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第48話 ライブは晴れ時々大荒れ(3)

 

 アルがライブしているビルからかなり離れている1つのビル。


「犯人さんよぉ〜よくも俺にウィルスチップって奴を埋めてくれたなぁ〜それにまた俺のダッシュボードが壊れたじゃねぇか‼︎この仕返しはたっぷりと……」


 余裕そうな声ながら怒りに満ちた顔や腕を鳴らす仕草は完全にキレている。自分に埋められたチップの事とまた部屋の隅で火花を散らして壊れているダッシュボードの事を考えると更にイラつきは増した。

 だが、シーカーのキレている様子と相反して犯人は恐ろしいほどビビっていた。


「ひ……な、何でバレたんだ⁉︎僕の機械術は完璧な筈な、な、のに⁉︎」


 このビビっているのは演技だと、警戒しながら近づいて行く。犯人の顔を確認すると、何の特徴もない至って一般的な男性の顔だった。だが、今はそれどころではないので、怒りに身を任せて喋る。


「あぁん?お前気づいてないのか?外からパソコンの光が見えまくりなんだよ‼︎」

「ま、マジで⁉︎」


 焦る犯人は、すぐさま自分のパソコンを何度も何度も見る。その様子は演技というよりマジで焦っているように見える。もし演技だったら、俳優にでもなれよ!と思うシーカーだった。

 そして犯人は何度も壁に頭をぶつけ始めた。


「僕とした事が‼︎何て‼︎ミスを‼︎」

「お、おい、落ち着け‼︎」

「そんな場合か‼︎僕が‼︎天才の僕がこんなミスをおぉぉぉ‼︎」


 シーカーは犯人の行動を見てドン引きした。いろんな意味で危険を感じて多少距離を取り、Syoへと連絡を取ろうとした。


「おい‼︎……っておい‼︎クッソ‼︎俺のメサもダメなのかよ‼︎あ〜もぉ‼︎」


 マジで焦っている犯人を横目に段々シーカーのイラつきが頂点に達し、犯人をぶん殴ろうとした瞬間、大量の眩しいライトがこの部屋に注目を集めるように一斉に照らしてきた。

 シーカーも犯人も目を隠しながら息をピッタしに外を見た。

 そこにはダッシュビーグルに乗っている無数の保安局が犯人がいたビルを取り囲んでいた。そしてビルに向かって呼びかけた。


「そこの2人‼︎今すぐに投降しろ‼︎」

「俺も⁉︎」


 2人と言われ、シーカーは犯人へと怒りを向けた。原因の元を探しに来たのに自分までもが犯人扱いされている事に更に腹を立てた。

 犯人の胸ぐらを強く掴み、顔を近づけた。


「お前のせいだぞ‼︎俺まで、また‼︎また‼︎追われる身になったんだぞ‼︎どうしてくれるんだよ‼︎」

「し、知らないよ‼︎とにかく逃げるんだよ‼︎」


 シーカーに掴まれて、しらばっくれる中、パソコンの方へと指を伸ばすと、更に保安局員が威嚇射撃をした。


「ヒッ‼︎」

「何も触らず、手を上げろ‼︎さもないと撃つ‼︎」

「こんな時まで何やってんだよ‼︎」


 手を挙げながらツッコむシーカーに対して、涙目になりながらシーカーの顔を見る犯人。


「だって僕のパソコンなんだもん……」

「捕まったら金もパソコンも没収されるんだぞ‼︎」

「えっ、マジで⁉︎」

「基本中の基本だ‼︎それくらいさ知っておけや‼︎」

「うるさい‼︎」


 2人が言い争っている姿を見て、どうすればいいか困惑する保安局員達。

 すると犯人は手を挙げた態勢で、自分の裾の中に指を入れ、裾の中から糸を引っ張った。すると服の中から野球ボールサイズの黒い玉が転がってきた。


「け、煙玉⁉︎」


 シーカーが驚く中、犯人は小声で呟いた。


「ヒヒヒヒ……僕を捕まえてみな」


 隊員達が銃を放とうとした時、玉から白い煙が上がって、部屋に充満した。

 その瞬間、隊員は部屋に銃を合図なしで一方的放った。その間犯人はパソコンを小脇に抱えて、窓からガラスにタックルし突き破り、煙と共に外へと脱出した。そのまま暗い街の中へと落ちていった。


「あ、あのヤロ‼︎」


 シーカーも自分が入った時と同じ窓から、煙と共に飛び出して、暗い街の中へと消えた。

 地面に着地した犯人は、着地に失敗したのか背中を抑えて路地裏の中へと逃げて行った。


「ヒヒヒヒ……何とか逃げ……」

「アルちゃんのライブを壊そうとして、そう簡単に逃げれると思うなよ」

「ヒッ⁉︎」


 怒りに満ちた声が響き渡り、路地裏の奥から出て来たのはSyoだった。


「お前の負けだ‼︎犯人さんよ‼︎」


 更に犯人の後ろからもシーカーがまた指を鳴らしながら現れた。


「パソコンを広げなければ、お前はただの雑魚だ‼︎」


 両側を何度も何度も見ながら、慌てふためく犯人。そして2人は悪人のような不敵な笑顔を浮かべながら一斉に犯人へと被さり、取っ組み合いとなりながら、何とか紐で体を巻きつけた。


「捕まえたぞ‼︎」

「堪忍しろ‼︎」


 そしてシーカーは壁に向かって思いっきり穴を開けて犯人に詰め寄る。


「さぁさぁさぁ‼︎俺のダッシュボードとウィルスを直してもらおうかぁ‼︎」

「ひ、ヒィィィ‼︎許してぇぇぇ‼︎頼まれただけなんですぅぅぅ‼︎」

「……ん?」


 いきなり泣きじゃくって言った犯人の言葉は、2人を静寂の世界へと迷い込ませた。2人はお互いの顔を何度も見合いながら、再び犯人に詰め寄った。


「どうゆう事だ⁉︎白状しろ‼︎」

「で、ですから……僕は頼まれた、だ、だけなんです……」

「本当の犯人はどこだ‼︎」

「ら、ライブがやっているビルです……」

「な、何だと⁉︎」


 危機迫るライブ、果たして犯人はどこに?





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