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第93話 集結!東京の集い始める戦士達!

 

 alter frontierからログアウトし、alterLINKを外した悠斗。カーテン越しでも分かるが、外はもう真っ暗となっており、悠と身体が痛む中、すぐ様将吾から連絡が入った。


「どうした?」

『なぁ悠斗、今から会えるか。身体とか痛むなら電話のままで大丈夫だけど』

「全然大丈夫だ。少し痛みがするが」

『来れるなら、近くに来てくれるか。無理はしなくていいぞ』

「行けるよ、今行く」


 そう言って電話を切り、多少足取りが悪い中ですぐさま公園へと向かった。仮面の男と戦った時と同じで、身体の痛みがリアルでも発生しており、頭痛がズキズキと痛んでいた。


「痛ぇ……」


 目眩もして、視界が歪んでいるも悠斗は公園へと向かった。

 公園へと到着すると、ブランコの前に将呉が待っていた。


「お、悠斗来たか……って大丈夫か!?」


 フラフラで何かに掴まっていないと倒れてしまいそうな様子の悠斗。そんな明らかに大丈夫そうでない悠斗を見て、将呉は大慌てで駆け寄り、悠斗の肩を支えた。


「お前、無理するなって言ったじゃんか!」

「いやいや、こんなくらい……うっ」

「あぁもう、少し我慢しろよ。今ベンチまで連れてってやる」

「すまない……」


 ベンチまで連れて行き、ゆっくりと座られた。悠斗の息は荒くなり、すぐさま将呉は自販機まで走ってジュースを買ってきた。


「これでも飲んで体力を回復しろ!」

「サンキュー……」


 大好物のココアを勢いよく飲み、体力は無事に回復したのであった。


「凄え飲みっぷりだな。風呂上りの牛乳みたいだな」

「ふぅ、何とか体力回復したよ……」

「そりゃあ良かった。なら、本題に入って良いか?」


「アルちゃんあんな事言って大丈夫なのか?」



 黙り込む二人だが、将呉は神妙な面持ちで口を開いた。


「そういえば、もう一つの本題だが……」

「あぁ……」


 二人は息を呑んだ。その本題とは──


「みんなをどっちの家に泊める」

「うーん。そもそも親の承諾取れるかすら分からんからな……全員が俺らと近い歳なら大丈夫だが、もし中年とかだったら──」


 二人は想像した。親にホームステイとか言って家に上がらせたのが、中年男性だったら賭博場とでも間違われるのではないかと──

 想像して不安になる将呉だが、悠斗は違った。


「年上だろうと年下だろうと、俺らが信用して呼んだ奴だ。どんな奴でも歓迎しようぜ。そんな格差があると真の信頼は得られないからな」

「まっ、それもそうだな。2日後を楽しみにするしかないよな。今の俺達に出来る事は……」

「あぁ。でも、どっちの家に泊めるかはこれで決めるぞ」


 そう言って悠斗はニヤリと不敵に笑い、将呉に向けて拳を突きつけた。

 それを見て将呉も同じくニヤリと笑い、悠斗が何を示しているかを理解して拳を突きつけた。


「なるほど、そう言う事か」

「ふん、行くぞ」


 二人は距離を離して、拳を更に強く握りしめた。

 そして声を合わせて、声高らかに叫んだ。


「「最初はグー!!ジャンケン──!!」」


 *


 その頃、オーガスターとアモレこと柳星と芽威もログアウトしてalter Linkを外した。二人は同じ部屋にいて、すぐさまお互いの顔を見合い、芽威が柳星を指して真っ先に言う。


「柳星、行くって言ってもお金あるの?」

「言っただろ。お年玉を全部使うって!」


 そう言って柳星は机の引き出しを開けて、ガサツに調べた。


「あれ?あら?はら?ねぇぞ?」


 出てくるのは小銭ばかりで、札束なんて一枚も見当たらなかった。

 そんな慌てふためく柳星に、芽威が釘を刺すように言った。


「ねぇぞって……あんた、覚えてないの?春祭りの射的の屋台でお年玉ほとんど使ったじゃない。そこに転がっているゴミみたいなのが、あんたがゲットした景品でしょ」

「うっ……」


 汚らしい部屋の隅に山のように積まれているのは、ボタンを押すと変な音が出るおもちゃや電池を入れると光る変な剣のおもちゃなど、名もなきおもちゃ達が転がっていた。柳星もそれを見て、ようやく思い出した。ほとんどのお年玉を使い、ゲームを狙ったが何も取れず残念賞でその謎のおもちゃを大量に手に入れた事を──


「う……それは」、

「それで、どうやって行くの?お金もないのに」


 芽威の呆れた表情だが、柳星は逆に自信満々な表情で迎え撃った。


「俺らには足がある。その意味が分かるか?」

「ま、まさか……」


 柳星は自分の足を叩き、窓を開けて車庫に指を指して、とある事を示した。それを瞬時に理解した芽威は呆気に取られた。


「嘘でしょ?自転車で?どんだけ時間掛かると思ってるの?一日以上掛かるわよ!」

「だから、今から行くんだろ!さっさと用意してこい!」


 東京から離れた町に住む二人にとってはかなりの旅になり、下手をすれば何日も掛かる旅になる。

 自転車で行こうとする柳星に反論する芽威。


「用意って、そもそも明日の終業式は?」

「んなもん、欠席じゃ!!終業式より世界を救う方が大事だ!!何か言われたら、病院に行ってたって言えばいいんだよ!!」

「柳星、一つ聞いて良い?あんた、何でそんなに乗り気なの?」


 芽威の質問に柳星は澄ました顔で答えた。


「シーカーに会いたいからさ」

「喧嘩でもする気なの?」

「いや、どんな奴かこの目で見てみたいんだ。あんな強い奴が表の世界ではどんな奴か確かめる。ゲームじゃ見れない、本当の奴を見てみたいだけだよ」

「ふ〜ん。あんたでもそんなセリフ言えるんだ」


 芽威にニヤリとした顔で言われ、恥ずかしくなり赤く染めた顔を背ける柳星。


「さ、さぁ。早く行こうぜ芽威、世界を救う旅を」

「はいはい、行こうね。旅に」

「さっさと準備して来いよ!着替えやタオルや歯磨きも〜!!」

「急かさないの、レディなんだから」


 芽威は柳星の本音を掛けて嬉しかったのか、ルンルン気分で家へと走って行った。

 そしてこの日の夜に、二人は制服のまま町から出て、自転車で新東京まで出発したのであった。


 *


 ジャンケンをしてどっちかの家に泊める事にした二人。決着も付き、将呉が付き添い自宅まで帰った悠斗。将呉は嫌な顔一つせず、楽しく喋りながら歩いた。


「じゃあな悠斗。明日の学校で」

「うん、送ってくれてありがとな。また明日」


 悠斗は家の中に入って行った。悠斗が家に入るまで将呉は最後まで見守っていた。

 ドアが閉まるのを確認すると、将呉は一人空を眺めながら家へと帰って行く。


「夏の夜って結構涼しいもんだなぁ〜」


 そして悠斗は部屋に戻り、ベッドへと崩れるように倒れた。

 "明日、前乗りで貴方の家に行っても大丈夫?"と連絡が入っていた。


「え?」

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