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彼女は買い物の帰り道

作者: こばゆう

「ごはん」というお題をもらい、書きました。

「あ、たまご買うの忘れてたなあ」


アパート近くの踏み切りまで帰ってきたころ、

夕陽の中でわたしは呟いた。


もういちど戻ってスーパーに立ち寄ってもいいけど。

いいや、今日はあまりもので適当なごはんを作っちゃおう。

晩ごはんに何を作るかも決めてなかったし、どうせ自分で食べるだけだし。



ーーーーーーーーー


2ヶ月前、三年間のあいだ同棲していた彼は、突然部屋を出た。

彼の勤める職場で、新しく彼女が出来たらしい。


あまりにあっけない別れに、当初は怒りを感じる余裕もなかったが、その後ひとりになった部屋で暮らすうちに、じんわりとした寂しさが私を襲っていた。


ーーーーーーーーーー



そういえば、彼は目玉焼きにソースをかけて食べる人だった。醤油派の私には一切理解できなかったけど。おかしいよね。ソースって。

朝に強いわたしは毎朝、寝覚めの悪い彼に目玉焼きとウインナーを焼いて、わたしのお箸と醤油、彼のお箸とソースを用意してあげていた。


ひさしぶりに目玉焼きが食べたいな、とふと私は思った。彼と別れてから、わたしも大した朝食を食べなくなってしまっていた。

もうふたつ焼く必要はないんだけど、目玉焼きひとつにフライパンを使うのもなあ。ちょっと欲張ってふたつ食べちゃおうかな。

ひとつは、いつも通り醤油をかけて。もうひとつには、ソースをかけてみてもいいかもしれない。


やっぱり、たまごを買いに戻ろう。

ソースをかけた目玉焼き。きっと全然おいしくないんだ。

でも、もう笑って食べられる気がするから。

やっぱり美味しくないねって、笑ってやるんだ。

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