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第51話 本当の自分達



 悠斗はアルからのリアルで会う誘いが来て困惑していた。

 1人で悩んでもしょうがない。とりあえず、ログインしてSyoの元へと行く事にした。Syoは何回かゲーム内の人とリアルで会ったことがあると以前言っていたのを思い出して、頼りにしている。


「Syo‼︎大変だ‼︎大変な事があったぞ‼︎」


 Syoはソファーの上でイビキをかきながら寝ていた。Syoの上にはウェルズも居て、Syoが息を吸って吐く度に、ウェルズが上下に揺れていた。

 せっかくだから、寝させておこう。とはならず、シーカーはウェルズを寝床に置いた後、Syoをソファーの上から転がり落とした。


「う、うわっ‼︎何だ何だ⁉︎」

「Syo君じゃないか‼︎良いお目覚めのようだね〜‼︎」


 ゴマをするように手を擦り、優しさ全開で全ての出来事を話した。


「なぁ〜にぃ〜アルちゃんとリアルで会う⁉︎」

「あぁ……そうなんだよ」

「そうなんだよ‼︎じゃねよぉー‼︎そんな人気アイドルとリアルオフ会なんて……くぅぅぅ‼︎羨ましい‼︎」


 Syoは強く足踏みをし、悔しがる。だが、一呼吸し、息を吐き、再び説明を始めた。


「つまりお前は、アルちゃんの中の人と会う事になるって事だ、覚悟する事だな……」

「覚悟?」

「あぁ……オフ会はゲームの中の人と会う事だ。それはつまり、中の人がどんなんか分からない状態で会う事となる。男か女かも分からないんだぞ‼︎」

「うっ……確かアルが本当に男か女かは、まだ確信した訳じゃないが……」


 ちょっと引き目になり、少し迷い始めた。だが、Syoは更にシーカーを追い詰めるような事を言う。


「俺も実は3回ほどオフ会をした事がある」

「えっ?嘘っ?いつのまに?」

「1回目は女性アバターで普通にUMA同好ギルドに所属していた時だった」

「いつ、そんなのに所属してたんだよ……」

「その時、仲良くなった1人の女性アバタープレイヤーとやたら話が通じて、もっと2人で話し合いたいと言う訳で、会ったんだ」

「ほぉ」

「実際に会ったら俺らと同じくらいの普通の可愛らしい女の子でさぁ。喋ったら本当にUMA系の話が好きで、マジで3時間以上も話したんだぜ。今もちょくちょく連絡を取り合うんだ」

「2人目は?」

「2人目は、アルちゃんファンクラブで、男のアバターの人達でさ、5人くらいのファンの人達と会う事になってな。実際に会ったらみんなスーツや綺麗なジャケットとか着て、俺は普段着で、ちょっと怖かったが、普通に話したら、ちゃんとファンらしく色々と熱く語りあった……いやぁ、いい夜だったねぇ〜」

「……3人目は?」

「……それがなぁ……うん」


 ちょっも言いたく無さそうな不穏な顔をするSyo。でもシーカーは御構い無しに聞く。


「どうしたんだよ?」

「……3人目はな、俺がなツチノコ同好ギルドにいた時の話だ。そこでも俺は女性アバターと仲良くなって話が弾んで、会う事になった。1・2回目が成功したから、2度ある事は3度あると思って言ったら……」

「?」

「ポップコーン片手に持ったカラフルメガネをかけたアメリカンな人が居てね……」

「はぁ?」

「近くのファミレスに連れてかれて、席に座った瞬間、急に綺麗なスーツを着たお姉さん2人が現れて……」



 "この幸運のツチノコの御守りを……貴方に幸福を……"


「なんて言われて"あっ……これ、稼ぎ屋だ……"と瞬時に分かって、トイレに行く振りして、トイレの窓から逃げて来たんだ……」

「……」

「それ以降はオフ会的な事は行なっていないんだよ……」

「つまり俺に行くなと?」

「そう言う訳ではないが、多少の覚悟は必要だ。俺だってアルちゃんが汚らしいオッサンでない事は祈りたい。だが、その可能性だってある事は考えておけ」


 シーカーは更にもう1つの悩みを浮かない顔で打ち明けた。


「もう1つあるんだが、例えアルが女の子だったとしても、俺を見てどう思うかなって……ゲームの中だと、背は高いし、キリッとした目だし、女の子の前でもハキハキっと喋れるし……現実では、背は低いし、まん丸な目だし、女の子の前ではカッチカチになるしなぁ……」


 シーカーの顔を見て、笑っていたSyoも冷静に話を聞いた。


「……多分、あっちも同じ事を思ってるさ」

「えっ?」

「そりゃあ、アルちゃんの中の人がどんな人か知らないけど、自分を見たらシーカーはどう思うだろうって思ってるだろうよ」

「でも、本当に会って目と目を見合って、話せるだろうか……」

「まっ、今後の事を考えたらもっと親密になるのも大事だから、会って少しでもお互いを理解し合うは良いと思うぜ。それに俺はな」


 Syoの説得を得て、自分の頰を叩き決意した。


「……そうだよな。なら、行くしかねぇか。自分の姿をさらけ出してやる。そして面と目を見合って会う‼︎」

「それでこそ、シーカーだ。ここと同じ真っ直ぐと自分を貫き通すんだ」

「あぁ‼︎」


 シーカーは自分の中で1つの決心を、メッセージで"君と会う"とメッセージを返した。

 その後とやり取りで、新東京府(しんとうきょうふ)支部哉(しぶや)公園前にて集まる事になった。シーカーは紫色のマフラーを巻く事となった。季節は夏だが。


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