまで分かっているのなら特に問題は無さそうだな」



 俺が懸念していた、エッタさんの己を忘れてしまう件だが心配しなくても良いのかもしれない。

 今は先を急ぐとしようか、と思っていたがスラム街に綺麗な銀の鎧を着けた騎士たちが迎えから来る。



「エッタさん。耳と奴隷の首輪を隠すんだ………あの騎士たちにバレたら、それこそ致命的な事になる」


「わ 分かりました………」



 この騎士たちが奴隷商と結託している人間たちなら、少しは話が通じるだろうが、普通の見回りをしている騎士なら、全くもって話し合いという風にはならないだろう。

 俺とエッタさんは息を殺して、騎士たちの隣をスッと通ろうとしたが、金髪にパーマをかけている女の騎士に声をかけられた。



「そこの君たち、ちょっと良いかい?」


「な 何でしょうか?」


「隣にいるのは、おまえの奴隷か?」


「は はい。私の奴隷にございます………それが、どうかいたしましたか?」



 少しドキッとしたが、そこまで深追いはされないだろう。

 なんて考えているが前世でも職質とかは苦手で、される度に挙動不審になって疑われるんだよな。

 ここは作り笑顔で怪しまれない様に、どうにかやり切らなくてはダメだ!!



「奴隷の顔を確認しても良いか? 何処かで見た様な気がしたんだ」


「そうでしたか。しかし私の奴隷の顔には傷がありまして、それを見られるのは辛いのです………ご容赦下さいませんか?」


「そういう事だったか………まぁ乙女にも色々とあるのだろう。呼び止めてしまって申し訳なかったな」


「いえいえ、こちらこそ。それでは失礼します………」



 俺としては起点の良い理由では無いだろうか。

 女の人の顔に傷があれば、それをわざわざ確認しようとする野暮な奴は少ないだろうと思っていたよ。



「ちょっと待てっ!! やはり顔を見せてもらおうか」


「え? いや、あの………だから!!」


「そっちの奴隷の子は、エルフじゃないかな? 世界連盟での奴隷規定では、エルフの奴隷化は禁止………なのに、どうして貴方の隣にはエルフの奴隷が居るのかしら?」



 どうしてバレたんだ!?

 あの騎士の強さは未知数ではあるが、後ろの下っ端騎士は5人か………なんとかスキルを使えば何とかなるかな。

 そんな風に頭をフル回転させているが、やはりエッタさんを守りながらの戦闘には限界がある。



「先手を打つしかないか………失礼しますよっと!!」


・スキル:高速移動魔法Level2


「速い!?」


「タッチと……とりあえずはスキルを確認させてもらうわ」



 相手さえ触れらたらスキルを持っている場合、その全てを丸々コピーできるからな。

 さてと女騎士さんのスキルってのは、どんなスキルを使って俺とエッタさんの正体を見破ったんだ?



「へぇ。周囲の人間やモノを調べるスキル………これが貴方のオリジナルスキルなんですね」


―――オリジナルスキル・周囲探知(サーチ)―――


「な 何故だ!? 何故、私のオリジナルスキルが分かった!!」


「使ってみようかな………」


・オリジナルスキル:周囲探知(サーチ)



 女騎士さんのオリジナルスキルを使うと、周囲にいる人間の数や位置を完璧に頭に入ってくる。

 レベル差にもよるだろうが、周囲探知(サーチ)を使えば相手の種族とかの個人情報が確認できる。



「あら、ミレーヌさんっていうんですか。それに お若く見えるけど32歳………結婚は無しと、苦労されているんですね」


「なっ!? そのスキルは、私の周囲探知(サーチ)と同じ能力じゃないか………どうなっているのだ!!」


「今は、まだ捕まるわけには行かないんでね………スキルだけは貰っておきますよ」


・スキル:土魔法Level2《ストーンウォール》



 俺は女騎士ミレーヌを煽る様に個人情報を伝えると、自分のスキルを使われたのだから驚くのは当たり前だ。

 そんな意表を突いた瞬間に、俺はミレーヌとの間に土魔法で壁を作り視線を遮ってからエッタさんを担ぎ逃亡する。



「こんな持ち方して申し訳ないね!! 急いで逃げないと、あのミレーヌとかって女騎士が追いかけてくるから」


「そ それは良いんですけど、あの女騎士さんは何でエルフだって分かったんでしょうか………」


「あの人は周囲を調べるスキルを持っていたんだ………何かを怪しんで、俺たちにスキルを使ったんだろうね」



 このまま近くに潜伏しても追っ手が来るだろうから、今は目的の奴隷商がいるところに急ごう。



「このまま奴隷商のところに行くけど、どうにかシュナちゃんとカエデちゃんに連絡取れないだろうか………」


「そうですね。でも彼女たちは、かなりのマイペースそうなので難しいかもしれませんよ………」



 2人で突入するよりもシュナちゃんと、カエデちゃんがいた方が良いのであるが、彼女らとの連絡手段が無いのである。

 どうしたものかと思っていたら、少し離れたところから聞き覚えのある声が聞こえてきた。



「ミナトさんっ!! やっと会えましたわん!!」


「ふ 2人とも、よく俺たちの場所が分かったね」


「カエデは鼻が効くからにゃ」



 ここに来てカエデちゃんの犬人族特有の敏感な鼻が効いてくるとは思っていなかった。

 というより遥かに出会った頃よりも実家の犬感が増してきて、俺的にはモフモフしたい欲が高まっていく。



「これから奴隷商のところに乗り込むけど、2人とも戦闘に関してはできる?」


「僕は近接戦闘なら得意だわん!!」


「私も氷魔法が使えるにゃ」


「お おう。思ってたよりも遥かに戦力になるな………」



 この可愛さにプラスして戦闘ができるなんて、この子たちの無敵さが増していくのを感じる。

 そんな事を考えながらもホームレスから聞いた、奴隷商がいるところに到着した。

 まさしく禍々しさを感じる建物に、檻に入れられた人間たちを建物の中に入れたり出したりしているのが見える。



「あそこが違法奴隷市で間違いなさそうだな………無策に突入するのは馬鹿やる事だから少し待っててよ」


・オリジナルスキル:周囲探知(サーチ)


「ミナト様は、人様のスキルを自由に使えるんですか? そんな力を持った人なんて聞いた事ありませんよ………」


「人様のって言われると罪悪感が出てくるけど………まぁ力がある人間は弱き人の為に使うが本望だよ」



 ミレーヌのスキルではあるが、このタイミングで手に入れられたのはラッキーと言わざるを得ないな。

 とにかく周囲探知(サーチ)のスキルを使って、奴隷市の中を見ると思っていたよりは客は少なそうだ。

 店の表部分にはエルフたちはいないみたいだ。

 きっと店の奥か、または地下室にいるのでは無いかと考えてスキルを地面の中まで行うとエルフたちを発見した。



「見つけたっ!! この建物の地下室に、エルフの人たちがいるみたいだ………やっと見つけたわ」


「本当に見つけて下さるとは思っていませんでした。ミナト様には感謝しかありません………」


「まだだよ。ここからが本番だ………下手したら人質に取られて面倒な事になるかもしれない。



 既にエッタさんは感動して泣きそうになっているが、救出作戦は ここからが本番である。

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[良い点] 周囲探知のスキル、かなり便利そうですね! そして、いよいよ救出作戦開始でしょうか(*'ω'*)無事助けださなくては!頑張れー!
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