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第46話 ライブは晴れ時々大荒れ

 

 ライブ開始数分前、外ではファン達の熱気具合が最高潮に達していた。待ち遠しいのか、ファン達の息が合うように、声と体の動きを合わせてアルの名前を呼ぶ。


「ア、ル、ちゃ〜ん‼︎ア、ル、ちゃ〜ん‼︎」


 ビルの屋上は色鮮やかなライトが舞台を照らし、アルの登場を待ちわびていた。

 この熱気に、ファンであるアモレも、ファンではないオーガスターも呆然としていた。


「す、すごい……これがアルの人気、なのね」

「初めて見たが、これはすげぇな」


 そしてマネージャーが来て、アルに告げた。


「アルちゃん、もうすぐでライブが始まるよ」

「わ、分かりました‼︎じゃ、2人とも頼むわね‼︎」

「任せて‼︎」


 アモレとオーガスターはアルと握手を交わしお互いの健闘を祈りあい、アルはアイドルとしての笑顔の顔を整えて、ステージの階段を登る。その足はこれからどうなるか分からないのに、迷いのない軽いステップを刻んでいた。

 そしてステージに上がると、アルに何個ものライトが一斉に照らされた。この光景は多くの空中カメラが撮影し、ビルに貼られている巨大モニターにも映し出されている。その瞬間、広場のファンは大声をあげながら歓声を上げた。

 アルは空中カメラに向かって手を振り、更に歓声は大きく上がった。そしてアルは手を振り終わると、マイクを近づけて第一声をあげた。


「みんな〜‼︎今日は私のライブに来てくれてありがとう‼︎」


 その挨拶だけでも、歓声が上がり、更に盛り上がっていく。アモレもこの状況にテンションが上がりまくっている。


「こんな近くでアルのライブが見れるなんて〜‼︎」

「今の俺たちはアルの護衛だろ、ちゃん気ぃ張っとけよ」

「そ、そうよね‼︎ライブも大事だけど、こっちも‼︎」

「集まってくれたファンのみんな、このビルを貸してくださったマクラウドさん、そしてスタッフの皆さん、全員に感謝して早速一曲目行きます‼︎」


 曲が流れ始める共にアルが踊り始め、ステージに人間のバックダンサーが5人ほど現れ、アルに合わせるように踊り始めた。

 オーガスターとアルはダンサー達の動作を見ながら、気を引き締めた。


「あいつらが襲うかもしれない、それに舞台裏のスタッフかもしれない。チップが埋められている俺たち以外敵だと思え」

「うん、分かってる」


 そんな気を引き締めるアモレだが、可憐で喉が透き通るようなアルの美声に、段々アモレは見惚れて来て、身体がフラフラして来た。


「だ、大丈夫か?」

「え、えぇ‼︎大丈夫よ、大丈夫……」


 気を引き締めては、アルの声に身体がフラフラとなり、再び気を引き締めてはフラフラになりを繰り返し、あきれ返るオーガスター。


「こんなんで大丈夫なのかよ……?」


 ーーーーーーーーーーーーーー


 シーカーとSyoは犯人を探すべく、計画を立てた。Syoが第一声を放った。


「まずは奴がどこにいるかだ……まずはそこからだな」

「このビルにいるか他の場所にいるか、そもそもこの惑星にいるかどうかだ」

「それは大丈夫だ」


 Syoの発言に、シーカーが耳を傾けた。


「あいつがお前を襲撃している間に、あいつの発信源を少しだが、特定出来た」

「どこだ⁉︎」

「このビル付近の半径1km以内の何処かにいる。俺が念の為に作った探知機"R2-T2"‼︎」


 今度は昔の折りたたみ式の携帯電話のようなものを取り出した。そして画面の真ん中には黄色い斑点があり、その付近に赤い斑点があった。


「何だそれ?それに名前……」

「あぁ気にするな‼︎犯人はこのビルとは違う場所のようだ。︎この赤い斑点の方向にいる。早速探しに行くぞ‼︎」

「あ、うん」


 2人はすぐに外に飛び出た。

 階段を急いで降りる中、シーカーはSyoに聞く。


「それより、あんなにライブ楽しみにしてた癖に、よくやる気になったな」

「楽しみだったさ、でも今はアルちゃんのライブより、アルちゃんの安全を確保するのが最前だ。ホームでライブ録画しておいて助かったぜ」

「そりゃよかった」


 2人は軽く微笑みながら階段を下った。


 ーーーーーーーーーーーーーー


 ライブは中盤に差し掛かり、アルもファンも更に盛り上がって来て、4曲目が流れ始めた。

 その頃にはアモレは完全に、ライブに夢中になり目をキラキラと口をあんぐりと開けて見ていた。完全に警備の事は忘れかけている。

 もはや何も言う気にならんオーガスターだけは、真剣に警備をしていた。

 マネージャーは呑気に欠伸をしながら、余裕こいていた。


「やはり、ライブ襲撃なんて鼻っから嘘じゃないのか?はっはっは‼︎」

「だといいがな……でもまだライブは中盤だろ、最後までは気をつけないと」

「来ない来ないよ‼︎そんなの」


 そう言うと、アルのバックダンサーの1人が突然、痙攣を起こしてその場に倒れた。アルは歌って踊って集中している為、気づいていないが、カメラにはバッチリと写っていてファンは驚いていた。「何が起きた?」「放送事故?」などと騒がしくなる。オーガスターもすぐに警戒した。


「な、何だ⁉︎」


 そしてその白眼をむいたバックダンサーがぬるりと立ち上がり、突如ナイフを出し、アルの背後へと特攻し刺し掛かる。


「クソっ‼︎」


 オーガスターが舞台へと飛び出て、そのバックダンサーの顔を蹴り飛ばした。けられたバックダンサーは更に痙攣を起こして、そのまま動かなくなった。突然の出来事に更にファンは困惑し始めた。

 そして他のバックダンサー達10人ほども一斉に痙攣し、倒れてゆるりと立ち上がって一斉に特攻を始めた。


「わーい‼︎ってえぇ⁉︎」


 その時、やっとアモレも気を取り戻し、舞台へと跳ね上がった。そして開幕一番、背後から1人を蹴り飛ばした。そしてアモレはオーガスターの背後へと立ち、2人はバックダンサーに囲まれた。


「アモレ‼︎やっと目ぇ覚ましたか」

「ふん貴方の蹴りを見たら目が覚めたわ」


 マネージャーは慌ててテレビ局やモニターに指示をする。


「は、早く私が言ったとおりにするんだ‼︎早く‼︎」


 モニターやテレビのテロップにはこう書かれた。

 "これはライブの演出です。ご安心ください。"と


 そのテロップに一気にファンは安心して、歓声は戻り、盛り上がりはピークに達した。そんな事も知らずに歌い続けるアル。

 2人もこのライブに笑っていた。オーガスター自身は戦えて、アモレはライブに参加した喜びがあった。


「へへ……ライブってのは面白いじゃぁねえか‼︎」

「こんなライブ普通ありえないんだけどね……けど‼︎こうゆうのも良いわね‼︎」


 2人は一斉にダンサー達に攻撃を仕掛けた。

 シーカー達はモニターを見ながら、噴水広場付近を走る。


「ありゃありゃ、あっちはあっちで大変なこった」

「向こうは2人に任せておいて正解だったな、俺達もここからが大変だからな」

「ふん、分かってるよ‼︎犯人取っ捕まえてやるさ‼︎」


 お互いの健闘を祈り、人混みの中二手に分かれて探す事にした。

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