第56話 新しい仲間は砂の中⁉︎(2)
透明な球体こと[クリアボール]の中に入って観戦している4人。そこでマッキーがメルクリに向かってとある疑問をぶつけた。
「君ってこれが狙いだったの?」
「さぁね、僕は親睦会のつもりで呼んだんだけどね」
「僕はホームでとある物を製作中なのに」
それにSyoが反応を示した。
「製作中?」
「あぁ君達が見せた骸帝に対抗するためのね……ヒヒヒ」
「ふ〜ん、面白そうだな……」
そしてシーカーは腕を組みながら、真剣な表情でオーガスターを見ていた。
「これはオーガスターも大変な戦いになりそうだな」
「シーカーには分かるのかい」
「こんな目が痛くなりそうな虹の砂漠で、何処にいるのかも分からない敵を見つけないといけない。それに、敵は銃。当たりどころが悪ければ、下手をすれば一撃でやられるかもしれない」
「流石だね、ご名答。オーガスター君の力は相当なものだ。彼ならこんなフィールドへでもないだろうね」
オーガスターは周りの様子を見て敵の位置を知ろうとするが、辺り一面虹の砂。目が疲れ、暑さで集中力などが阻害されている。それに下手すれば一撃でやられる可能性もある。オーガスター自身汗を手で拭き取りながら、最新の注意を払い探している。
「さっきはどこから撃ったんだ……」
360°同じ景色に、東西南北の位置すら分からなくなって来た。
だが、このまま突っ立っていたら撃たれることは間違いなし。とにかく動きながら探す事に決めた。
すると背後から突如、何かの気配を察して素早く首を少し傾けた。それと同時に何処からともなく銃弾がオーガスターの首元ギリギリを見えない速度で横切った。
だがオーガスターには見えた。それに敵の居場所もある程度だが把握出来た。
「後ろの方か……」
銃弾が飛んできた方、つまり後ろの方を振り向いた。
その時、先ほどの銃弾が飛んで行った方から再び弾が背中に飛んで来た。即、気づきすぐに身体を横に傾けてギリギリ避けた。
「何!?向こうからだと!?」
1人、そう聞いた。だが先ほど撃たれた場所の反対側から銃弾が飛んできた。オーガスターの中には本当に敵は1人なのかと驚きを隠せない顔で思っている。
シーカーもこの状況を困惑し、メルクリに問いかけた。
「本当に敵は1人なんだろうな?」
「うん、もちらん1人だよ、1人……ね」
「……」
当たり前のように言うメルクリに何も言い返せなくなる。
そしてオーガスターは二方向から攻撃に戸惑いつつ、今考えられる最善の策を咄嗟に考えていた。赤く燃えたぎる噴火龍の剣を1本だけ出し、突然剣を地面に突き刺した。
「ふんッ!!」
地面に刺さった瞬間に噴火龍の剣の効力である当たった時に大爆発が起きる効果が発動し、虹の砂を撒き散らしながら大爆発が発生した。辺り一面に7色のキラキラと綺麗な砂が舞い、一気にオーガスターの姿を覆い隠した。
「なるほど、敵は銃撃。相手がスナイパーで攻撃しているとすれば、砂煙で姿を隠して標準を合わせる事が難しくなる。あの剣ならではの戦い方か……」
シーカーの言う通り、オーガスターは広範囲にわたって砂の中に隠れた。そして砂煙の中でもう1つの噴火龍の剣を出し、今度は最初に撃ってきた方角へと投げた。
そして数十m程先の砂に刺さり、そこで再び効力で爆発し砂煙が舞った。そして最初に刺した剣を抜き取り、今爆発した方面へと煙と煙の中を通って確実に向かっている。
「たしかにこのまま行けば最初の銃撃してきた位置に辿り着く……だが、それを新新本人は対策を打ってない訳がないだろう」
「オーガスター君もそれくらい分かっているよ、多分ね」
そのまま2つ目の爆発した煙の中に入り、三度刀を投げようと一歩足を踏んだ。すると足元からカチッと音がした。その瞬間地面が盛り上がって大爆発した。
「な!?」
それは地雷だった。オーガスターは地雷を踏み、大爆発を起こし剣一歩をその場に残してそのまま空中に吹き飛ばされた。服装は一部焼け焦げ、煙が舞っていない砂場へと腰から地面に落ちた。
「くっ……近づけさせない為に地雷を用意してたって訳か。用意周到だな……」
焦げた服に付いた砂を払っているのもつかの間、すぐさま最初銃弾が放たれた方角から銃声と共に銃弾が飛んで来た。
「!?来たか!!」
音に気づき、すぐに一本の噴火龍の剣を拾い上げて飛んで来る銃弾を目視し、刀で縦に一刀両断、銃弾を真っ二つに切り裂いた。
「へっ、そう簡単には当たらせねぇよ」
そして更に同じ方向から2発連続で放たれたが、オーガスターは全部見切って2発とも切り裂いた。
オーガスターは敵の位置を確認した。撃ってくる方角、方向、弾の弾道などを計算してその位置を見て軽く笑った。
「ふっ……やはりそっちの方にいるな。さっきの方角の銃弾はブラフ、多分ボタンか何か押せば撃つであろう仕掛け、それを操作していた訳か」
2発目に放たれた逆方向からの銃弾、それをオーガスターは操作型のスナイパー銃だと断定した。あたかも複数人いると見せかけて、遠距離操作型の銃を配置して一発目で動きを抑制し、二発目で仕留める。
「ふっ、そんな簡単な事を分からない俺ではないんでな」
Syoもそんなオーガスターを見て、ワクワクが止まらなくなっていた。
「流石オーガスター!!カッコいい!!それでも日本男児だ!!」
「そう簡単に物語が進むとは思えんがね。あのオーガスターであろう奴が、あんな調子に乗るタイプだったか?」
シーカーはSyoとは真逆で、不安な表情で見つめていた。
そして左手に剣を持ち前に一歩、歩いた瞬間何処からともなく銃声がなった。
「!?」
その銃声と共に、オーガスターの動きは止まった。シーカーらはすぐにオーガスターを注目した。すると左肩から血が流れ刀を地面に落とし肩を抑えて苦しんでいる姿があった。
背後から撃たれた。それも二発目とは別の角度、つまり3つ目の銃が設置されていた。
痛みに耐えるオーガスター、だがその顔は少しだけ笑っていた。
「へへ……いい手応えだぜ……」




