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血に飢える邪竜に転生してしまったから引き篭もります 〜あと聖女は帰ってくれ〜

作者: 槻群夕日

 転生したら竜だった。

 そこまではよかった。そう、竜は竜でも、邪竜でなければ。



 この世界で初めて意識を得た時、俺は空を飛んでいた。

 すぐに自分が別の世界に転生したこと、そして自分が竜であることに気づいた。

 前世の俺は語るに及ばない平凡な人間で、異世界転生ものの小説や漫画を暇つぶしによく読んでいた。だから自分に起こったことがそれだとすぐにわかったのだった。まさか竜になるとは思わなかったが。


 向こうに街が見える。

 あれが人間どもの住み処か。ふん、人間、弱き者たち、矮小な存在よ。ってもう竜みたいな思考になってるな俺。

 竜は強い存在だ。強者としての優越感を全身に感じる。案外、竜であるのも悪くないかもな。そんなことを思った矢先だった。

 どくん、と激しい衝撃のようなものが全身を貫くのを感じた。外からの衝撃ではない、自分の内側から湧き出るものだ。

 人間の血が欲しい。人間の肉が食いたい。

 そのような欲求に襲われたのだった。

 一体俺はどうしてしまったんだ。


 空を飛びながら、湖の上を通ったときのことだった。

 湖面には一匹の竜が映っていた。

 それを見て俺は驚いた。

 その竜の全身は真っ黒で、その上を赤銅色の太い筋が編み目をなして走っている。毒々しい見た目だった。一目でわかった。絶対に邪悪な存在だ。

 竜は竜でも、俺は邪竜だったのだ。 


 自分が邪竜だと認識した途端、俺の中に竜の記憶が一気に蘇ってきた。

 俺は邪竜になったばかりだった。邪竜になる前の自分は美しい見目の心優しい竜で、人間の友達が一人いた。で、その友達に裏切られたのだ。そのことがきっかけで、竜の心は闇に落ちてしまったらしい。体も恐ろしい姿に変わってしまった。

 悲しい記憶だ。

 自分の中にある殺戮の欲求は(あらが)いようのないものである。しかし自分が人を殺したという記憶はない。自分を裏切った友達を手にかけることもなかった。むしろ殺してしまうことを恐れて、遠く離れるように一心不乱に空を飛んできたらしい。そして今だ。いいやつだったんだな。

 人を殺したという記憶がないのにはほっとした。竜の姿を受け入れているとはいえ、前世は人間だし、今も竜の姿をした人間という感覚が強い。だから人を殺したくはない。

 しかしこのまま人間の街に近づいてしまうと、自分で自分を抑えられるかわからない。それほど自分のなかの欲求は激しいものである。


 俺は人里離れた場所を求めて、方向を変え、森の深くなる方を目指して飛んでいった。

 やがて険しい岩山が現れた。そのふもと辺りに丁度いい巨大な洞穴があった。

 俺は少し羽を休めようと、その中に入ってみた。

 その洞窟のなかは、思った以上に深く快適そうだった。何かが暮らしている痕跡もなく空っぽだ。

 よし、決めた。しばらくここで暮らそう。


 

 その洞窟で暮らして数週間が経った。

 あれから人間には出会っていない。食べ物は森の中で調達できた。森の木々の高さを超える大きさのイノシシみたいなやつやら、トカゲやらを仕留めて洞窟に持って帰って貯蔵している。

 それらの生物は人間だったら相当苦労するだろうと思える。なにしろ森の木々より高さのある巨大な生物である。しかし、俺は竜だ。それらの生物よりもっと大きいし、強い。腕を一振りすれば、鋭い爪で一撃だ。

 こんな感じで、食べ物には困っていない。

 人間を食べたいという欲求も、近くに誰もいなければ、かすかに体の奥にうずく程度の欲求で済んでいる。ここなら安全に暮らしていける。少し寂しいけど、しょうがない。

 俺はもうここに引き篭もって生きていくんだ。

 だけど、ときどき夢に見る。人間を喰らう夢。とても美味しくて心が満たされる。

 そんな夢を見ると自覚する。

 俺は邪竜なんだ。



 しばらくは何ごともなく日々が過ぎていった。しかし、ある日恐れていたことが起こったのだった。


「こんにちは、誰かいますか?」

 そんな呑気な声が洞窟の入り口の方から聞こえてきた。若い女の声だった。いやいるわけないだろ、と突っ込みたくなった。いやいるんだけど。いるのは邪竜だけど。

 最初隠れてやり過ごせないかと思ったけど、それは無理だった。邪竜の巨大な体を隠せるような場所は洞窟内にはない。

 だから方針を変えた。


 俺は、恐ろしいうなり声を上げて、その女の前に姿を現したのだった。 

「あら」と女は少しだけ驚いた声を出した。恐ろしい邪竜を前にした驚き方としては随分物足りない驚き方だ。

「何者だ。何をしに来た」

 俺はなるべく低くどすの利いた声を作って、そう言った。

「初めまして、私の名前はエリーゼ。聖女の役目を果たしにここに来ました」

「聖女?」

「はい、聖女です」

 転生してからほとんどこの洞窟でしか生活していないし、この世界の事情は全く知らない。だから聖女がどんな存在かはわからない。

 ただ前世で読んだ異世界ファンタジーだと、だいたい聖女はすごい存在だった。その中では賢者、勇者と並ぶような役職で、世界を救う力を持っているようなやつらだ。

 まずい。これは邪竜も分が悪いかもしれない。自分の身の安全のためにも、とにかく脅して追い返したいところだ。

「ふん、お前が聖女であろうとどうでもいいことだ。俺の機嫌のいいうちに立ち去れ。今なら見逃してやろう」

 そう言って俺は聖女の目の前の地面に爪を突き立てた。

 しかし聖女はたじろがなかった。

「いえ、立ち去りません」

「なに? では、殺されてもいいというのか」

 俺は爪の先を聖女の顔に近づけて言った。絶対に傷つけないように最新の注意を払いながら。

 流石にこれで怖くなって命乞いをすると思ったのだが、

「はい、殺してください」

 なんて、聖女はまったく平然と言い放つのだ。


 困った。俺の脅しが一切効いていない。それどころか、そもそもこの聖女の言い方だと、ここに死にに来たみたいに聞こえる。

 それに先ほどから、人間が目の前にいるせいで、自分のなかの人の血肉を求める欲がまた湧き上がってきているのだ。落ち着かないから早く帰って欲しい。

 しかし、

「どうぞ私の体にその爪を突き立てて下さい」

 そう言って聖女は手を合わせて、ひざまずき、体をこちらに投げ出した。

 駄目だ。脅しても喜んで殺されに来るだけだ。


「いや俺は絶対にお前を殺さない」

 と俺が言うと、聖女は顔を上げ、今までで一番驚いた顔をした。

「え、それは困ります。ほら、この爪でさくっといきましょう」

 そういって、俺の爪を聖女は手で掴んで引っ張りはじめた。

「やめろ」と俺は言って、前脚を引っ込めた。

「ごめんなさい」

 そう言って、聖女は困った顔をした。

「どうしても私を殺す気はないのですか」

「ああ」

 ついさっきまで普通の人間だったんだ。人間を殺したくない。

「それは困りました。私帰れないんです。もし帰ったら村のみんなが困ります」

 なんだか聖女にも訳があるようだ。

 いくら帰れと言っても無駄みたいだったから、事情を聞くことにした。


 聖女の話によると、最近邪悪な姿をした魔物が目撃されたと近隣の村々で問題になって、聖女が派遣されることになったそうだ。意外と近くに村があるようだ。俺が空を飛んでいて目に入ったことはないが。

 そして聖女が派遣されたのは、聖女の特別な能力に理由があるという。聖女は自らを命を代償に、邪悪な存在を滅ぼすことができるという。ただし条件としてその邪悪な存在に直接殺されなければいけないという。

 だから殺されたがっていたのだ。

 ていうか危ない。俺が聖女に手をかけていたら、その瞬間俺は死んでいた。

「それが聖女の役目。どんなに恐ろしい魔物も私たち聖女の力で討ち果たすことができるのです」

 要するに自爆魔法みたいなものか。

 この世界の聖女は特攻兵器みたいな存在らしい。なんか物騒だな。


 その話をした上で聖女は言うのだ。

「だから私を殺してください」

 俺はそれを聞いて、笑いそうになった。

「今の話を聞いて殺すわけないだろ」

「確かに。しまった。この話をしたらだめですね」

 

 それから帰れ、帰らない、の押し問答があったが平行線だった。

「とにかく私は帰れないんです。殺してもらえないのなら、しばらくここにいさせてもらいます」

「いつまで?」

「その爪がこの身を八つ裂きにするまでです」

「そんな日は来ない」

 しかし、そういうやり取りをしても埒が明かない。一旦、聖女の言うことを聞くしかなさそうだ。

 無理やり追い返しても解決にはならないだろう。むしろもっと面倒なことになりそうだ。めちゃくちゃ強い勇者が派遣されるてくるとか。

 今は思いつかないが、そのうち彼女にどうにか帰ってもらういい方法を考えるしかない。そうしないとこの身が持たなそうだ。


「とりあえずみんなを安心させますね」 

 そう言って、聖女は首から下げた紐を外し、その先についた青色の石のようなものを俺の方に(かか)げて見せた。

「見えますか? これは私の安否確認用の石です。これは私の魔力でコーティングをしているのでとても硬いのですが、もし私が死ぬと魔力が消えて灰色になります。とはいえ」

 聖女は石に息をふっと吹きかけると、青色の石は、色あせて灰色の石になった。

「こんなふうに、私が死ななくても、石の表面から魔力を奪うこともできます。私の魔力ですから」

「ほう」

「そして」と聖女が言って、その石を足下に落とすと、ぱりんと音がして砕けたのだった。

「こうすると私が死んだことになります。これで村の人たちは安心です」

「聖女は死んだ。つまり俺が死んだことになったから」

「そうです。邪竜は死にました。きっと今日は宴が開かれるでしょうね」

 聖女は笑顔でそんなことをいうのだ。


「俺は死んだ……ならば今後、俺がもし外で姿を見られたら、まずいよな」

「そうです。だから邪竜さんはこれからずっとこの洞窟の中で過ごすんです」

「でもまあ、ちょっとぐらい出てもいいんじゃないか。夜とかなら」

「だめですよー。外の用事は全部私がやるので、出てはだめです。外は危ないです」

「そんなあ」

 てか何で俺は聖女の言うことを聞いているのだろう。いつの間にか聖女にペースを握られている。俺は邪竜なのに。


「邪竜さまはなんというお名前なのでしょう」

「名前。俺の名前は……」

 自分の記憶を辿ると、一つの名前が頭の中に響いてきた。

「ハルモニア」

「ハルモニアというのですか。美しい名ですね」

 そう俺はかつて美しい竜だった。今となっては見る影もないが。

「私のことはエリーゼとお呼びください。私はもはや聖女とはいえません。あなたのせいで」


 それからエリーゼとの洞窟二人ぐらしが始まった。

 洞窟内を掘ってエリーゼ用に部屋を一つ作ってやった。今、彼女はその部屋で寝泊まりをしている。

 最初、俺の食料をどうするかが問題になった。これまでは人間の手には余る生物を俺自ら狩って、食料としてきた。それをエリーゼが仕留めてこられるはずはない。

 しかしすぐに解決策は見つかった。

 エリーゼがおとりになって獲物を洞窟につれて来るのだ。

 エリーゼが必死で走って洞窟に駆け込んでくる。後ろには巨大な生き物が砂煙を上げて迫っている。

「ひぃーー。来ましたよ」

 洞窟に入ってきたところで俺が一撃の下に屠る。

「ふう。怖かった」

 といいながらも、エリーゼは涼しい顔である。肝の据わった聖女だ。

 とにかく、こうして食料は問題なくなった。


 エリーゼは洞窟の中でもいろいろと働くのだった。

 洞窟の中をいろいろ掃除したり、俺の体を何かの植物で作った布のようなもので拭いたり、なにやらよくわからない小物を作ったり、見るといつも何かの作業をしている。

 別にそういう作業は生活上必ず必要という訳ではない。とくに竜にとっては。食べて寝られればそれで十分なのだ。しかし、俺は人間であるときの感覚が強いので、掃除が行き届いているのを見ると気持ちが良くなる。


「エリーゼは本当に働き者だな。暗い洞窟ぐらしも、お陰で気持ちよく過ごせる」

「ありがとうございます」と褒められてエリーゼはとても嬉しそうだ。「私、お役に立てて嬉しいんです。村ではずっと役立たずとか無能と言われていましたから」

「そうなのか。そうは見えないが」

 俺がそう言うと、エリーゼは笑った。

「人間の世界では家事ができても評価されないんですよ。私以外の人間は、魔法が使えていろいろなことができるのです」

「ふん、人間の使う魔法などたかが知れているがな」

「聖女は自分の命と引き換えに強大な敵を滅ぼせるかわりに、それ以外の魔法を全く使えないのです。だから普段はお荷物のように扱われています。今回だって私は大喜びで送り出されたのですから。今まで食べたことのないようなご馳走を食べさせてもらえました。見送る顔もみな笑顔でしたし」

 ひどい話しだ。

「聖女というのは辛い身分なのだな」

「はい。だからここに来てから毎日が楽しいんです」

「そうなのか。それはよかった」

 なんだかエリーゼの話を聞いたら、同情してしまって、今までのように帰れ、と言いづらくなってしまった。

 いつまでもここにいていいよ。そう言いたい気持ちも山々だが、それは口に出来ない。おれは邪竜だから。


 エリーゼはここに来てよかったのかもしれないが、邪竜の俺にとってはそうではないのだ。

 彼女が同じ空間にいる生活、それは苦痛以外の何者でもない。

 人間を食べたいという暗い欲望、それが体の奥底から突き上げてきて俺はどうにかなりそうだ。

 最近、俺はたまらず自分の体を洞窟の中にある尖った岩にぶつけるようになった。そうすると、痛みで人を食べたいという欲求が和らぐのだ。便利なことに邪竜の体は傷ついても自然に修復されてすぐに元通りになる。

 そういう自傷行為をエリーゼがいない時を見計らってするようになったのが、気づかれてしまうのも時間の問題だった。

 ある日、俺が岩に体をぶつけて傷つけている最中だった。

「なんですか、この音は」

 いつもより早く帰ってきたエリーゼが血を流している俺の姿を見つけたのだった。

「何をしているんですか。そんなに血を流して、痛々しい。早く手当てしないと」

 と彼女は慌てた様子だ。

「いや、大丈夫だ」

 俺は傷がすぐに治っていくのを見せたのだった。

「ほらね」

「ほらね、じゃないです。一体何をしているんですか?」

 俺は誤魔化し方も思いつかなかったので、正直話すことにした。


「そうだったのですか。私がいるとハルモニアは苦しいのですね。では今も」

「ああ」

「ならば私を食べてください。そうすればその苦しみからは解放されますよ」

 そういってエリーゼは胸を張って、どうぞというように一歩前に踏み出した。

 聖女を食べたら解放されるどころか、そのまま天に召されてしまう。

「だから食べないって」

「まったく強情なんだから」

 本当は帰れと言いたかったが、この前彼女の身の上話を聞いてから、それを言い辛くなってしまった。


「私がここからいなくなればすべては解決なんですよね」

 エリーゼも自分が邪竜と相いれない存在であることを理解したようだ。しかし、

「いや、俺のことを舐めるなよ。小娘一人くらい居てもどうってことないわ。うるさい蚊が飛んでいるくらいの煩わしさよ」

 と俺は言ってやった。

 実際、常に、食事をしてもしても何かが足りないと感じる奇妙な空腹に耐えればなんとかなる。邪竜というのは丈夫な生き物なのだ。そんなことで壊れてしまうような心身ではない。

「ありがとうございます。ハルモニア。正直なところ私はここを出ていったらうまく生きていける自信がないんです」と珍しくエリーゼは暗い表情でいった。

 そんな馬鹿な。育った村は無理にしろ。この広い世界、いくらでも生き方はあるだろう、と思うが、この世界のことを俺はよく知らない。もしかしたら、魔法の使えない彼女のようなものにとって、とてつもなく生き辛い世界なのかも知れない。

「もし苦しくなったら遠慮なく私をいただいちゃって下さい」

「だから、俺は死んでもお前を食べないからな」

「なんでですか!」


 俺が見たエリーゼの暗い表情はその一度きりだった。

 むしろ明るすぎて困るくらいだ。

 最近は自分の部屋に家具やら何やらを運び込んでいるようだ。

 時々、フードを被ってどこかに出かけるのを見かける。こっそり人間の街に買い物にでもいっているのだろう。

 自由なやつだ。

 鼻歌をうたいながらごろごろしているのをみたりすると、腹が立ってくる。

 俺はエリーゼの姿を見るたびに、人間の血肉を求める衝動に襲われ、それに耐えるのに必死なのに。

 しかもエリーゼは俺が腹を立ててるとすぐそれを察して、

「食べますか?」

 と自分のことを指さして聞いてくる。

 腹が立ちすぎて本当に食べてやろうかと思うこともある。

 エリーゼはわざと俺の腹を立つようなことをして、手を出せようとしているのでは、と思うくらいだ。

「エリーゼは楽しそうだな」と嫌味っぽく言ってしまったこともあった。すると、

「はい、楽しいですよ。いつまでも続けばいいですけど……」と言ってから、俺のほうをじっと見る。

「ハルモニアは苦しいんですよね。私だけすみません。いつかきっとどうにかしてあげます」

「ああ、たのむ」と彼女にどうにかできるはずはないと思いながらそう答える。

 するとエリーゼはその言葉にほほ笑むのだ。その笑顔は、白い大輪の花が開いたよう、まさに聖女というのにふさわしいものだった。その笑顔を見ると俺は、もう少し一緒でもいいかなと思ってしまう。


   ***


 一人の商人が森の中を歩いていた。

 最近、聖女が一体の魔物を滅したという。噂には邪竜であるとか。付近に住む村人達は怯えて、それが住み処にしていたという岩山には、決して近づかないという。

 臆病な奴らだ。

 お陰で俺にとってはチャンスなのだが。

 なにか貴重なアイテムや素材が落ちているかもしれない。

 森の中には強力なモンスターが跋扈(ばっこ)しているという。しかし商人の俺には様々便利な道具があって、そんな森のなかでも安全に歩くことができる。


 ほら見えてきたあの岩山だ。


 最近は災難が続いていた。

 商品を積んだ舟が沈んで損失が出たり、一番の得意先である貴族が犯罪に加担していたとかで捕まったりだとか。

 あくどいことをした報いが返ってきているんだよ、と仲間に冗談で言われたりするけど、あくどくて何が悪いのだろう。商人ならば儲けたものの勝ちだ。多少汚いことやリスクのあることをやっても、稼げるとき稼ぐべきなのだ。

 他の人が怖がって手を出さないところに、(あえ)て行くと儲けをを独り占めたりする。

 今回みたいに。


 商人が岩山の巨大な入り口に足を踏み入れると、その奥が思ったよりも深くて驚いたのだった。

 しかし、その奥にいたものを目にした時は心臓が止まるかと思うほどだった。


 そこには巨大な竜が生きて座っていた。

 竜といっても、それは赤黒い肌をした禍々しい風体(ふうてい)の邪竜だった。底のない貪欲さで、人間を好んで喰らうと恐れられている、あの邪竜だ。

 一瞬、自分の命運が尽きるのを覚悟した。邪竜が本気になったら、人間は適うわけはないし、逃げることだって絶望的だ。

 聖女の力で死んだんじゃなかったのか。また別の邪竜がやってきたのか? やっぱりまた災難だ、と思いかけたそのときだった。邪竜の傍らに一人の少女がいるのを目にした。それを見て商人はすぐに冷静になったのだった。

 そういうことか。これならチャンスあるかもしれない。


 邪竜は、商人がやってくるのにもちろん気づいていた。

 そして目の前に現れたところで声を掛けたのだった。

「何者だ」

 洞窟内全体が震えるような、聞く者を畏怖させる低い声だ。商人は気圧されて一歩後ろに下がった。邪竜ハルモニアはそれを見て内心、満足した。よかった。ちゃんと俺は邪竜だ。こういう反応が正しいのだ。聖女、やっぱりあいつはおかしい。

「怪しい者ではございません」

「笑わせるな。怪しい者はみなそう言う」

「いえいえ。この荷物をご覧になればわかる通り。(わたくし)はごく平凡な商人でございます」

 と商人は背負った荷を見せて言った、

「ほう。商人か。ところで俺が何かわかっているんだろうな」

「はい。お名前までは存じませんが、かつてはさる高名な竜、その邪悪なる力を得た姿、邪竜様とお見受けします」

「その通りだ。ならわかっているだろう。俺の気分次第でお前の命など、ひとたまりもないこと」

「おっしゃる通りです」

 そうして、商人は膝をついて、「なんでも言うことを聞きますから私の命だけはお助けいただけないでしょうか」とお願いをした。

 邪竜は商人の懇願する姿を見て大いに満足した。

「そうか。よかったな。今の俺は機嫌がいい。今なら見逃してやろう。さあ早く立ち去れ」

 邪竜が内心で、よし決まった。これで商人を追い払うことに成功した。威厳のある邪竜だろう。うんうん。と思ったときだった。商人が、

「お待ちください」

 と言ったのだった。


 こいつもか。また立ち去れといても立ち去ってくれない。人間は厄介なやつばっかりだ。

「その、なにかお困りのことはございませんか」と商人が言う。

「商人とは強欲で不遜な人種よな。邪竜をも客と考え、商品を売りつけようとするか。だが生憎、人間向けの卑俗な商品など俺は興味がない」

 商人は聖女の方をちらっとみたのだった。そしてにやりと笑った。

「そうでしょうか。たとえば飽かぬ食欲に苦しんでいたりは」

「なに?」

 商人は邪竜の顔色が明らかに見て取った。

 やっぱりこれは当たりだな。こんなところに聖女と二人、邪竜の本能を考えれば平気なはずはない。

「私、とっておきの商品を持っているのです。少しお待ちください」

 商人はそういって、背負った鞄を下ろし、その奥の方から大切そうに柔らかい布でくるんだ何かを取り出した。そして布を開けると、中に種のようなものの入った瓶が出てきたのだった。

「これは大変貴重な品。売り物として普段お出しすることはありません。諸国の王家の方にお見せすると、ため息をついて、いくらでも出すから売ってくれとおっしゃいますが、それでもお売りしません。それだけ貴重な品。そして貴重なだけでなく効果も素晴らしいものです。それというのも、これを口にすればその身を冒すあらゆる呪いを綺麗さっぱり解いてしまうのです」

「ほう、呪いを」

「そうなのです。たとえば邪竜とはいわば呪われた竜。この種なら、きっとその高貴な御身を蝕む邪悪な欲望を消し去ることもできます」

「そうなのか。確かなんだな? それは」

「もちろん邪竜様が口にされたという記録はございませんが、この種の持つ強力な力は、高名な魔術師によって保証されております」

 邪竜にとってそれは、今まさに欲しくてたまらない効果を持つものだった。しかし、

「興味深いものであることはわかった。しかしなぜそのような王族にしか見せない貴重な品をここで簡単に出したのだ」

「それはあなた様が、あらゆる人間の王、そのどなたよりも遥かに高い位にいらっしゃる御方とお見受けしましたから」

「なるほど。お前の公正な考えをもっているようだ。だがしかし、俺は人間の使う通貨などもっていないぞ。他に貴金属の類いも持ち合わせてはいない」

「問題ございません。対価は頂かずともお譲りします」

「どういうことだ。貴重なものなのだろう。それではお前にとって割が合わないのではないか」

「そんなことはございません。ただ代金の代わりとして、その呪いが解けましたら、恐れながら私を友人の一人としていただきたいのです。私ども人間にとって竜の知遇を得ることなど、どれだけの秘宝を費やしても叶うものではありませんから、むしろ安いものです」

「なるほど、道理だ」

「ではこれを」

 そう言って商人はうやうやしい態度で、種の入った瓶を目の前の地面にそっと置いた。

「エリーゼ」とハルモニアは傍らに立っていた聖女に声をかけた。「それをとってくれ」

 しかしエリーゼは不安そうな表情をしていた。

「本当に大丈夫なのでしょうか。そんなに都合の良い話があるなんて信じられなくて」

「案ずるな。たとえそれが偽物だったとして俺に何かあるわけはない。人間の基準で俺を測るな。それにいまのところ他に方法はないだろう。試してみる価値はある」

 エリーゼは少しの間考えていた。

「そうですね。これで苦しみが消えるのなら、それは素晴らしいことです」

 そう言って、エリーゼは瓶を手に取ったのだった。


 商人は内心ほくそ笑んでいて、表情が顔に出ないようにするので大変だった。

 やっぱり他人を見下している奴ほど、商売の楽な相手はいない。

 その種はもちろん呪いを解く効果なんてない。むしろ逆の効果を持ったアイテムだ。どんな生き物もそれを口にしたら必ず息絶えるという効果の代物だ。

 秘宝と言うほどではないが、貴重な商品だというのは事実だ。自分のの数ヶ月分の収入を投じてやっと買えるぐらいの高額アイテムである。だが、邪竜の死体を解体すれば、それがかすむほど高価な素材の山になるだろう。特にあの美しい翡翠色の瞳はとてつもない値段がつくはずだ。それを俺一人で独占できると考えると、よだれが出てくる。

 このアイテムは確実な効果を持つが、知能のある強い魔物相手には通常使えないものだ。この種を食べさせるという状況を作ることが不可能なのだ。その前に普通は殺される。

 それをこんな口車に乗って簡単に食べさせることができるなんて、最高についてる。


 エリーゼは瓶の蓋をあけて、小さな種をとり出した。

 そして、それを手のひらに乗せ、巨大な邪竜の前に差し出した。

 ハルモニアは首を下げ、エリーゼの前に口を大きく開く。

 エリーゼは手をその口の中に入れ、下を向けると種はハルモニアの口の中に落ちたのだった。

 エリーゼは胸に手をあて、祈りの言葉を呟いた。

 ハルモニアは首を上げ、何の疑問もなくその種を飲みこんだ。かすかに苦かったかもしれない。

 ほどなくハルモニアの巨体は崩れた。普段の威勢は影もなく、呆気(あっけ)なくその場に倒れたのだった。


「ハルモニア」と叫ぶエリーゼの声はもう届かない。

 巨大な邪竜の瞼は閉じられ、寝息一つ立てず、完全な静寂の中に、巨大な黒々とした体が山のように横たわっている。

 エリーゼは、そこにもはや命がないことを見て取った。

「効果が出るまでには少し時間がかかりますので、私は一旦おいとましますね」

 商人がそんな白々しい言葉を残して立ち去ったことに気づかないほど、エリーゼは取り乱していた。


   ***


 エリーゼは昼も夜も分からずに泣いた。

 その硬い岩のようなハルモニアの体に(すが’)り付いて、涙を止めどなく流した。それは、ごつごつした黒い岩のような邪竜の皮膚のうえを銀色の筋となって流れ、洞窟の地面にぽつぽつ落ちると、跡形もなく乾いてしまう。しかし、その筋は諦めきれないように絶えることがなかった。

 ひどいよ。

 女一人、商人一人、殺せない優しい邪竜を騙して、その命を奪うなんて。


 ハルモニア。

 私を置いてくなんて。せめて死ぬのなら、私を殺して一緒に死んでほしかった。それが聖女の役目だったのに。

 それすらできない役立たず一人取り残されて、私はどうすればいいの?

 生きている意味もないし、私もあなたと同じ場所に行きたい。でも今は、もう少し、この悲しさが尽きるまでここにいさせて。

 エリーゼはハルモニアの硬い生気のない皮膚を手で(さす)りながらひたすら泣いたのだった。


 三日三晩が経っても、エリーゼの悲しみは尽きる気配がない。

 いつの間にか流す涙もなくなっていたが、彼女がそこを離れる気にならなかった。

 気づくと黒かった邪竜の体の色も変わってきている。

 ハルモニア、可哀想に。あの立派な黒い色は薄れて、あの禍々しい赤色の懐かしい模様も消えてしまった。

 これは灰色? いいえ銀色みたいに見える。銀色?

 エリーゼがしがみついてる岩山のような邪竜の死体は、今や全体が銀色に変わってしまっていた。死体の色にしては変な色だ。


 そのとき、三日間まったくの無音に沈んでいた巨大な竜の体がかすかに震えた気がした。

 そして瞼が開けられたのだった。

 翡翠色の瞳が、エリーゼを見た。

「おはよう?」

「え?」

 ハルモニアは、自分の体にしがみついているエリーゼを見て、不思議そうな顔をした。

「エリーゼ? 何をしているの?」

「何って。あなた死んだんじゃないの」

 考えてみれば間抜けな質問だったが、エリーゼは目を丸くしたまま、そうとしか聞けなかった。

「いや、眠っていただけだけど」

「いやいや、だって寝息だってなくて。いつもならあんなに大きい音を立てているのに」

「え。俺のいびきそんなにうるさかった? ごめん」

「全然うるさくないよ。教会のオルガン演奏みたいに心地いい音。あれを聞きながらだと、よく眠れるの」

「そうなんだ。それならいいけど」


 エリーゼはまるで夢の中にいるみたいな気持ちだった。

 しかし、自分が話している相手がたしかに現実のハルモニアであることが次第にわかってきた。完全にそれがわかると、もう一度、ハルモニアにしっかり抱きついたのだった。

「よかった。生きてたんだね」

「うーん。よく眠った。まるで生き返ったような気分だよ」

「うんうん」

「そんなに近くにいられると困る。俺はなんだかお腹が空いてるんだ。いつにも増して人間を食べたい衝動が強く……」

「お腹空いてるんだったら、私を食べてもいいよ」といつも通りのことをエリーゼが言った。彼女はそれをまた言えることが嬉しくてたまらなくて、溢れるばかりの笑みだった。

「いや、食べたくない。どうしたんだろう。あんなに激しかった全身を突き上げるような欲求がさっぱり消えている」

「本当に?」

「うん。嘘みたいに爽やかな気分だ」

「ねえ、ハルモニア。あなたの体も、全然違う色になっているんだよ。見て、銀色の水でもくぐったように全身が銀に輝いてる」

 ハルモニアが自分の体を見回すと、たしかに、かつてあった禍々しい色や模様が消えて、ただ美しい銀色になった手足がそこにあった。

「きっと邪竜じゃなくなったんだね。元通りの竜に戻ったんだ」

 ハルモニアも、エリーゼが言った通りだとしか思えなかった。

「もしかしたらあの商人のくれた種は本当に効果があったのかな。それなら私ひどい勘違いをしていたのかも。あやまらないと」


 そのとき洞窟の外から人の声が聞こえてきた。商人たちが戻ってきたのだ。

「お前ら他のやつには言ってないだろうな。これ以上は関わる人を増やしたくない。俺たちだけで山分けだ」と言うのは、あの商人の声だ。

「わかっていますよ」と一緒にいるらしい他の男の声もする。

「お前たちは、腕のいい解体師だと聞いたから連れてきたんだ。しっかり働いてくれよ」

「ああ、任せておけ」と年配らしい声。

「お前はわかっているだろうな。近くに女がいたら縄で縛って抑えておくんだ」

「はい」とこちらは若い声。

「役立たずの聖女とはいえ、見た目はどこぞのお姫さまと言っても通用する容姿だ。貴族にも高く売れるに違いない。ひひひ」

 その下品な笑いまで、ハルモニアとエリーゼの耳にはよく聞こえた。

「よし手早くやるぞ。邪竜の死体はこっちだ」

 商人達が洞窟の奥にたどり着いてみると、彼らにとっては悪夢のような光景が広がっていた。

「こ、これはご機嫌麗しゅう。あ、聖女様も」


 そこには眼光鋭い銀色の竜と聖女が待ちかまえていた。

「なぜ生きて……いや、私の差し上げたあの品がよく効いたようで。前にもまして神々しいお姿」 

 しかし、商人たちの会話をしっかり聞いていた竜と聖女は、その言葉には騙されない。

「黙れ」

 竜が言うと、そこは静まり返った。

 商人達の前に立つハルモニアは、巨大な聖堂のように、威風堂々として美しかった。商人の仲間たちは、その場に座り込み、手を合わせて祈るものまでいる。

「さて、とんでもないものをくれたものだな。商人」

 商人は何か言葉を発しようとしたが、声を出せなかった。

「でも感謝もしなければな。お陰でこのように元の姿を取り戻せたのだから。感謝の印として、何を与えたらいいだろうな」

 商人たちは必死で頭を下げた。

「お前たちが俺たちに向けた悪意を許してやろう。お前たちは脆弱な存在。俺にとっては取るに足らない存在だからな」

 商人たちはその言葉にあたまを一生懸命縦に振って頷いた。

「見逃してやろう。その代わりこの場所の話を決して誰にもするな。そしてここに二度と近づくな」

 商人たちは、その言葉にも頭をぶんぶんと縦に振る。

「わかったら行け」

 商人たちは一目散にその場から走って逃げて行ったのだった。


 竜の言葉には強制力がある。

 これで商人たちが、ハルモニアたちが住む場所のことを話すことは決してできない。

 あるとしても、どこかで聖女と銀色の竜が一緒に暮らしているという噂話が聞こえるくらいのものだ。それを信じるものは誰もいないだろうが。


 今や、聖女と竜。二人は自由になった。


「そうだ。ハルモニア。その名前に聞き覚えがあったんだけど思い出した」とエリーゼが言った。

「俺の名前?」

「そう。おとぎ話にでてくる竜の名前がハルモニアだった。私はその一節が好きだったんだ」

 そう言って、エリーゼはある詩のような一節を口にした。

 

  ハルモニア、その麗しき竜のうたう歌は天空に満ちて

  星々を輝かす

 

「続きもあると思うんだけど、私が覚えているのはこの部分」

 その時、エリーゼが突然、力の抜けたようにその場に座り込んでしまった。

「忘れてたけど、私ずっと何も食べていないんだった。体に全然力が入らないよ」

 そう言ってエリーゼは笑ったが、よく見ると彼女はやせ細って、衰弱しているようだった。

「人間とは脆弱なものだな」とハルモニアはいつもの調子でつぶやく。

「そうなんだよ。私はか弱い。なんだか意識が遠のいていきそう」

 エリーゼはふらふらだ。

「丁度いい。俺の力を分けてやろう」

「お願いしまーす」とエリーゼはぼーとした表情で、気楽な返事をする。


「エリーゼ、ハルモニアの名において、汝を祝福する」

 ハルモニアがそう唱えると、エリーゼの体が銀色の輝きに包まれた。

「おお。すごい元気になった」

 エリーゼは立ち上がり、その場で、飛び跳ねたのだった。

「お腹は空いているのに、体が軽くて力が湧いてくる」

「それはそうだ。竜の力を得たのだから。空腹ぐらいで死にはしない」

「竜の力?」

「エリーゼはもう俺と同じ力をもっている。いろんな魔法を使えるし、傷ができてもすぐに直る。空だって自由に飛べる」

「そうなんだ。それは便利だね」

 エリーゼは「少し動いてくる」と言って、洞窟の外の方に走って行った。

 そしてそっちから呼びかける声が聞こえてきた。

「ハルモニア、ちょっと来て」

 ハルモニアが呼ばれた方に言って見ると、エリーゼが空を指さしていた。

「ねえ、見て。よく晴れて夜空に星がたくさん」

「本当だ」

 すると、不思議とハルモニアの奥底から歌をうたいたいという思いが湧いてきた。ハルモニアは自然と湧いてくる気持ちのまま、歌をうたったのだった。

 その歌があたりに響いて、夜空まで届いたのか、星々が一層輝かしくなった。


 ハルモニアがうたい終わると、エリーゼに、

「俺たちは自由なんだ。今ならどこだって好きな場所に飛んで行ける」と言った。

「そうだね」とエリーゼは頷く。「ハルモニアはどこか行きたいところあるの?」

 ハルモニアはその言葉にしばし沈黙して、考えていたが、

「ないな。俺はどこにも行きたくない。今まで通りこの洞窟でいい」

 それを聞いてエリーゼは笑った。

「せっかく自由になったのに……でも私も同じことを考えてたよ。ここは居心地がいい。必要なものもすべてある」

 二人は顔を見合わせて、笑顔で頷いた。

「うん、まだしばらくここで引き篭もっていよう」

「それがいいね」

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[一言] 読んでなんか泣きそうになった ふたりの家族のような友人のような関係がずっと続きますように…
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