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第19話 謎の反応

 

 シーカーは席から立ち上がり、Syoの席に行き一言告げた。


「特殊ダイバースーツとディープヘルメットを着る。俺自らあの深海の怪物に挨拶してくる!!」

「どうゆうことだ?」

「アイツにGPSを付けたこのモリをアイツにぶっ刺す!!」


シーカーが見せつけて来たモリ。見た目は普通のモリだが、槍の先には小型のGPSのチップが付いている。

 未知なる生物であのメガロドンですらボロボロされるほどの脅威的な生物に挑むなど明らかに無理があると思い、流石に止めに入るSyo。


「む、無理があるって!!アイツに近づく気が?こんな深海で……」

「あぁ特殊ダイバースーツなら10分は持つはずだ……その間にアイツにGPSをつけるさ」


通常の人間が海に潜ると、100mも満たない所で死ぬと言われている。だが、この特殊ダイバースーツで行く事により、10分くらいならその水圧に耐え切れるのだ。

 シーカーの顔を見てSyoはある事を分かった。何言って絶対にやると……長年一緒にいるSyoだからこそ分かる事である。


「……分かったよ、その代わり危なくなった俺が機械でここに戻すからな」

「もちろん、頼むぜSyo」


 寝ているアルの裏で2人の友情が再確認された。


 ーーーーーーーーーーーーーー


 Syoがシーカーの代わりに操縦席に座り、操縦を始めた。

 深海に少しの間は耐えれる特殊なダイバースーツと顔には船から空気が送り込まれてくるチューブが頭部に付いているディープヘルメットを被り、両手には2本のGPS付きモリを持って、暗い海の中にワープした。

 Syoがナビゲートしながら、ステレスキューブにより姿を消した潜水艇と姿を現しているシーカーは巨大生物が現れた場所になるべくエンジン音を出さずにゆっくりと近づく。シーカーが先に足を漕ぎながら進む。


「もうすぐで着くからな……」

「おう」


 そして破壊されている潜水艇へと近づき、噛まれた跡観察を始めた。その潜水艇はシーカー達が乗っているのと同じタイプの水圧耐久型潜水艇だった。メガロドンの噛み付く攻撃をも少しは耐え切れる防御力だが、これは一撃で破壊されている。


「やはりメガロドンよりも遥かに攻撃力は高く、素早さも早い……そして何よりめっちゃデカイ……」

「予想以上のパワーだな……こりゃあ、心して掛からないと行けないみたいだな」


 シーカーはヘルメットのガラスから映し出されている地図画面を表示した。


「まだこの付近にいるかもしれない、チューブは何メートルまで伸びる事が出来る?」

「100m位は伸びるはずだ」

「OK!!」


 シーカーはチューブを最大まで伸ばして、潜水艇が止まっている場所から更に暗い深海へと泳ぎ始めた。


「何する気だ!?」

「奴は更に深海から来る可能性が高い、だから潜水艇と離れたこの場所からこの水中小型爆弾を投げ込む」


 ガラスで作られた筒状の入れ物に半分だけ入った緑の液体を取り出すシーカー。


「爆発に応じて俺達は巨大生物の標的から避けるために上に上昇し、出て来た所をGPSを付ける。投げたらすぐに上昇してくれ!!」

「分かった」


 つまり爆弾を投げて爆発するまでになるべく上昇する。そうするとエンジン音などに気づき、巨大生物が現れ潜水艇を標的として狙って来る。

 そこを爆弾で標的を撹乱し、混乱している間にGPSを付けると言う作戦である。


「俺の予想だととりあえず動けば出て来るはずだ。それを信じて……」

 

 筒を振り、液体は緑から赤色に変色した。それを深海に投げ捨てた。


「よし!!一気に上昇しろ!!」

「ほいさ!!」


 合図とともにすぐさまSyoはハンドルを上に切り、一気に上昇した。シーカーは激しく動く船と繋がっている為、チューブをしっかりと掴み離されないようにして。艇内も激しく揺れ、寝ていたアルも椅子から転げ落ち、全く状況が把握出来なかった。


「な、何が起きたの!?」

「アルちゃん!!何かに掴まってて!!」

「え?え?」


 困惑しているがSyoの言う通りに椅子に必死にしがみつく。

 そして約50m程上昇した潜水艇Sの探知機から真下に大きな反応が現れた。すぐにシーカーに知らせた。


「来たぞ!!あのどデカイ生物の反応が!!」


 巨大な生物がシーカー達の潜水艇の動きを探知して暗闇のん深海より、潜水艇目掛けて真っ直ぐ向かって来た。


「よし!!爆発しろ!!れ


 巨大生物が水中小型爆弾の横を通り過ぎた瞬間、筒が破裂し辺り一面大爆発を起こした。爆発により深海に大きな衝撃波が発生し、艇内やシーカーは激しく揺れた、だが巨大生物が動揺した隙に何とか潜水艇を止め、ステレスキューブにより姿を消した。

 もちろん巨大生物にはダメージがないのは分かっている。その代わり見事にフィールドに出す事に成功した。これを見逃さないのは他のプレイヤー達もだった。巨大な生物が出てきた事により、一気にこちらに向かって来た。


「シーカー、急いでGPSを!!他のプレイヤーも迫って来ているぞ!!」

「分かってる!!」


ほかのプレイヤーが迫ってきて急がせるSyo。

 衝撃波が消え、まだ巨大生物が真下に残っている事を確認し、そのまま真下に泳いで行った。すると真下より巨大生物の反応と共に、口を大きく開け急接近して来た。その顔はまさにドラゴンそのものだった。


「何!?」


 慌てて身構えるシーカー。だが、突如反応と姿が同時に消えた。


「消えた!?」


 すると巨大生物はシーカーの真横に姿を現した。それは近くを動いていた他のプレイヤーの潜水艇を狙って噛み砕いていたのだ。シーカーのヘルメットに付いている小さなライトが照らしたのは、蛇のように手足のない長い胴体と鱗が露わとなった魚ではない特殊な生物だった。

 シーカーは瞬時にかつ、冷静に反応し、巨大生物の皮膚にGPS付きのモリを力強く刺した。


「よっしゃ!!」


 モリは深くまで刺さり、その瞬間に巨大生物に痛みが走り、大きく暴れ始めた。長い胴体がうねうねと激しく動き、シーカーが巻き込まれそうになる。


「急いで戻してくれ!!」

「おう!!」


 巧みに操作するSyoのお陰で無事に艇内に戻り、いつもの紫色の武道着へと戻った。

 すぐに2人はGPSが上手く起動しているか確認する。


「どうだ?」


 GPSは何の問題もなく、巨大生物の居場所を教えていてくれた。今も必死に暴れている姿がGPSでも捉える事が出来た。これで更に深海に移動したところでこのGPSが場所を教えてくれる。一気に探す手間を省けると言う事である。2人は手を合わせて喜んだ。


「やったぜ!!」

「流石シーカーだ‼︎これで奴の正体が……」


 と2人喜んだ次の瞬間、探知機の大暴れする巨大生物の真隣に小さな生体反応が現れた。それと同時に一瞬だけシーカーの手から炎の文字が浮き出て、そしてGPSの反応が消滅した。その後の小さな反応は何処かへと消えた。まさに一瞬の出来事だった、シーカー達も何が起こってのか理解出来ない状態だった。


「な、なんだ!?刻印に反応が……」


 そして巨大生物は海底深くに逃げて行った。他のプレイヤー達はすぐに更なる深海へと追いかけて行った。

 シーカー達はその場から動く事なく固まっていた。


「今の反応……」

「どうする……追うか……?」

「くっ……これ以上やったところで無駄だ……それにまた新たな謎がいっぱい出てきた……」


 はっきりとSyoの目を見て言うシーカー。少し考えるSyoだったが落胆するシーカーを見て、すぐに軽く頷いた。

 今の謎の反応は、2人は何を言ったらいいか分からない状態に陥った。せっかく正体をわかろうとした時に、突如現れた何かにGPSを破壊された……


「……分かった……今回は戻る……」

「あぁ……とりあえずはな……次は絶対にな」


 拳を強く握りしめ、再び深海に行く事を誓うシーカー。

 突如現れた巨大生物の謎、そしてあの時現れた小さな反応、そして一瞬だけ反応して刻印。多くの謎を残したまま1回目の深海調査は終わった。


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