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第26話 高ぶる鼓動‼︎謎の青年vsシーカー‼︎(後編)

 

 砂混じりの黒煙が消え、その中から姿が見えた、果たして青年の安否は。


「……ふぅ、やはりパワーの炎の刻印とは聞いていたが、ここまでとはね……」


 煙から出てきた膝をついた青年は多少身体や髪が焦げているが、多少疲れの見えた顔に、棒を前に突き出した状態だった。だがまだまだ余裕のある表情だった。


「ひ……ひぇぇぇ‼︎あの技を食らっても平然と立っていやがる……‼︎」

「なるほど……その棒をまるで回転するプロペラのように回すことで、炎を直接食らうのを抑えたって訳か……」


 青年は立ち上がり、軽く微笑んだ。


「察しが良くて助かるよ」

「お前が言えた口……か‼︎」

「そうかも……ね‼︎」


 2人は一斉に動き出し、お互いの拳がぶつかりあった。お互いに一歩も引かずに、拳をなすりつけ合う。


「パワーなら俺の方が上だ‼︎」

「パワーか……そろそろ僕の力を見せようか……」


 急にトーンが低くなり、シーカーは心の中から急な寒気を感じて、青年の拳を弾き5mほど後退した。


「やはりお前は刻印のスキルを持っているのか‼︎」

「……見てのお楽しみさ……はぁ‼︎」


 両腕全体に力を入れて、身体全体にも力を入れ始める青年。シーカーが刻印を発動する時と同じ雰囲気をシーカー自身が感じた。

 力を入れ始めると、青年の周りからは強風が吹き荒れ、シーカーは砂が目に入らないように目を手でカバーしながら飛ばされないように


「……‼︎何て言う強風だ‼︎……でも、ひんやりと涼しい……この風は……」


 シーカーが感じたのは普通の風とは違い、どこか心地よく、癒される。まるで冷房の風のような涼しさがシーカーやアルがいる家まで届いた。


「えっ……?何この涼しい風?」

「ふぅ……やっと戻ってこれた……って⁉︎」


 やっと海から陸に戻って来たびしょ濡れのSyoだが、青年から吹き出されている強風により、再び海へと吹き飛ばされた。


「うわぁぁぁ‼︎」


 ため続ける青年の身体全体から水色のオーラが現れ、背中にゆらゆらと揺れている水滴の絵が浮き出て来た。そして手の甲には水の文字がゆっくりと浮き出て来た。

 水の刻印……それがこの青年の刻印なのだ。


「み、水の刻印だと……⁉︎」

「はぁぁぁぁぁぁ‼︎はぁっ‼︎」


 最後に力強く力を吐き出した。すると強風は止み、砂煙は再び舞った。砂煙の中からで見える水色のオーラ、その中シーカーの元へと歩いて向かう青年。

 青年の長髪の髪は跳ね上がり、どこかしら先ほどよりも少しだけ筋肉質になっている。


「……これが僕の刻印……水の刻印だ……」

「……水の刻印か……初めて刻印を持つ者同士が揃ったって訳か……」

「嬉しいかい?君で2人目だ、刻印を持つ者を発見したのは……」

「2人目⁉︎」

「あぁ……まっ、1人目も君と同じ好戦的な人だったけどね」

「な、何人いるんだ、刻印を持つ者は‼︎」

「それはこの戦いの後に聞いてくれないかな」

「ふん、たしかに……今はこの戦いを、全力で楽し……?」


 真っ先に何も考えずに突撃しようとしたシーカー。だが足元にある違和感を感じた。それはひんやりと冷たく、足元を覗く。


「水……⁉︎」

「あ〜あ流石に気付いていたか……」


 青年の身体全体から垂れ落ちている水が地面に大きな水溜りが出来ていた。その水溜りから2本の線のように真っ直ぐとシーカーの元へと伸びて、それがシーカーの足を紐のようにキツく絡みついていた。


「話で気をそらして大正解だね、これぞ僕の技の1つ紐水」

「こんなもん‼︎……くっ⁉︎」


 動こうとするが足が動かず、まるで何か重りが置かれているように。


「なんだこれ⁉︎」

「さっきの分返させてもらうよ……はっ‼︎」


 足を締め付けた紐水は勝手に青年の元へとゆっくりと戻り始め、シーカーの足もろとも引っ張られた。

 だが、シーカーも地面を思いっきり踏み、その場で耐えようとした。


「そんな紐水って奴に俺が引っ張られる訳……‼︎」

「我慢強いのいい事かもしれないけど、君の足は徐々にこっちへと向かって来ているよ」


 足は完全に耐えているのだが、そのまま態勢で青年の元へと迫っている。


「くっ……‼︎」

「なら、これはどうかな‼︎はっ‼︎」


 突如、紐水は足に絡みついたまま地面から空へと上がり、シーカーはその場にひっくり返った。そしてそのまま5mほどの高さまで上がり、シーカーはクレーンで吊り上げたかのように宙吊り状態になった。

 青年は余裕そうに腕を組み、シーカーを見上げていた。


「そこからの眺めはどうだい〜‼︎」

「うるせぇ‼︎早く降ろしやがれ‼︎」

「分かったよ……ほれ」


 そのまま足を締め付けた状態で、紐水はシーカーを思いっきり地面に叩きつけた。


「ぐは……っ‼︎」

「僕は君の言った事実行しただけさ」


 また砂煙が舞い、シーカーの様子は見えないが赤いオーラが再び強まり、中から湯気が上がっている顔を服もボロボロなシーカーが手を出して歩いて出て来た。

 そして青年に向けて、力強く手を前に出して大声で叫んだ。


「獄炎‼︎‼︎‼︎」


 先ほどの獄炎よりも遥かに大きく、比べ物にならないほど強大な力を出した獄炎が青年に近づいていく。

 すると、青年も冷静な表情で片手を前に突き出し、呟いた。


蒼龍水(そうりゅうすい)


 そう呟くと手から獄炎の半分にも満たない龍の姿をした水が勢いよく飛び出し、くねくねと生きているようにシーカーの獄炎の中に飲み込まれて行った。蒼龍はそのまま炎の中を潜り抜けて、シーカーの元へと進んで行く。

 そして獄炎の中から、蒼龍が飛び出て来た。シーカーは獄炎を放っている状態で、身動きが取れなかった。


「な、何⁉︎」


 蒼龍はそのままの勢いでシーカーの腹に突進し、シーカーを突き飛ばした。勢いよく吹き飛び、20〜30mほど吹き飛ばされた。


「ぐわぁぁぁぁぁぁ‼︎」


 そして、シーカーは砂へと落下し、気絶した。

 アルは1人で恐怖で体を震えながら見ていた。


「シシシ、シーカーがややや、やられちゃった……」




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