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第39話 VS鬼神‼︎‼︎ぶつかり合う2人‼︎

 

 シーカーの部屋……メルクリとSyoは戦いを見ていた。


「アルちゃんとアモレが同時に……」


 そう言うと反対側のソファーにボロボロのままの2人が同時に落ちて来た。


「きゃあ‼︎」

「うっ‼︎」


 落ちた2人は痛そうに背中や首を抑えていた。戦いの痛みが落ち着いた今、一気に押し寄せて来たのだろう。


「「いたたぁ……」」


 だが、2人が声を合わせて痛がり顔を合わせると、思わず2人は笑ってしまった。これも緊迫した雰囲気が収まり、緊張がほぐれたのだろう。そしてお互いを戦いぶりを認めた上で友情の意味を込めて笑った。


「あっはははは‼︎あなた最高‼︎」

「はははは‼︎最高ですアルちゃんさん‼︎」


 2人は互いの肩を叩き合い、喜び合い、笑い合った。ついさっき会って激しい戦いを繰り広げていたのに大笑いしている2人にSyoは何故笑っているのか全く分からなかった。


「何で笑ってるんだ?」

「さぁ〜女の子にしか分からない何かがあるんでしょうね〜。それよりシーカー達の戦いも見ないとね〜」

「そ、それもそうだな……」


 ーーーーーーーーーーーーーー


 その頃シーカーとオーガスターは激しく攻撃をぶつけ合っていた。燃え盛る森の中から大爆発が起き、その爆風の中からシーカーが吹き飛ばされていた。

 上手く受け身を取り、着地するシーカー。やはり楽しさのあまり笑っていた。やはり憧れていた存在と戦うのは、本人的にもやる気が湧いてくる。


「この強さは本当に刺激的だ‼︎こんな強い奴を仲間にすれば……‼︎」

「出来たらの話だがな‼︎」

「っ⁉︎」


 煙の中から声がしたと同時に、噴火斬の剣が一本真っ直ぐと飛んで来た。効力を知っているシーカーは真っ直ぐに煙の方へと走って行った。

 そして剣は地面に突き刺さり、大爆発を起こしてシーカーを煙の中へと引きずり込んだ。


「何とか避けたか……」

「オラァァァ‼︎」

「⁉︎」


 目の前から唐突に現れたオーガスター。拳を振りかぶり、シーカーはしゃがみつつ、顔面すれすれで避けた。そして反撃しようとそのまま下からアッパー攻撃を仕掛けた。だが、その攻撃はオーガスターの左手に丸め込まれ、サッカーボールを蹴るように顔面に重い一撃を食らい正面に吹き飛んだ。

 だがシーカーはすぐに地面に着地し、着地をバネのように伸ばし、再びその足でオーガスターへと拳を振りかぶった。

 オーガスターも拳を繰り出し、再び拳のぶつかり合いが始まった。まるでボクシングのような攻防だった。

 片方が殴り、また片方は殴り返す。熱く燃える森の中で繰り広げられる殴り合い。だが、その殴り合いもすぐに終息した。彼らが戦っている横に生えていた大木が完全に焦げて、彼らの間に落ちて来た。

 彼らの目の前にゆっくりと落ちて来る大木は、一瞬だけ彼らから相手の姿を視界から隠した。だが、その一瞬は彼らに長き時間にも相当する。大木が地面に落ちた時にはもう、彼らの姿は消えていた。

 彼らは別の場所で激しく戦いを繰り広げていた。移動しながら拳を交えていた。蹴り、殴り、頭突きを食らわし、お互いにダメージを着実に受けながら、更なる激しさに到達する。オーガスターは一度、シーカーのしゃがみ蹴りの攻撃をジャンプで避け後ろへと退く。


「へへへ……良い……本当に楽しい……」


 オーガスターは強かった、現実でもゲームの中でも、だが、ゲームの中で現実の喧嘩が役に立った訳ではない。では何故ここまでオーガスターは強いのだろう?こんな素朴な疑問自分自身知らないどころか、知りたいと思った事もない。このゲームを知ったのも、ただ田舎町に居てやる事がないから、暇つぶしにとでも流行りであるこのゲームをやり始めたのが始まりだった。

 だが、暇つぶしにと思ったこのゲームも予想に反して異常なほどハマってしまった。気づいたらこんなにも強くなっていた。そして自分の力を見て、多くのプレイヤーが遠ざかって行った。それから自分を高めてくれる何かがない日々を送り、同じ最上級クエストをしているだけの毎日に今日、終止符が打たれる。こんなにも面白い奴がいるなんてと……


「はぁぁぁ‼︎」


 オーガスターは剣を2つとも握り、真っ直ぐと進んだ。それは猛将宮本武蔵を沸騰させる勢いだった。

 それに対抗すべくシーカーも刀で応戦した。交わる刀、飛び交う火花。シーカーはオーガスターの刀を押して弾いた。そして腰を低くして滑り込むように背後に回り込み、再び刀を振り下ろした。

 だが、そこはオーガスター、完璧なる防御をした。背中を向けた状態で二本の剣を背中まで持って行き、攻撃を防御した。そしてオーガスターはその状態から横に回転しながらシーカーを弾き飛ばした。

 シーカーも諦めが悪く、何度も何度も突っ込んで行けば弾き飛ばされた。笑っている、それはオーガスターにとっても嬉しい事である。


「まだ諦めないのか?シーカー‼︎」

「あぁ‼︎体力がなくなろうとも挑み続けてやるさ‼︎あんたに勝つまでな‼︎」


 口では諦めないのかと言うオーガスターだが、内心はまだまだかかって来い‼︎と思っていた。

 何度も何度も交わり、それでもなお立ち向かって来るシーカー。まるで剣舞を見ているようだ。言葉なんていらない美しい剣舞を。彼らは意識をしてないだろうが、その剣と刀が交差する光景はまさに華麗なる舞曲だった。

 そして2人の剣舞も終わりを告げようとした。オーガスターが振り上げた一本の剣の攻撃がシーカーの背後へと刀を弾き飛ばした。


「くっ……‼︎」

「倒すには惜しいが……トドメだ‼︎はぁぁぁ‼︎」


 刀を弾き飛ばされ、身体に重い衝撃が走り、一瞬だけ怯んだ。その隙を逃さずオーガスターは一気に畳み掛けて来た。

 素早く二刀の剣を重ね合わせた。するとその剣は合体し、1つの新たなる剣となり、見た目はあまり変わってはいないが、マグマの光る紅いクリスタルは2つの剣が交わった事により更なる輝きを放っていた。その剣を両手で持ち、剣を下に下ろしながら一気に突っ走った。


 素早く走って来るオーガスターにシーカーはすぐに迎え撃とうとしたが、その時にはもう遅かった。シーカーが構えた時にはオーガスターは背後にいて、シーカーの腹には知らず知らずに×状の切り傷が出来ていた。そして辺りの炎は全て掻き消された。


「なっ……」


 そこから一気に血が吹き出て、その場にうつ伏せに倒れた。

 Syoやアルは倒れたシーカーを見てノートパソコンを掴み叫ぶ。


「シーカー‼︎ま、負けたのか⁉︎」

「シーカー‼︎」


 オーガスターも勝ったと確信し、剣をしまいメサを開く。だが、勝利したはずなのに、元の場所へと戻らない。そう思い、後ろを振り返った。


「……⁉︎」


 そこには倒れているはずのシーカーが存在しなかった。完全に攻撃は当たった。そして倒した。その事で今のオーガスターの頭の中はいっぱいになった。


「いない……だと……⁉︎」


 すると遠くから雄叫びのような大声が響き渡って、そちらの方へと向く。すると大声と共に何かが徐々に近づいて来た。


「うぉぉぉぉぉぉ‼︎」


 そして構えた瞬間、それは草むらの奥から飛び出て来た。それは鋭利な形をしたシーカーの刀だった。それだけが飛んできて、軽く避けた。

 この攻撃を機に何処からか別の攻撃が来ると思い、避けた後すぐに辺りの草むらの中を警戒した。

 だが、この予想は大きく外れた。奴が現れたのは……空からだった。何⁉︎と思った、だがもう遅かった。気づいた時にはもう距離は10mもなかった。その時に、オーガスターは気づいた。あの剣は囮かつブラフだった。剣を投げて別の方角が攻撃を食らわすと思いきや、剣で意識をそっちに向かせて、その間に自分は高い所からの攻撃を仕掛けると、この森ならではの戦い方である。

 真上から直に猛スピードで下降してくるシーカーは隕石のようだった。そして拳を構えて真下にいるオーガスターの顔面を頭から殴って地面に叩きつけた。地面には殴った衝撃で軽いクレーターが出来た。地面に転がり落ちたシーカーは無事に立ち上がった。


「はぁ……はぁ……俺はタフでね……」


 まだ立ち上がろうとするオーガスターだが、手が震えて立つ事が出来なくなった。


「へへ……見事な戦いだぜ……シーカー……」


 そのままオーガスターはその場に倒れこんだ。

 メサに表示された。WIN‼︎シーカー‼︎と……



武器 噴火斬の剣 使用者オーガスター

噴火龍が稀に落とすクリスタルから作られた特殊な剣。レベルを50以上にすると爆発能力が付属される。


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