第25話 高ぶる鼓動‼︎謎の青年vsシーカー‼︎(前編)
やる気がシーカーに疑問を抱くSyo。
「やけにやる気があるじゃないかシーカー?」
「あぁ、この刻印が反応したんだ……あの深海の時と同じ……その時と同じく刻印が反応するって事はコイツには何かあるはずだ……」
「それで戦うって訳か……」
青年は刺さったモリを抜き取り、それを持って戦いの構えを取る。
シーカーも刀を出し、戦いの構えを取る。
「シーカー、君の力、僕に見せてくれ‼︎」
「ふん⁉︎言われなくて分かってらぁ‼︎初っ端から全力で行かせてもらう‼︎はぁぁぁぁぁぁ‼︎」
身体全体に力を込めると、背中から炎の絵が浮かび上がり、手の甲からは炎の文字が浮かび上がった。そして身体全体から炎のような暑く赤いオーラを纏い、刀も炎を纏った。
それを見て、青年は軽く馬鹿にしたように拍手する。
「何がおかしい⁉︎」
「やっぱり目の前で見る炎の刻印はすごい……あの時は発動しなかったからね」
「あの時?……まさか、お前……」
シーカーにも見覚えはあった。あの深海での刻印の反応だった。巨大生物に何とかつけたGPSつきのモリを破壊した正体は、まさか今目の前にいる青年なのか?シーカーは疑問に思う中、青年は更に挑発してくる。
「それが僕だとしたら?」
「……断然やる気が湧いてきた‼︎うおぉぉぉぉぉぉ‼︎」
シーカーはオーラを一気に噴出させて、刀を振り上げ、青年へと猛スピードで飛びかかり、強烈な一撃を食らわした。大地に大きく音が響き、周りの砂も跳ね上がった。
だが青年はモリを横に持ち、持ち手の部分で炎を纏った刀の攻撃を受け止めた。徐々に力を増すシーカーに対し、青年もかなり力強く耐えている。
「やはり炎の刻印……予想以上のパワーだ……」
「どう致しまして‼︎お前にこのパワーを耐え切れるかな‼︎」
そう言うとシーカーは力を更に入れ、お互いに今の態勢を維持したまま、シーカーはゆっくりと前に押し始めた。
「この状況を維持したらお前のモリが壊れちまってそのまま真っ二つになっちまうぜ‼︎」
「……なら、そうなる前に僕が仕掛けるまでさ‼︎」
モリで攻撃を抑えていた青年は少しずつ、シーカーの刀を押し始め、そして軽く刀を跳ね返しシーカーが怯んだ瞬間、モリを素早く横に大きく振った。
「隙だらけだよ‼︎」
「ぐっ……‼︎」
横に振ったモリは、シーカーの服に切れ目が入れたが、シーカー自身には傷はなかった。シーカーは後ろに後退をしようと軽くジャンプし、地面に着地する寸前に突如青年はモリを大きく振りかぶってシーカーに投げた。
「何⁉︎」
直線的にシーカーを狙い、真っ直ぐとミサイルのように飛んでくるモリ。地面に着地してないシーカーは動く事なんて出来ず、防御するしか出来ない。シーカーはそんな早いモリに咄嗟に浮かんだ策は、飛んでくるモリを刀で弾き飛ばした。
だが、その反動でシーカーも吹き飛んでしまった。シーカーは上手いこと宙返りし、地面に膝をついて着地した。
「危なかった……⁉︎」
顔を上げると、拳を構えた青年が目の前に迫って来た。モリの攻撃に気を取られていたシーカーが避けるには遅く、そのまま拳を顎に激しくアッパーを喰らい、数mも吹き飛び、地面に背中から倒れた。あまりの痛みにシーカーは喉元を抑えて悶えている。
「ぐはっ……‼︎」
そして青年はシーカーに弾き飛ばれ、宙を舞っているモリをジャンプで取り、そのまま真下で倒れて苦しみ悶えているシーカー目掛けてモリを刺そうと、一直線に下降した。
シーカーには太陽の影で黒くなって表情は見えない筈だが、悪魔のような笑顔が十分に見えた。
「はぁっ‼︎」
「くっ……‼︎」
そして青年がシーカーに下降した勢いと力でモリを刺した。地面に大きく音が響き、Syoは目を逸らした。
「あ、あぁ……」
チラリとシーカーを見ると、青年がシーカーにのし掛かり、シーカーは必死に攻撃を顔寸前でモリの先端を握りしめていた。だが、お互いに手が震えて、いつモリが壊れるか分からない状況だ。
「くっ……‼︎」
「結構耐えるシーカー‼︎」
「へへっ……俺は耐える方だが、このモリはどうかなぁ‼︎はあっ‼︎」
シーカーは手を思いっきり捻り、モリの先端の刃部分をもぎ取り、顔を横に傾けた。シーカーを刺そうと力を入れていたのだが、抑えていたシーカーが刃をもぎ取り、抑える力がなくなった。そのまま棒は地面に深く刺さった。
「ぬっ⁉︎」
「はっ‼︎」
シーカーはもぎ取った刃部分をのしかかっている青年に投げつけた。
「ちっ‼︎」
青年の頰を擦り、それに怯んだ隙に青年を殴り飛ばした。殴った衝撃でしっかり掴んでいた棒も抜け、そのまま尻餅を着いた。
そしてシーカーは仰向けに倒れている状態から体を丸くし、両手で地面を押して宙返りし、綺麗に着地した。そしてすぐさま大きな炎のオーラを纏った右手を真っ直ぐと青年が倒れた場所に差し出した。
「獄炎‼︎‼︎」
背中の炎の文字が濃く浮かび上がるも同時に、手から巨大な渦城の炎を吐き出し、起き上がった青年を炎が覆い隠し、大爆発を起こした。
「うわぁぁぁ‼︎」
Syoは爆風に海の方向へと高く吹き飛ばされた。
ホームで遊んでいたアルとウェルズも爆風で家の窓ガラスが割れ、棚やテレビが倒れてお互いにビクビクしながら抱き合った。
「あわわわ……‼︎な、何が起きたの⁉︎」
アルが恐る恐る外を覗くと、海の上でSyoは気絶して浮いていて、赤いオーラに包まれたシーカーが手を突き出して、そしてその先が砂煙と黒煙が混ざった煙が舞っていた。
「……何……これ?」




