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第38話 VS鬼神‼︎‼︎激突する4人‼︎(2)

 

 煙の中に吹き飛ばされ、その煙を吸い咳をする2人。前が全く見えず、お互いの居場所も把握出来ない状況になっている。

 シーカーはアルの場所を探そうと手探りで歩く。目も砂煙にやられてあまり開けない。


「くっ……何処だアル‼︎何処だ‼︎」


 声を上げ、手探りで歩いていると煙の向こうから影が急接近して来た。それもシーカーの元へと迫って来るのが分かった。


「まさか……⁉︎」


 煙から真っ先に出て来たのは、綺麗な肌色をした膝が突き出して出て来た。出てきた膝はシーカーの顎に直撃し、膝共に煙の中からアモレが出て来た。


「ぐはっ‼︎」


 顔を確認する暇もなく、脳に重い衝撃が掛かり、更に後ろへと何回転もして吹き飛んだ。

 するとアモレの真横から突如アルが猛スピードで飛んできて、横腹に頭突きを食らわした。


「うぅ⁉︎」


 そのままアルはシーカーの目を見て、軽く頷いた。そしてアモレを追うように煙の中へと消えて行った。

 シーカーはあの目を"アモレは私がやるからシーカーはオーガスターを"と解釈した。


「分かったぜ‼︎もうこれで最後にしてやる……‼︎」


 そして煙の奥から見える影、それを見てニヤリと笑った。煙の奥からもオーガスター鬼のように笑っている眼と口が見えて来た。彼らの中から湧き上がってくる闘志が今ぶつかる。


「最後の勝負だ‼︎オーガスター‼︎」

「おう‼︎」


 ーーーーーーーーーーーーーー


 Syo達は戦いをハラハラしながら見ている。


「戦いも佳境を迎えているようだね」

「そ、そうだけど……勝てよ、シーカー」


 すると戦いを見ていたメルクリが、何か家の中にいるのを感じて見渡した。

 気配などにも気づいていないSyoは不思議そうに言った。


「どうした?」

「いや……何でもない……」


 自分の見間違いかな?と思いながら再び見渡すと気配はもう無くなっていた。


 ーーーーーーーーーーーーーー


 アルの頭突きを喰らい、煙の中から吹き飛ばされて来たアモレ。

 アルが中にいる煙の奥を睨みつつ、アルが来るのをただ呆然と待っていた。すると、煙の奥から影と共に声が現れた。


「貴方はもうスキルである瞬足を使い果たした……」


 その煙から出て来たアルは両側の髪が黒と白に分かれており、目はいつもぱっちりお目目に戻っていたが、顔は痛みをこらえていると同時に、軽く微笑んでいた。白麗のスキルが終了していたのだ。本人は気づいているかは分からない。だが、アモレもニヤリと笑った。


「アルちゃんさん……貴方も白麗のスキルが切れているようですね……」

「今の貴方にはこれで充分よ……」


 話している末にお互いは構える事もなく、ほぼ同時に動き出した。

 最初の一撃を食らわしたのはアル、アモレの腹に蹴りを一撃を入れて怯ませた。腹を抑えているアモレにチャンスとばかり、軽く蹴り飛ばし、木に背中から激突した。そして追撃に何発も追うように身体全体に蹴りや拳の攻撃を繰り返し、背後の木を攻撃の衝撃で破壊した。そして弱ったアモレに横腹に回し蹴りを食らわせた。


「ぐっ……」


 何回転もした末にその場に倒れた。起き上がらないアモレに確認しようとアルはゆっくりと近づく。


「……⁉︎」


 身体を必死に立ち上がらせようとするアモレ、今の攻撃で大ダメージをくらい立ち上がるのが困難に陥った。歯をくいしばりガクガクと震える足を抑えて一生懸命立ち上がる。それにアルは何もせずにただ静かに眺めていた。哀れみとも悲しみとも違く、弟子に対する師匠の愛情のような物が感じた。

 アルはニヤリと苦しそうな顔に頑張って笑顔を作り、言い放った。


「もう私は倒れそうなんですよ……早く倒さないのですか……」

「私は全力を尽くしてくれる相手に最後の攻撃を加えるだけよ……」


 そう言うとアモレは自分の頰を両手で叩き、再びおぼつかない態勢ながらも構えた。強気でその姿勢には凛と感じる部分もあり、同じ女性でアルもその強さを実感した。アル自身も彼女と同じ体力はほぼないながら、最後の勝負へと出る。


「私の最後の力……見せてあげます‼︎」

「来なさい‼︎」


 一歩地面を踏み出した瞬間、目の前からアモレの姿が消えた。周囲のどこから現れる、そう考えたアルは周りを確認しつつ、気を引き締めた。

 すると気配もなく、背後から鋭利な苦無が飛んできた。すぐさまアルはその苦無を避ける……事はせずに手で受け止めた。受け止めた事を知らないアモレが真正面から飛び出て、アルに攻撃を仕掛けようとした。


「はぁ‼︎」


 アルはその手に持つ苦無を華麗な野球のフォークの投げ方のようにアモレへと投げた。

 苦無の事を知らないアモレは急激に迫ってくる苦無に驚いて、動きを止めて避けるために顔を傾けた。そして頰を掠めて、後ろの苦無へと顔を向いてしまった。

 そっちへと気が向いてしまったのが運の尽きだった。その瞬間はまさにスローモーションのように感じた。正面を向いた瞬間、鬼のように鬼気迫る顔をしたアルが拳を振りかぶり、その拳はアモレの頰へと直撃した。

 一撃を食らったアモレは真っ直ぐの森の中を飛んで行く。手を使えば何とか踏ん張れるが、踏ん張る事なく抵抗もなしに。そして段々と光り輝く海の光景が徐々に迫って来た。

 その先の崖っぷちでアモレは地面に倒れてそのまま崖に落ちそうになり、崖を掴んだ。


「くっ……こんなの簡単に……」


 必死に掴むが力が無くなって来て、手の力が徐々に弱まって指が離れそうになって来た。アモレからも掴むのに疲れて苦しい顔になって来た。まだ、戦いたいが体力の限界がこの崖を掴んでいる手に現れていた。


「もう……ダメ……」


 そして手を離した瞬間、崖の上から鞭がアモレの腕を縛った。


「……まさか……」

「……私はファンを大事する……」


 アルが崖っぷちで鞭を操ってアモレの腕に巻き、必死に引き上げようとしていた。体力がないアルも力を使い果たす勢いで引き上げていた。


「もう少しよ……頑張って‼︎」

「でも……これは戦いです、私に情など……」


 そう言った瞬間、アルがいる崖の一部にヒビが入った。だが、アルは諦めずに引っ張ろうとした。ゲームとはいえ、何故か助けようと頑張っていた。むしろ、この時はゲームというのを忘れていたのかもしれない。


「後……すこ……⁉︎」


 必死に引き上げて、手が届きそうになった時崖に大きなヒビ割れが起き崖が崩れた。2人は落ちてく最中、お互いの顔を見た。申し訳なさそうに謝るアルだが、アモレは満足そうな顔で軽く首を振った。

 そこには奇妙だが、2人の間に新たな友情を生んだ。アイドルとファンとしてではなく、普通の人間としての友達として。そして戦いの終焉を2人で見届けようと……2人は海に落ち、2人同時に脱落した。


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