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第74話 激化するバトル!炎の刻印vs風の刻印!!

 

「はぁぁぁ!!」


 先程よりも大きなオーラが身体全体から放たれているシーカーが真っ直ぐと仮面の男へと突っ込んで行った。

 仮面の男は即座に風手裏剣を両手に作りだした。そして投げようとした時、眼前からシーカーが消失し、目の前には火種が無数に飛び散った跡だけだった。


「何っ」

「ここだぁ!!!」


 何処からか聞こえてくるシーカーの声。それは真後ろからだった。

 咄嗟に振り向いた瞬間、シーカーの熱く燃え盛る拳が眼前に現れて頰に直撃した。そして拳を離すことなく、地面に身体ごと激しく叩きつけられた。叩きつけられた仮面の男はバウンドして少し宙に浮いた。


「ぐはっ!」

「まだだぁ!!!」


 更に拳を握りしめて、宙に浮いた仮面の男に向けて一気を手を開いて突き出した。


「獄炎!!!」


 手から放たれた獄炎は仮面の男を軽々と包み込み、そのまま直線上に獄炎と共に飛ばされていった。

 近くのビルに獄炎ごと突っ込み、勢いよく大爆発を起こした。ビルは粉々に破壊され、噴煙が舞う中、仮面の男は破片の上に片膝をつき、腹部を抑えている。シーカーの予想以上の攻撃力が身体全体にダメージを与えて、正直驚いていた。炎の刻印をここまで自分のものにしているシーカーが。


「ちっ……あんな技を」

「うおぉぉぉ!!」


 声の先から現れたのは、噴煙を突っ切って仮面の男の目の前に現れたシーカー。その目からは炎の如く燃え盛る闘志が見えた。その光景に、仮面の男は謎の苛立ちを感じて拳を強く握りしめた。


「はぁ!」


 拳をその場に振り下ろしたシーカー。拳が顔面に直撃した──だが、当たったはずなのに感触が一切なかった。そこにいる仮面の男を──

 その場にある異変を感じた。周りに舞う煙が自分の背後へと吸い寄せられていた。気配を察し、すぐさま背後を振り向いた。


「……!?」


 そこには風が集まって、仮面の男の姿が形成されていた。すぐに迎撃態勢に取ろうとするが、仮面の男の攻撃の方が早く、横腹を回転蹴りを食らわされた。仮面の男は風となり、背後に現れたのだった。

 だが、シーカーは蹴り飛ばされていなかった。足を釘のように地面に刺して、その場に耐えていた。


「効かないね!そんな技!」

「ちっ……」


 シーカーは振り向きざまに裏拳をかました。その速度に仮面の男は間に合わず、攻撃を頰にモロに食い、何歩か後ろへと下り軽く態勢を崩した。


「くっ……」


 すると仮面の男は咄嗟に右手に風を集め始めて、一瞬だけ溜めたが手に収まりきれないほど溜まり、一気に放った。シーカーを覆い尽くすほどの大きな渦巻きの強風が直線上に進んでいった。


「はっ!!」

「……ッ!!」


 だがシーカーは臆する事なく強風に突っ込んでいき、風を押し切っていた。そのまま前進して、風の中から現れて、風を放つ仮面の男の手を掴んだ。それと同時に風は止んだ。


「何ッ!?」

「こんなへなちょこ風、全然効かないね!オラッ!」


 掴みかかり、そのままアッパーを食らわして殴り飛ばした。更に追撃するように、おぼつかない足で着地した仮面の男に飛びかかるように走り、顔面を殴り、腹部を蹴りつけた。そこから更に何発もパンチと蹴りを入れながら一気に押していった。仮面の男はやられるがままに殴られた。


「ぐふっ──ぐはっ──」

「はぁぁぁぁ!!!」


 外側まで追い込み、仮面の男の体力も一気に激減し、立っているのもやっとであった。息も荒げて、右肩を押さえていた。

 シーカーは手を緩める様子は見せなかった。背中の火種は半分の10個が消えていた。

 だが、シーカーの様子を見てメリクリ達はある異変に気付いた。


「シーカーの様子が……」

「……あっ、まさか……」


 Syoもオーガスターらもその異変に気付いた。

 額から異常なほどの汗が垂れ流れており、息も徐々に乱れていき荒くなっていた。その様子にメリクリは一つ考察した。


「今使っている炎刃って技は攻撃やスピードを格段に向上させている。現に仮面の男に対して戦局的には有利には働いている。でもその反面に体力の消費が異常な速さで減っているみたいだ」

「つまり早期決着……でも、体力的に大丈夫なのか?」

「相手の方も体力は減っている。五分五分ってところだ……」


 シーカーはゆっくりと近づき、拳を振り上げたそして一気に仮面の男の腹部を一撃食らわせ、勢いよく殴り飛ばした。


「ぐわっ!!」


 ぶっ飛ばされた仮面の男は、また別のビルの壁に激しく叩きつけられた。身体全体に大きな衝撃を喰らい、指一本動かすのが困難な状態になった。

 シーカー自身も体力の消耗が激しく、一旦炎刃を止めて、ボードに乗って仮面の男の方へと向かった。


「はぁ……後少しであいつを倒せる……」


 こちら向かってくるシーカーに対して、動けない身体で近づいてくるシーカーが徐々に大きく見え始めてきた仮面の男。


「ちっ……」

「あらあら威張って割にかなり苦戦しているようね」


 どこからともなく話しかけてきたのは凰姫だった。凰姫は別の場所からモニター越しにこの戦闘を見ながら、話しかけていたのだ。


「俺がやられて嬉しいか……」

「まっ、誰かが傷ついて嬉しい事はないけど。でも、貴方ほどの人材はいないし、私の予想以上に風の刻印を操っているもの」


 やられている姿に興奮しているのか、どこか嬉しそうに喋る凰姫。


「ムカつく野郎だな……本当に」

「そんな事よりここでやられるか、私の助けがいるか……どっちかなぁ〜」

「……」


 ボードに乗ってこちらに迫って来るシーカー。考えている時間は殆どない。


「どんな助けだ……」

「強い力を今の貴方に与える……事かなぁ」

「……」


 仮面の男は少しだけ悩んだ。だが、今の状況では助けがなければ負けたいまう。拳を強く握りしめてから力なく言った。


「……助けを……くれ」

「了解、でもちょっとキツイわよ〜」


 いやらしく笑う凰姫。手のひらから黒い球体を出し、モニターの方へと放った。そして一人誰にも聞こえない声で囁いた。


「本当にキツイわよ、この力は……」


 球はゆっくりとモニターへと吸い込まれて、仮面の男の目の前に次元の壁を突き破って現れた。そして仮面の男の心臓部分へと吸収された。


「うっ!!……ぐふっ!!……ぐはっ!!!」


 心臓に入った黒い球。身体全体が寄生虫に蝕むようなビリビリとくる感触。触手が血管の中を通り、徐々に身体の力が自然と湧いてきて、筋肉が少しばかり膨張した。その後痛みも消え、身体から黒いオーラが立ち込めてきた。

 その様子はボードで向かっているシーカーも確認していた。右手の刻印が近づくにつれて疼き始めた。


「くっ……なんだ、この嫌な気持ちは……奴から放たれているのか」


 嫌な予感がする中、シーカーは仮面の男がいる場所へと向かっていく。更に疼く手。その時、突如シーカーの頭の中にとある光景が広がった。


 そこは白と黒のモノクロの世界。その場所は、学校の教室であった。でも誰もいない、音もない、空気も感じない、自分一人だけの孤独の世界であった。


「……な、何処だここは……俺は今、仮面の男と……」


 窓から校庭を覗くが誰もいない。街を見るが誰もいない。でもとある事に気付いた。


「ここはまさか、俺の学校なのか……でも、何で……」


 不自然な光景に戸惑うシーカー。そして窓から写る自分の姿、それは悠斗本人の姿であった。もちろん自分自身もモノクロの状態になっていた。


「……何なんだ一体。何が起きてるんだ……」


 その時、軽やかに走る音が背後より通り過ぎて行った。


「足音……誰かいるのか!?」


 すぐさま悠斗は廊下へと出て、足音の聞こえる方へと追いかけていった。足音は上へと上がって行き、悠斗は必死に追いかけて行く。その最中、階段の天井を見上げながら叫んだ。


「誰だ!仮面の男、お前の仕業なのか!」


 もちろん返事は返ってこなかった。悠斗と謎の足音の追いかけっこは屋上まで続いた。屋上に出ると、誰もいなかった。辺りを見渡し、歩き回るが誰もいない。


「……」


 すると、背後に人の気配を感じた。


「誰だ!」


 悠斗は咄嗟に振り向いた。その瞬間、悠斗の顔は冷や汗をかきながら表情が硬直し、開いた口が塞がらなくなった。

 そこには力なく腕をぶら下げている虚ろな表情をしたシーカーが目の前に立っていた。


「お、俺……だと」


 左手の甲から炎を刻印が浮かび上がっていた。そしてゆっくりと生気がないおぼつかない歩き方で近づいてきた。

 悠斗は逃げようとするが、足が固まったように動かなくなり、ゆっくりと近づいてくるシーカーをただ見てるだけだった。


「う、動かない……!?」



 その瞬間、目の前が真っ暗になり、先程いたフィールドに戻っていた。ボードに乗って仮面の男の方へと向かっている状態のままだった。


「今のは一体……今の痛みも感じない……」


 身体から感じる不思議を気持ちを胸の中に抑えて、仮面の男がいる場所へと向かった。



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