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第37話 VS鬼神‼︎‼︎激突する4人‼︎

 

 鬼ノ目を発動した二刀流のオーガスターが炎の森の中を空を裂くように突っ切って、シーカーの元へと走る。

 シーカーは構えた。いつでも来いと言わんばかりに。だが、あの紅くマグマのような剣、どこか見覚えがある……そんな事が頭によぎった。

 だが、今は戦いに集中しないといけない。一旦この事を頭から振り払った。


「はぁ‼︎」


 二刀の剣を×状に重ねて目の前で振りかざした。シーカーは自慢の刀を正面から振り、刀と剣が激しくぶつかり合い、火花を散らした。その激突で衝撃波が発生し周りに引火した炎を一瞬だけ吹き消した。

 お互いに睨み合う先に見えるもの、それは赤く燃えたぎる目の奥にある闘志という名の戦士の魂が見えた。見ても分かるように2人は笑っている、この戦いが楽しいのか?それとも2人の中にはもう何かが分かりあっているのか?そんなのはこの2人にしか分からない事であった。


「はぁぁぁ‼︎‼︎」


 二刀流を使っており、鬼ノ目と呼ばれるスキルを発動中のオーガスターがかなり押し気味で、シーカーは物凄い勢いで後ろへと下がらされている。そして一撃、オーガスターが刀に強く攻撃をして、後方に下がった。


「くっ……(鬼ノ目……そんなスキルがこの眼前で観れるとは……)」


 鬼ノ目……それは使いこなすのが困難はスキルであり、全体的に能力がパワーアップするが、下手したら身体の言うことが効かなくなり、自由に敵味方問わず攻撃を行ってしまう。

 多くのプレイヤーはクセがありすぎるこのスキルを避けてきた。強いがそれだけの大きなデメリットが存在する。だが、それをオーガスターは我が身のように軽々と使っていたのだ。


「⁉︎まさかっ⁉︎」


 シーカーが刀に何か違和感を感じて、見ると刀の先端がピカッと光り出した。そして行動するよりも速く、何が起きてるのかも分からずに、光がシーカーを包み込み、その場で大爆発が起きた。


 Syoはすぐにその剣の正体を突き止めた。


「そっか……あの剣は……」

「知っているの?」

「あれは噴火龍から極稀に出て来るクリスタルで作られた超レアな武器……噴火斬の剣……それも2個もあるなんて……確か武器レベルを50以上の付属効果に攻撃した物体が爆発する能力がある……武器レベルは武器と武器を組み合わせてアップする……どんだけの時間をかけたと言うんだ、オーガスターは……」


 ーーーーーーーーーーーーーー


 その頃、アモレとアルの2人も激しい攻防が繰り広げられていた。

 シーカーとオーガスターとは違い、パワーやスピードは劣るものの互いに互角以上の戦いが繰り広げられている。お互いに暑さで汗が流れ、体力がもうないであろうアルは体力の限界を越えそうながら疲れが見えないぐらい必死に戦っていた。

 シーカーの為?それとも骸帝から世界守る為?多分、これは彼女自身の心にある、戦う魂がこの場で戦っている全員によって刺激されたのだろう。

 そんな中、まだまだ余裕のあるアモレはアルに挑発をする。


「さっきから戦いっぱなしですけど……ログアウト後にぶっ倒れても知りませんよ‼︎」


 この挑発を受け、何か心の中からやる気が燃え上がるように湧いてきた。そして少しでも余裕を見せる為に、軽く笑って答えた。


「貴方に心配されるほど私は弱くないわよ‼︎」


 そして1発の攻撃を見切り、アモレの腕を右手で掴む。そのまま手を引き寄せて、顔に近づける。その瞬間、アモレとアルの目と目の距離は1cmもなく、アルと間近で目が合った瞬間、口を閉じなくなったドアのようにあんぐりと開け、顔が真っ赤になった。その素晴らしい顔つきが、眩しすぎて頭がクラっと傾いた。


「あ……あぁ……素晴らしい……」

「隙ありすぎよ‼︎」


 その隙を逃さんと、アルは手をアモレの目の前に突き出し、衝撃波を繰り出した。突風と共に来る重みのある衝撃に周りの木も炎をかき消しながらなぎ倒されて行った。

 そのまま飛ばされていくアモレは近くにいたオーガスターに背中から抑えられた。


「おいおい大丈夫か、もう脱落は勘弁してくれよ」

「だ、大丈夫よ‼︎……でも、ありがとう」


 照れながらもちゃんとちゃんと礼を言うアモレに軽く微笑むオーガスター。

 その頃、アルは爆発したシーカーを見つけて、心配してすぐさま駆け寄った。爆発したシーカーは上半身の服が破けて、仰向けに倒れていた。いつもの炎のオーラや炎を纏った刀もその効力を失い、消えて無くなっていた。一生懸命背中を揺らして、シーカーの安否を確認した。


「大丈夫シーカー⁉︎シーカー‼︎」

「くっ……だ、大丈夫だ……」

「よかった……」


 シーカーの安全を確認し、ほっと安心した。アルは肩を組みシーカーを立たせる。苦しそうなシーカーをゆっくりと立たせてあげるアル。


「あたたた……オーガスターのあの剣、相当やるな……」

「大丈夫?立てる?」

「あぁ……まだ充分に戦える‼︎」


 立ち上がり再び刀と身体から炎を身に纏わせる。暑い中の戦闘に、慣れてきたのかアルも構えた。


「2人同時に行くぞ‼︎」

「はい‼︎」


 アモレは照れ隠しで自分からオーガスターの手を振り払い、再び構えた。


「アイツら同時に来る気だな……」

「私達も行くよ‼︎」

「あぁ……どっちのコンビネーションが良いか見せてやるさ‼︎」


 そして燃える森の中、100m以上離れている4人は息を合わせたかのように一斉に動き始めた。シーカー達は何も考えずに自然に1列になって進み、オーガスター達は策があるのか自ら1列になってオーガスターを先頭に突撃をした。


「今だ‼︎」

「分かってるよ‼︎」


 走って行く最中、オーガスターの掛け声を合図に、背後からアモレがジャンプして両手に持っていたトンファーをこちらに向かってくるシーカー達に向けて投げ飛ばした。


「シーカー‼︎」

「任しとけ‼︎」


 素早く飛んでくる物を瞬時に判断したシーカー。走りながら右手全体に炎を纏い歯を食いしばって、手を前に全力で突き出した。


「獄炎‼︎」


 直線上に出て来る炎の渦は飛んできたトンファーをかき消し、そのまま獄炎はオーガスターの元へと向かう。だがその獄炎が目の前に来た瞬間、オーガスターはニヤリと笑った。


「はっ‼︎」


 獄炎に対しその範囲を超えるジャンプをして避けた。そして両手に持っている噴火斬の剣をシーカー達の背後に投げつけた。

 あの剣の能力を知るシーカーはなぜ投げたのかすぐに理解して慌ててアルに忠告した。


「あの剣は大爆発を……くっ‼︎」

「えっ⁉︎」


 言うのも間に合わず、二本の剣は走っているシーカー達の背後にある二本の木に刺さり、逃げる余韻を与えず、光輝いてその場で大爆発を起こした。

 2人は吹き飛んだ。爆風に押されて爆発した煙の前へと引きずり出された。


「くっ……致命傷は避けたが……⁉︎」


 後ろを向きアルの安否を確認し、お互いに大丈夫なのは分かった。だが、その行為に気を取られ、前を向いた時に大接近したオーガスターに顔面を殴らり飛ばされた。


「オラァ‼︎」

「グハッ‼︎」


 シーカーは爆発した煙の中へと飛ばされ、すぐにオーガスターは立ち上がったばかりのアルにも攻撃を仕掛けた。

 アルも反撃すべく一撃避け、パンチを繰り出すも鬼ノ目を発動しているオーガスターの前にはなす術もなく避けられた。そして腹に一撃殴り、そして蹴り飛ばされ煙の中へと飛ばされていく。


 剣を拾うとアモレが1人で煙の中へと入って行く。追撃のためか、アルを倒す自分の為かどちらかは分からないせよオーガスターは止める事なく見届けた。


「くっ……鬼ノ目の反応速度は異常だ……だが、炎の刻印はこんな所で終わるかぁぁぁ‼︎」


 オーガスターの強さはシーカーに更なる力を与えた。更に強い力が新たな強さを求める原理となり、この戦闘馬鹿であるシーカーのやる気、そしてオーガスターの強戦士の魂が心の中に通じてきた。

 力を入れ叫ぶと共に、炎のオーラは更に燃え上がり、森で燃えている炎の中でも1番に大きく燃え上がっていた。オーガスターにはそれがよく見えた。


「ふっ……まだやる気のようだな。それでいい……それで……」


 嬉しさを表した微笑みを浮かべ、そのままゆっくりと噴火斬の剣を持って煙の中へと歩いて行く。

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