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am444

作者: 愛煙家

深夜4時


外は凍える春風。


部屋には温風


耳にはノイズ




あたしで一人


あたしは一人



朝が来ることが恨めしい



怠惰な杞憂



手帳のプリクラ。

昔の男


これも昔の男


それも昔の男


これは昔の私


これは昔の私たち。



世界がとまっているような錯覚


実際は私が動かないだけ。


私のお気に入り


それはいつかのあいつのお気に入り



私はここにはいない



心個々に在らず

心此処に在らず。




ストーブが奏でるシグナル

エンプティーサインの電子音


灯油は一階


私の居場所は2階


心は樹海



開花は遠く


階下も遠い梅の花。



焦げた匂いと

二酸化炭素


窒素に変われば

あの世行き。


命の瀬戸際まだ遠く


私の招待まだ遠く


差出人は非通知で



春の正体


倦怠感。



いつの間にか音楽が鳴り止んで


私は 此処で 無音の帳


カーテンは揺れ動けども


私は変わらず不動に呆け尽くす。




夜明けまであと何時間?


孤独なひと時 余命宣告


朝日を浴びるバンパイア

灰に帰れず 意気消沈



私の居場所は樹海だけ。


ベッドも冷え切りステンレス


凍る葉 町の火


私は何処に?

恨みは此処に。


私は何処に?

妬みは此処に。


個性は何処に?

普遍は個々に。


夢は何処に?


そんなもの夢ですよ。




あくる朝日は

まだ遠い。


午後5時まだ日は冷戦下。





鳴り止まないノイズと時計の針。


病身が私を削っていく。


怠惰で無益な高揚感。


ハイになれずに落ちもなし。



日の目が恋しい


破壊と愛玩の願望は

紙一重で


私もどれだか分からない。


冷え切った床


冷え切った髪


冷え切った春


静まり返ったヘッドフォン


静まり返った時計


静まり返った私。




朝日


此処にあるのは

私だけ、


私も泣ければ何もない。


涙も

心も

薬も

意味も

世界も

温度も

音楽も

言葉も

過去も

未来も


冷え切っている



冷えてるけれど凍りもしない



時折


滴が私を蝕む



涙が私を蝕む。



頬も凍りつく




灯油入れに行かなくちゃ



明日も夜は冷えるらしい。









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