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第89話 復活の骸帝

 

「はぁ……はぁ」


 シーカーの全力の拳は繭に直撃した。感触は上々であり、手応えはあった。煙が去り、シーカー自身が繭を直視した。


「!?」


 その光景にシーカーは言葉を失い、拳を引いた。

 繭にはヒビは入ったものの、繭は壊れる事は無かった。


「ちっ!何て硬さだ」

「無駄よ無駄〜!そういうことって無駄な抵抗って言うのよ」

「無駄な抵抗にはさせん!」


 凰姫が馬鹿にする口調で挑発する。だが、シーカーは諦めずに再び拳を振り上げて繭へと殴り掛かろうとした

 その時──突如繭のヒビ割れた場所から眩い光がフィールド全体に輝き始めた。その眩しさに全員が眼を瞑った。


「なっ!?」

「シーカー!その場から離れろ!!」


 危険を察したメリクリが、シーカーに呼びかけた。そのメリクリの言葉を受け入れてシーカーは、咄嗟にその場から飛び離れた。

 メリクリはその光から感じ取ったのは、感じた事もないパワーを肌に直接ぶつけられたのだ。

 そして、その光を見て凰姫は上品に口に手を当てて笑っていた。悦に浸り、身体が嬉しさでゾクゾクと震え上がっていた。


「とうとうこの時が来たのね!身体中がゾクゾクしちゃうぅ」


 繭のヒビは更に広がり、繭の中に溜まったエネルギーが一気に放出されて、轟音にも等しい地響きが鳴り、同時に繭から衝撃波が放たれた。

 全員が吹き飛ばされそうになるも、その場に踏ん張り耐えた。オーガスターも剣を地面に刺して、耐えて繭をジッと見つめていた。


「とうとう現れるのか……骸帝って奴が」


 衝撃波が落ち着き、光も消え去った。そして繭の場所は誰かが立っていた。


「……骸帝なのか、あれは」


 全身毛がなく、ツルツルと輝く裸の男が目を瞑って直立不動で立っていた。全身が鉄のような硬く膨れ上がった筋肉に覆われ、異質な雰囲気が漂っていた。

 その姿に、全員が骸帝だと一瞬で理解した。だが、誰も動く事はせずに骸帝の様子を伺った。

 骸帝は眼を瞑ったまま周囲に顔を動かして、なにかを感じ取っていた。そして静かに口を開いた。


「お、凰姫は何処だ……」


 骸帝の感情がこもってない声に、凰姫は嬉しそうに飛び跳ねながら、骸帝の元へと近づいた。


「が〜いて〜い様〜!!」

「我の名は骸帝なのか」

「はいは〜い!貴方が由緒正しき、この世の治る骸帝様ですよ〜」


 凰姫は手のひらに一つのチップを出現させた。


「ん?」

「これは私が集めたこの世界のあらゆる戦闘データです。このデータを読み込めば、貴方様は最高の状態で戦闘が行えますわ」

「感謝する」


 凰姫はチップを浮かせて、骸帝の頭の中へと吸い込ませた。

 シーカー達は何が起きているか分からず、ジッと見ているだけであった。


「何をしているんだ……」


 全員が見守る中、チップを入れて十秒経つと、骸帝は再び静かに口を開いた。


「これで、この世界の情報を全て我が頭脳にロードした。いつでも準備はいいぞ」


 すると凰姫は骸帝の裸を見て、わざとらしく恥ずかしい演技をして、股間に指差して指摘した。


「でも骸帝様〜。裸じゃちょっと……」

「……なら、これなら……どうだ」


 骸帝は力を発動し、ツルツルとした髪が黒く垂れ下がるほど長い髪が生え、上半身は裸のままで、ズボンが現れた。

 そして目を開けると鋭く、見ているだけ寒気がするような威圧的な眼光で睨み付けられた。

 メリクリはその姿を見て、無意識に手が震え、身体中から汗が流れていた。


「……奴から未知数のパワーを感じる。どう考えても、今の僕達には──」

「貴方だけのようね。本能的に骸帝様に敵わないと感じているのは」


 凰姫の言う通り、メリクリだけは骸帝から放たれる異様なオーラだけで、今の自分には敵わないと感じていた。

 シーカーはその様子を見て、メリクリに恐る恐る聞いた。


「メリクリ……今は勝てないだと?」

「……そうだよ。異常な力を感じるんだよ。奴からは」

「お前がそんな事を言うなんて……それほど、奴は──」


 シーカーもその言葉を前に、攻撃を行えなくなり、手を下ろした。それに同調して、他のプレイヤーも攻撃しようとする手を下げた。

 メリクリの怯えている様子やシーカーを見て、オーガスターは無理やり身体を起こし、体力をアイテムで回復させた。そしてボロボロになって、所々欠けている火山龍の剣を取り出して、骸帝へと一目散に飛びかかった。


「くっ……誰もやらないなら、俺がやってやる!!」

「オーガスター!!」


 隣にいる凰姫は何も手を出すこともなく、骸帝を注目した。

 骸帝は、慌てる様子どころか表情すら変えることなく、手にオーガスターと同じ火山龍の剣を作り出した。


「何!?」

「……」


 火山龍の剣同士がぶつかった。オーガスターが必死に剣を押し込んでいるも、骸帝はびくともしていなかった。


「くっ……!!」

「……なんて脆い武器だ」

「!?」


 軽く骸帝が剣を押し込んだ瞬間、オーガスターの剣にヒビが入り、あっという間に剣が折れてしまった。

 骸帝が持つ火山龍の剣には傷一つなく、オーガスターの火山龍の剣よりも遥かにパワーも強度も高かったのだ。


「火山龍の剣が!?」

「折れただと!?」


 シーカーやSyoは驚いた。特にシーカーは火山龍の剣の威力を知っている為、余計にこの光景に驚きを隠せなかった。

 オーガスターも折れた剣を捨てて、すぐに体勢を整えて骸帝へと殴り掛かろうとした。


「くっそ!!」

「これが……人間の力か」


 骸帝は殴りかかってきたオーガスターの拳を指一本で食い止めた。オーガスターは押し込むも、びくともしなかった。


「くっ!なんでなんだよ!!」


 火山龍の剣を消し、もう一本の指でオーガスターの頭に触れた。その瞬間、オーガスターの身体がまるで空中から落ちたように地面に叩きつけられた。

 何か重い重力が掛かっているのか、徐々に地面に身体がめり込んで行く。


「ぐあっ!」


 オーガスターはすぐに立ち上がろうと手を挙げようとするも、重い重力が襲いかかり、手を軽く挙げる事も出来ずに更に身体が地面へとめり込んで行った。


「う、動けない……何だこれは……」


 その時、マッキーがとある事に気づいた。


「あれってまさか……スキルの一つ"重力壁(グラビティウォール)"」

「グラビティウォールだと!?」

「あのスキルは、一時的に相手に重い重力を掛けて動きを鈍くするスキル。スキルレベルを上げていても十秒が限界……それにあんだけ重い重力は存在しないはずなのに……」


 グラビティウォール──その能力は本来ならば、重力を掛けるスキル。だが、今骸帝が使っているのは本来の能力より遥かに強力になっていたのだ。


「さっきの火山龍の剣もオーガスターが持っている剣よりも遥かに強化された状態だ。まさか奴は様々な武器やスキルを変幻自在に操れると言うのか……」


 その言葉にシーカーは恐怖と共に武者震いが身体全体を襲いかかった。

 今までない未知数な力にゾクゾクとする武者震いが止まらないのであった。


「凄え奴だがな……もうやるしかないよな!炎の刻印!!」


 シーカーは再び炎の刻印を発動した。

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