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第20話 容疑者はシーカー⁉︎

 

 AlterFrontier内にある大都市CityTokyo。


 大きなビル街がそびえ立ち、新宿や秋葉原をモチーフとした街が立ち並んでいる。この様なCityはアメリカ・中国・イギリスなどの多くの国も存在する。

 日本の協賛企業の多くがあり、AlterFrontierのコインであるGでその企業の商品の一部を購入出来る。またアバターを持つプレイヤーは割引きなどを多くの企業が賛同しているため、世界的経済回転を大幅に上げている。


 そしてこのCityTokyoにある一際目立つ交差する拳銃と刀のエンブレムが描かれている建物の壁に貼られているのは保安管理局日本支部。何とこの世界では犯罪が出来るのだ。

 犯罪は盗難が多く、基本は映像により商品を見て、そこから購入が出来るが、中には普通にガラス張りで置かれている商品や、プレイヤー個人で開いている店などは防犯対策をしていない。だから盗まれる可能性が早い。そして管理局に連絡が入ると、即腕利きのチェイサー達がその盗んだプレイヤーを追いかける。

 捕まったってまたやれば良いじゃんと思うだろうが、世界は甘くない。捕まれば所持武器や所持金などを全没収され、管理局が運営する収容所へ連れて行かれて、盗難なら1週間分のキツイ労働をさせられる。

 盗難以外にも脅迫やセクハラなどの犯罪も取り締まっている。犯罪は繰り返す毎に時間は増えていく。つまり管理局は一種の警察である。

 だが唯一盗難して助かる方法は逃げる……それだけである。宇宙フィールドなどと色んな場所に逃げて1カ月隠れて捕まらなければその商品をゲット出来る。だが、その代わり全世界の掲示板にそのプレイヤーの名前や特徴を発表され、報告・捕まえたプレイヤーは賞金がもらえる。そして犯罪を犯した間は顔を作り変える事は不可能になる。


 ここまで聞けば誰も犯罪をしてないと思うが、毎日何千人もの犯罪者が捕獲されている。

 多くの犯人は自信があった、スリルを楽しみたかったなどと言う。この世界では犯罪も一種の娯楽となっている……


 そしてここは管理局日本支部の上階のオペレータールーム。暗く何列にもあるパソコンに多くの隊員がCityTokyo内の監視カメラを見ながら犯罪がないかを探している。

 その中の後ろの席に座って机の上に足を乗せている黒いトレンチコートを着ている若い男性がいた。タバコをふかしてずっと退屈そうにやる気のない目でモニターを見ている。灰皿には大量の吸い殻が押し込められていた。


 するとオペレータールームに1人のスーツを着た女性が慌ただしく入って来た。


「片桐さん!!事件ですよ事件!!」

「なんダ定岡ァ?見て分からねぇか?俺は仕事してんだよ、仕事を……」

「いつも通り適当にやってるだけじゃないですか!!それよりこれを見てください!!」


 女性隊員の定岡がメサで転送した映像を片桐が表情を変えずに見た。

 その映像は紫色の道着を来た男プレイヤーが、プレイヤーが開いているちょいと汚らしいお店から店主プレイヤーを倒し、ニヤニヤと笑いながら手製武器を奪っている映像だった。

 それを見て片桐はタバコの煙を吐く。


「なんダァ?この映像は?」

「先程、管理局に送られて来たこの店の個人監視カメラの映像です」


 映像をもう一度見直し、定岡に聞く。


「適合確率は?」

「確認したところ100%でした。変身した偽プレイヤーでは無いようです」


適合率とは、このゲームでは変装するプレイヤーも多く、本来のプレイヤーと見分けがつかなくなる事があるため、保安局では偽物と本物の適合率を調べて犯罪を犯したのが本物かを見極める。


「証言は?」

「現場検証しましたし、店主からもちゃんと話は聞きました。嘘検知装置も使いましたが本当のようです!!」

「よくある事件じゃねぇか、これのどこが大変なんだよ」

「このプレイヤーは最近巷で噂になっているシーカーと言うプレイヤーです」


 シーカーと言う言葉を聞き、片桐は何かを感じた。


「シーカー……最近どっかで聞いたような……」


 そう言うと定岡は更に情報を片桐へと送り込む。


「最近だと、アイドルアルのライブに乱入した事と、違法カジノの賭け試合に参加していた事……ですが、そのプレイヤーを調べたら一つ不可解な事があるんです」

「何だ?」

「約2ヶ月ほど前のシーカーの移動記録を見たところ、謎の記録が存在しました」

「ほぉ」

「移動設定した場所は当時の新イベントフィールド火山地帯なのですが、実際に行った場所は存在しない謎のフィールドに居た模様です。しかも30分近くも……」


 話を聞き、片桐はタバコをタバコが大量に詰まった灰皿に詰め込んだ。定岡は息を呑み、身構えた。


「ふん……その件はお前に任せる。もし相手が抵抗するなら隊も率いてもよい。もしもの時は俺を呼べ……」

「は、はい!!」


 定岡は敬礼をして、走ってオペレータールームから出てった。


 ーーーーーーーーーーーー


 その頃、シーカーとSyoはマイホームでトランプをしていた。ババ抜きをしているが、何やら空気が重かった。シーカーが残り1枚でSyoが残り2枚、シーカーがカードを取る番である。お互いに目を見あって真剣に考えている。


「……よし、これだぁ!!」


 そのカードはシーカーが持っていたカードと同じ数字なのでシーカーの勝ちとなった。


「俺の勝ちぃ!!」

「……って2人でやっても全然楽しくねぇよ!!」


 Syoが突っ込み風に言うとシーカーは捻くれた顔をしながら身体を捻る。


「んな事言ったってよ……まともにババ抜きしてくれる奴いねぇもん!!殆ど奴イカサマしてくるんだよ!!」

「……」

「……もっと面白い事ないかなぁ……」


 2人がため息を吐いた瞬間、突如机の上に汚い大量に積まれた段ボールが現れた。大中小とさまざまな大きさの段ボールが揃っている。


「えっ?」

「何だ?」


 2人はいきなり現れた段ボールに警戒もせずに持ち始めたり、触り始めたりした。ずっしりと重く、どの大きさもそれなりの重さがあった。


「これ何だ?シーカーが買ったのか?」

「俺は買ってねぇぞこんなにも。第一潜水艇の金でかなり使い果たしてるんだからよ」

「……」


 お互いの顔を見合わせるが、結局なんのこっちゃか分からず、シーカーは段ボールを元に戻した。Syoは、買った人物をメサで調べた。するとSyoは戸惑いながらシーカーの方を向いた。


「……これ、お前が買った事になってるぞ……」

「えっ?」


 Syoはメサの画面をシーカーを送った。シーカーは購入者の欄を凝視すると、はっきりと購入者 シーカーと書かれていた。IDなどもシーカーのものでシーカーは絶句した。もちろんアイテム購入者の名前を変える事も出来ない。じゃあ何故買っていないと言うシーカーの名前が書いてあるのか?

 Syoはシーカーが購入者と書いてある為、まさかと思い、少し引いた目でシーカーを見る。


「……まさかお前、俺に嘘ついたんじゃ……」

「う、嘘なんてついてねぇよ!!だ、第一まだ中身見てないだろ!!」

「……中身?そういえばこの段ボール何が入ってるんだ?」


 2人に緊張が走った。この中には何が入っているのだろう。汚い段ボールからして、高級な物でないのは確かであると思った。

 シーカーは恐る恐る一番重く、大きく、そして横に長い段ボールを開けた。勝手に開けるシーカーにSyoは慌てて止めようとするが開けてしまった。


「お、おい!!勝手に……」

「……何だこれ?」


 そこには大型のミニガンが入っていた。2人は口を開けて静かになった。


「……お前……こ、こんな高価な武器、どうするつもりで」

「お、俺じゃねぇっていっるだろうが!!第1こんな武器使わねぇよ!!」


 とりあえずSyoはメサから購入したと思われる店に連絡をいれた。画面が現れ、そこには髪が濃い悪人ヅラの店主が写っていた。Syoはビビりながらも頑張って声をあげた。


「あ、あの〜たった今そちらの商品が届きましてぇ……その〜僕達はどうやらその商品を買ってないんですよ……だから返却を……」


 冷や汗を掻きながら、無理やり笑顔を作りながら何とか言うと店主が一言。


「ちゃんとオタクの名義で購入してるし、払ってんだよ!!返品は受け付けないよ!!」

「え!?ちょ、あの!?」


 店主は半分怒りながら連絡を打ち切られた。


「……返品はダメだとよ……何やってんだ!?」


 シーカーは御構い無しに全部の箱を開けていた。箱の中には小型爆弾や設置型爆弾、またはアサルトライフルやスナイパーライフルなどの銃火器。他にも斧やナイフ、ハンマーなどの鈍器まで多種多様な武器が揃えられていた。


「あの店は武器専門店か……どれも通常のとは違うが性能のは良さそうだな」


 一般的に売られている武器とは違い全部特製の武器。それを嬉しそうに触るシーカーにSyoは怒った。


「まさか使う気か!?そんな物?」

「せっかく貰ったんだ俺が使ってやるよ。有効活用って奴だ」

「本当の買主はどうなるんだ!?」

「俺の名前になってるんじゃあもう探す方法もねぇしな」

「……あぁもう……」


 あきれ返り、頭に手を当てるSyo。すると2人は外からある気配を感じ目と眉毛を尖られせ、ふたりはそのままの態勢を崩す事なく、平然とした状態で話を続けた。


「何かいるみたいだ……」

「うん、それも無数の気配が……」


 2人がそっと立ち上がろうとした瞬間、突如扉を蹴破られ、家の中に無数の筒状の物が投げ込まれた。


「これは!?」

「気をつけろ!!発煙弾だ!?


 2人が対応する前に発煙弾から白い煙が吹き出し、部屋の中に煙が充満した。2人が咳ついてる間に無数の足音が部屋に入って来た。


「ゲホッゲホッ!!マイホームに入れるのはフレンドだけじゃ……」


 シーカーは足元に転がっている発煙弾を見ると保安管理局のマークである、交差した剣と拳銃のエンブレムが描かれていた。


「くっ、これはまさか!!保安管理局!?」

「保安管理局!?」


 それを見た瞬間、シーカーとSyoは瞬時に状況を把握し、段ボールから何個か小さな武器を握りポケットに入れ、Syoは机の上に置いてあるノートパソコンを腕に挟んで、2人はメサで何処かへとワープした。

 煙が治ると、部屋の中にはガスマスクを付け、重装備を施した銃を構えた兵士達が10人ほどいた。シーカー達がいない事を知ると兵士の1人がメサでとある場所連絡を入れた。


「すみません、対象人物と重要参考人を逃してしまいました……」


 電話先は定岡で、冷静に電話をする。


「えぇ分かったわ、犯人の居場所でこちらで調べるわ。とりあえず見つけた証拠物品を持ち帰って」

「分かりました……」


 連絡を終えた定岡はシーカー達の場所を探すために即座に動いた。


 ーーーーーーーーーーーーーー


 シーカーが到着した場所は……大都市CityTokyoだった。人が賑わい、溢れんばかりの人がいる。

 シーカーはその路地裏に隠れていた。


「何でCityTokyoにいるんだよ!?俺は隠れやすい氷山地帯に設定したはずなのに……」


 するとメサからSyoより連絡が来た。何やら慌てている様子のようだ。


「おいシーカー!!どこにいる!?」

「俺は何故かCityTokyoにいる……」

「俺もだけど、なんでだ!?」

「分かるかそんな事!!」


何故か2人はCityTokyoにいた。理由は不明だった。互いに別々の場所を選択して移動したはずなのに。

 そしてSyoはシーカーにある画像を送り込んだ。それは指名手配されているシーカーの写真だった。


「お、俺が指名手配⁉︎捕まえたプレイヤーは賞金……1000万G!?」

「そうだ……そらに街中のモニターにもこの手配書が公開されているようだ……」

「……俺が何したって言うんだ」


 指名手配され、家を保安管理局に襲撃されたシーカー。しかも移動した場所が何故CityTokyoに強制的移動されられた……

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